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美術史上最大の不良、あるいは激情の画家?

バロック絵画最大の巨匠と呼ばれたカラヴァッジョ。
深い闇の中から人物が浮き上がるような陰影の強い写実的手法、聖書の物語が実際に目の前で演じられるような劇的な表現は、あたかも映画の一幕を見ているような錯覚すらおぼえます。

現存する真筆はわずかに60点。
そのうち過去最多の11点の傑作が来日。世界的にも有数の規模でカラヴァッジョの作品が見られるとあって、連日多くの人が来場しています。

しかしこれだけ有名な画家にもかかわらず、なぜ60点しか確認されていないのか、という疑問が湧いてきます。
というのもカラヴァッジョが短く激動の生涯の果てに38歳という若さで亡くなっているからです。
そしてそのことが、陰影の強い彼の絵の秘密にもなっています。

本名はミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。1571年のミラノ生まれで、ミラノとローマの工房で修行して独立しています。
若いときから素行が悪く、自宅で暴れて拘置所に送られたことが何回も。すでに画家として名声を得ていた35歳の時に喧嘩で一人の男と決闘、相手を刺し殺しローマから逃亡しています。
懸賞金がかけられ、殺人犯として追われる身となった画家はほかにいないでしょう。
このとき逃亡先のマルタ共和国で『洗礼者聖ヨハネの斬首』を描くことでローマ教皇の免罪を得ましたが、その後もマルタやナポリで乱闘騒ぎを引き起こし、乱闘相手の待ち伏せにあって重傷を負わされたこともありました。
そして翌年、人を殺してしまったことへの許しを得るためにローマへと向かう旅の途中、熱病にかかって38歳で死去しています。

激情型の天才といえば現代のシュールレアリスムの画家ダリが有名ですが、それ以上に波乱な人生が、その絵画作品にも現れています。