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知己(ちき)を得ず

中国は「ゼロコロナ」政策が終了し、4年振りに行動制限の無い春節(旧正月)を迎える。今日がその大晦日。今日から連休が始まり、日本にもたくさんの中国人が訪れる。

私が中国武漢から帰国してもう3年が経過した。2020年1月23日10時、新型コロナが急速に拡大していた中国内陸の大都市武漢は、何の前触れもなく完全封鎖が実行された。
私は封鎖前最後の国際線で、ギリギリ日本に帰ることができた。

画像は2020年1月23日早朝 武漢天河空港 国際線の案内ボード
この後 08:05発のバンコク行は欠航となっている。成田便は飛ぶのか !  ドキドキだった。


現役時代にやり残したことを果たすべく、延長戦に挑む覚悟で赴いた中国だった。3年の労働許可を得ていたが、コロナ収まらない中での生活に不安が拭えず、私は日本に留まることを決めた。結局私の中国勤務は僅か10ヶ月で終わった。延長戦は突然の豪雨で続行不能となった。

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帰国後の私は自粛を日常とした。そんな生活を続け既に3年。その間 細君の仕事を手伝ったり彼女の送り迎えぐらいはしているが、働いているとは言えない。私は何処にも何にも貢献していない。

仕事をしていないとまぁ人には会わない。現在付き合っている人は、家族が十数人、高校の同級生の遊び仲間が十数人。あと会社の元部下や後輩若干名がたまに遊んでくれるだけ。

この3年で私がもらった名刺はたったの2枚。新しい人との出会いは皆無に近い。現役時代の私は人と会うことが仕事だった。人と会って説明や説得するのを生業としていたのに‥

暇にまかせて、中国勤務10ヶ月間に得た名刺を整理してみた。それは233枚あった。内訳は、自社と自社グループが48枚、お客様が91枚、仕入先等が37枚、プライベートが40枚、ホテル・飲食店が17枚。中国人と日本人の割合はちょうど半々だった。

改めて我が身の上の変化の大きさに驚く。あんなに人と会っていた私が典型的な "引きこもり" になってしまった。

人と出会い、知己(ちき) を得るのはとても難しいこと。その人はどんな人でどんな考えを持っているのかちゃんと知りたい! 現役の頃はそんなことばかり考えていた私なのに。

 ※ ↓ は、私が人の属性を分別する考え方を文字化した過去の記事です。
   これまでで最少スキ数の記事なので心配ですが添付します。

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この3年間、私は新たに知己を得ることは無かった。
こんなことでいいのか。いや絶対良くない。人は人と出会う。そしてその人に好きになってもらいたいと思う。そのために自分はどうする? 何を変えなきゃいけないか? 何を高める必要があるのか? そんな努力を一切しない3年を過ごしてしまった。

私は今年努めて外に出る。少しだけでも働くことにする。
細君から小遣いをもらって遊んでいる今の暮らしから抜け出す。
でもはたして、こんな私にできる仕事はあるのだろうか。心配でならない。

< 了 >

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