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『四顧溟濛評言録』

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私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中… もっと読む
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#哲学

人間の愚かさについての哲学的序説−「愚かさ」を理解するとはどういうことか

 人間は愚かだ−今までもしばしばそう言われてきたし、これからもしばしばそう言われ続けるであろう。然り、殆ど多くの場合、人間は愚かだ。我々は往々にして、見通しが利かず、判断を誤るし、思い込みや謬見、或いは短絡的な感情に囚われ、放埓や粗暴に走る。それは事実である。しかしこれほど先進的な文明の中に生きる我々ですら尚もそうだとすれば、人類は文明の誕生以来ずっと知恵を追い求めてきたはずであるのに、尚も愚かし

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