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インボイス制度⑪ インボイス発行業者が自身の仕入や経費で留意すべきこと

こんにちわ、皆様と一緒に成長していく公認会計士・税理士のガッツです。

インボイス制度⑨⑩として、インボイス発行業者として、売上先に対する義務をお話させていただきました。

インボイス制度導入後は、仕入・経費先に対して留意すべきことがございます。
なぜならば、インボイス発行業者⇒消費税の課税事業者⇒消費税の申告が必要⇒仕入・経費に対して帳簿や入手する資料に要件がある⇒仕入・経費先がこれらの要件を満たすために留意がいるからです。

インボイス発行業者が自分自身の仕入・経費で留意すべきことをご説明します。
正確には、インボイス発行業者が求められるというよりも、消費税申告を行うにあたり留意しないといけないこととなります。

1.(おさらい)仕入・経費で求められる要件(仕入税額控除)

消費税の申告に必要な仕入税額控除では、インボイス制度④で触れましたが、記帳する帳簿と、入手する請求書・領収書等に要件があります。

帳簿要件としてこれらが記載されている必要があります。
①仕入相手先の名称
②年月日
③内容
④取引金額(消費税額も含む)

以下の情報が記載されている請求書・領収書を保存する必要があります。
(要するにインボイス要件を満たしたインボイスが必要ということ)
①仕入相手先の名称(書類の発行元)と当相手先の登録番号
②取引の年月日
③内容
④税率ごとの対価、消費税の額
⑤発行を受ける方の名称

2.インボイス発行業者が仕入・経費について新たに具体的に行うべきこと

Ⓐ帳簿に仕入税額控除をうけるための記載を行う(消費税申告が必要な期間からは少なくとも)
⇒インボイス制度導入前に消費税申告を行っている方からすれば新たに行うべきことではないです。インボイス導入に伴い消費税申告が必要となる方は特に留意がいることです。

Ⓑ自身の仕入先・経費先がインボイス発行に対応するのかどうかの確認
以下の公表サイトで調べられます。
ただし、番号検索のため、相手先から番号を教えてもらう必要があります(法人の場合は、法人番号の上にTをつけた番号となるので、T法人番号で検索すれば、登録業者ならばヒットします。個人事業主の場合は聞かざるを得ないですね)

Ⓒ仕入先・経費先から入手するインボイスがインボイス要件を満たすのかどうかの確認

Ⓓ仕入先・経費先から入手するインボイスの保管方法の検討
⇒新たに検討するべきことではないですが、他の領収書等とどのように保管するかは再確認すべきです(捨ててしまわないように)。

Ⓔ顧問税理士をつける場合は、インボイス制度導入後の顧問税理士の関与程度の相談
・消費税の申告業務
・仕入や経費が仕入税額控除の要件に合う形での記帳(記帳代行の場合)
・仕入や経費が仕入税額控除の要件に合う形での記帳になっているかの確認(自身で記帳する場合)
・仕入や経費にもととなる資料がインボイス要件にあった資料かどうかの確認

3.各具体的に行うべき事項について、いつどのようなアクションが想定されるか

各事項について、インボイス制度導入前(準備段階)、インボイス制度導入後のいつ対応ができるのかも考えてみましょう。

Ⓐについて
(準備段階)仕入税額控除の要件にあう帳簿とするよう記載事項を強化する練習はできる(これまで行っていない方は)
(導入後)仕入税額控除の要件にあう帳簿とするような記載は必須

Ⓑについて
・(準備段階)自分の仕入先・経費先としてどのようなところがあるのか、年間取引規模はどの程度なのかの洗い出し
・(準備段階)自分の仕入先・経費先がインボイス発行業者かどうかの確認
・(準備段階)自分の仕入先・経費先とインボイス発行に対する対応協議
・(導入後)準備段階でインボイス発行業者かどうか確認できていない仕入先・経費先がインボイス発行業者かどうかの確認
⇒本音と建前の話と思いますが、準備段階でインボイス発行業者かどうかをすべて確認することは困難と思います(ぎりぎりまで対応考える業者も多いと思いますから)。どんな小さい中小企業でも仕入先・経費先はたくさんあると思いますので、主要先(金額のインパクトが大きいなど)に絞って確認するなどの事前対応になるかと思います。

Ⓒについて
・(準備段階)インボイス制度導入後に発行される予定のインボイスの確認
・(導入後)入手したインボイスの要件確認
⇒これも本音と建前の話と思いますが、準備段階で発行予定のインボイスをもらうことってなかなか難しいんじゃないかなあと思います。
システム改修が必要な会社とかもあるでしょうし、ある程度時期が来ないと、事前確認は厳しいというのが本音です。これも事前には主要先(金額のインパクトが大きいなど)に絞って確認するなどの事前対応になるかと思います。

Ⓓについて
・(準備段階)保管方法の見直し(これは相手が問題じゃないので、事前にできる)

Ⓔについて
新たに消費税申告となると、税理士報酬は上がる要因となります。お付き合いいただく税理士との関係にもよりますが、これは最低限やむをえないと思ってもらった方がよいと思います。
インボイス要件にどの程度該当するかどうかの確認ですが、「すべてをすべからず確認してください」となると税理士報酬はすごく上がる要因になります。
どの程度の確認を税理士に求めるかは税理士事務所と詰めておいた方がよいと思います。

最後に(インボイスを発行することよりも、仕入税額控除の要件を検討する方が大変なことが予想される)

インボイス発行については、自分でここまで対応するとすればいいので自分がしっかりすれば対応可能です。
しかし、仕入・経費は相手先のアクションにも相当依存しますから、発行する側以上に対応検討が大変なのだろうと予想します。


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