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ヴァージル・アブローから学んだこと

ストリートカルチャー好きにとって衝撃なニュースが走った。11月28日、41才という若さでヴァージル・アブローがこの世を去ってしまった。心臓血管肉腫という難病を患っていたらしい。僕レベルが彼を語るなんておこがましいが、彼が手掛けるプロジェクトにはとても刺激を受けたし、近い世代として鼓舞される事も多かったのでここに綴っておきたいと思う。

ヴァージル・アブローのキャリア

・1980年9月30日にイリノイ州にガーナ系移民の子として誕生。
・ウィスコンシン大学マディソン校を経てイリノイ工科大学大学院に進学。
・大学院在学中に建築を学びながらTシャツをデザインするようになる。
・シカゴのプリントショップでデザインを手掛けているときに、カニエ・ウェストと初めて出会う。
・2009年フェンディでインターンを開始。カニエ・ウェストも同インターンに参加しており親交を深める。
・フェンディの仕事を通じて、フェンディのCEOでルイ・ヴィトンのCEOでもあるマイケル・バークの目に留まる。
・カニエ・ウェストの会社のクリエイティブディレクターになる。
・2013年、ハイエンドのストリートブランド・オフホワイト(Off-White)を立ち上げる。
・2017年、ナイキと共同で「The Ten」というタイトルの新しいコレクションを発表。その後ナイキのさまざまなベストセラーシューズを手掛ける。
・2018年、黒人としては初めて、ルイ・ヴィトンのメンズウェアのクリエイティブディレクターに就任。
・2019年、IKEAとのコラボでマルケラッド(MARKERAD)という家具シリーズを発表

ヴァージル・アブロー代表的な作品

OFF WITE

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NIKE The Ten

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LOUIS VUITTON

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IKEA MARKERAD

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ヴァージル・アブローの書籍から学んだこと

ヴァージル・アブローの事を調べるには、英語の記事がとても豊富なのでそちらで調べるといいだろう。そんな中、数少ない日本語訳された本はこちら。

ハーバード大学のデザイン大学院での特別講義のハイライトをまとめた薄い本だけど、何気ない一文にも彼のエッセンスが込められている。自分なりの勝手な解釈をすると以下のような事が書いてあった。

・古い記憶に自分の原点になるDNAがあること
・オーディエンスとの対話は絶えず続けること
・異なるジャンルを横断すること
・手数を増やすこと

ヴァージル・アブロー思考に触れることのできる数少ない日本語訳資料だと思うので、手にとって読んでみた方がいいと思う。本から感じる彼のカジュアルさの中に潜む鋭い思考を感じられる。本を読んで率直に感じたのが、ヴァージル・アブローが言っている事とスティーブ・ジョブズが言っている事は類似する思想があるなと思った。スティーブ・ジョブズの有名なスピーチは以下。

将来を予想して、点(知識や経験など)と点をつなぐことはできない。 後々の人生で振り返った時にしか、点と点をつなぐことはできない。 今やっていることが、将来、自身の役に立つ(点と点がつながる)と信じて取り組みなさい。

ヴァージル・アブローに置き換えると、建築学、Tシャツのデザイン制作、CDジャケットのアートワーク、MVの監督、そしてDJ。 この経験は直接的には繋がりのないものに感じるが、彼の中ではそれぞれの経験が点と点になっていて、それらが線になりはじめたタイミングで時代が彼を必要としたのだろう。世間的にはその目に見えないプロセス(長い経験)が一瞬にして彗星の如く現れた天才に映ってしまうのも無理はない。

彼の生き様をみていると、世の中に溢れるハウツーや小手先に左右されず、自分の嗅覚を信じ、目の前のやるべき事に誰よりも全力を注いできたんだろうと強く感じる。仮にそれが遠回りだったとしても、ヴァージル・アブローの人生や仕事に対するアプローチはこれから時代を築く若人達にとっては本質を知るショートカットになるはずだ。

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R.I.P. Virgil Abloh

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