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『四顧溟濛評言録』

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私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中… もっと読む
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#新型コロナウイルス

差別の根本原理としての「種」についての省察−病の齎す災厄の下で

 昨今の新型コロナ騒動において、人々の罹患や病死、或いは疫病とそれに対する各種の対策によって引き起こされる経済への大打撃といったその直接的な被害とは別に、人心を惑乱させる出来事が幾つか起こっている。例えば、国境や都市のロックダウンなどの強権的な方策、そして新型コロナウイルスに対する恐怖心からそれを求める民情によって、人々の自由を制限する国家権力がそのまま際限無く肥大化する可能性があることが、主にリ

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「グローバリズムの隠喩」としての新型コロナウィルスの世界史的意味−「市民的公共」の黙示録

 今、新型コロナウイルス(COVID-19)が全世界を恐怖のどん底に陥れている。

 昨年十二月に中国の武漢において発生したこのウイルスは、数ヶ月の内に瞬く間に全世界へと拡散していき、各国では大混乱が巻き起こっている。何れの国においても、マスクは言うまでもなくトイレットペーパーなどの生活必需品や食料品などが買い占められ、遊園地など人の集まる大規模な施設が閉鎖され、更にコンサートから学会まで諸々のイ

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