見出し画像

声劇台本「新訳:赤ずきんちゃん」

本当は面白い(かもしれない)昔話。

台本利用規約

この台本をご利用の際は、必ず画像にある利用規約を確認してください。

声劇データ

✓上演時間 5分程度
✓上演人数:女性2名
✓ジャンル:コメディ

あらすじ

ある日、赤ずきんちゃんがおばあさんの家にいくと、そこにはおばあさんを食べたオオカミが居た。しかし赤ずきんちゃんはオオカミを恐れることもしなければ、おばあさんを救出しようともせず、扉の前で待機しているであろう猟師さんを殺して食べることをオオカミに提案。
なんとか物語の筋書きを守ろうと筆者なオオカミと、好き勝手する赤ずきんちゃんのドタバタコメディ。

登場人物

赤ずきんちゃん:自由気ままな性格だが、計算高い一面も持ち合わせている。おばあさんのことはあまり好きではないらしい。
オオカミ:一見恐ろしく見えるが、自分の立ち位置を分かっており、物事が予定通りに進まないことが苦手。

声劇台本「新訳:赤ずきんちゃん」

フリー素材を使用しておりますので、CASTの背景画像やサムネイルなどにもご利用いただけます(※使用を強制するものではありません)


赤ずきん:「今日のおばあちゃんはお耳が大きいですね」

おおかみ:「それは、お前の声をもっとよく聴くためじゃよ」

赤ずきん:「何言ってるんですか? 今日はおおかみのコスプレしてるだけですよね?」

おおかみ:「(小声で)えっ?! コスプレ……?」

赤ずきん:「おばあちゃん、私知っていますから。安心してください。私のずきん被って鏡の前で「私、あかずきんちゃん」とかやってるんですって? 森の動物たちが噂してましたよ」

おおかみ:「(小声で)私が食べちゃったおばあちゃん、そんなキャラなの……なんか気分が悪くなってきたわ」

赤ずきん:「何小声でブツブツ言ってるんですか?」

(SE:布団を剥ぐ音)

赤ずきん:「(冷静に/冷めた感じで)あっ、コスプレじゃなくて本当におおかみさんだったんですね」

おおかみ:「えぇ……そうなんだけど…もうちょっと驚きのリアクションとかないのかしら? あなたも食べられる危機なのよ、今!」

赤ずきん:「それはないですよね? お腹そんなに膨れてるってことは、既におばあちゃん1匹食べてるじゃないですか?」

おおかみ:「(小声で)おばあちゃんのカウント“匹”なの……?」

赤ずきん:「ってことは、おおかみさん今はお腹いっぱいですよね? 私のことは食べなくても大丈夫だと思います。どうしてもまだ何か食べたいなら、おばあちゃんのお見舞い用にお菓子とか持ってきてるんで、それ食べてください」

おおかみ:「あー、うん。あのね。最早大事なのは私のお腹の空き具合いうんぬんじゃなくて……。このあと、あなたも私に食べられるかも!って怯えるのね。そこで猟師さんが助けに来て、私は殺されて、お腹の中のおばあちゃんが救出される……みたいなところでこのお話終わるのね? そこは分かってるのかしら?」

赤ずきん:「分かってますよ? でも正直私、おばあちゃんのこと好きじゃないんです。だって、孫のコスプレして喜んでるんですよ? キモくないですか?」

おおかみ:「あー……うん。そうね、それは正直私もキモいとは思ったわ。でもそれだけの理由でおばあちゃん見殺しにするのはよくないんじゃないかしら?」

赤ずきん:「大丈夫ですよ! おばあちゃんが死んで悲しい……みたいな演技はできますから」

おおかみ:「……うん、心配してるポイントはそこじゃないの!あのね、さっきからドアの前で猟師さんがスタンバってるの知ってるわよね? あなたがキャーとかなんか言ってくれないと、彼入れないのよ?」

赤ずきん:「分かりました! 私が「キャー」って言って猟師さんおびき寄せるんで、おおかみさんはそこに隠れて待っててください。それでタイミングを見計らって、私が後ろから猟師さんをこの花瓶で殴って殺すので、そしたらおおかみさんは猟師さん1匹、お召し上がりください。これで私はもうキモイおばあちゃんと会わずに済みますし、おおかみさんも完璧にお腹いっぱいになります。めでたしめでたしですね!」

おおかみ:「え、それ、めでたしめでたし……なのかしら? 子どもが読んだら一生のトラウマになっちゃうわよ? ねぇ、お願いだから「キャー」って言って? 猟師さんに私を殺してもらって!」

赤ずきん:「おおかみさん、全ての生き物に生きる権利があります。それを人間がむやみやたらに奪うことこそ、本当に恐ろしいことだと思いませんか? 私はこの物語を通じて、子どもたちにその辺を問いかけたいのです」

おおかみ:「なんか上手いことまとめようとしてるけど、ちょっと前に猟師殺す計画してたわよね? あなた! でも、まぁもう、どうでもいいわ。取り敢えず猟師さんサイドに連絡してお引き取り願っておくわね。もうこれ以上、この物語に犠牲者を出してはいけないわ……!」

(SE:スマホの操作音)

END.


自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?