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2022年4月15日(金) 固有名詞を武器にする

れーやとの興奮を引きずる形で前日は眠りが浅く、朝から具合が悪い。こういうときZoomMTGはこういうとき画面をオフにできるから便利だ。具合が悪そうな表情を見たい人は誰もいない。

少し仮眠をすると、午後は緊急対応に追われ、仕事関係の飲み会に向かう。体調のせいも幾分あっただろうか、まだまだセルフコントロールが甘く、不遠慮な質問に対して、少しイラッとしつつ回答してしまう。息が上がる。こんなタバコ臭い個室ではなく、オープンテラスで飲みたい。そういう意味でも北千住の親不孝通りは、オープンな空気感もあって冬は特に良い。

特に初対面の人との仕事関係の飲み会は相手のパーソナルスペースも分かってない中でどこまで踏み込めばいいのか掴みかねている。これが仕事でなければ、バチバチやった上でもう二度と会わないんだろうな、という横暴なコミュニケーションは成立するが、仕事ではそうもいかない。

良好な関係を作るための印象の良さと、印象の良さだけでは何者でもないという印象が残ってしまうので切れ者感も出さねばならない。このバランスがまだ難しい。だいぶやれる方だとは思うが、今日は一緒にメンバーがいてくれてよかった。

いい場にでききらなかったという不安もあったが、1次会解散すると相手方から「もう1軒いきますか」と声がかかり、いっきに安心する。メンバーの提案で銀座のバーが電話予約され、名前ひとつで銀座のバーに認知され即予約がとれる30歳すごい、と思う。彼の深さはちょっと生きてきた世界が違うタイプだ。

相変わらずバーで飲むお酒は何を頼んでいいかわからない、とそう先日友達に行ったらBRUTUSでも読めばいいんじゃないという雑なアドバイスをもらったので、僕は素直なので早速「音楽と酒。」という特集を買ったが一度も開いていない。

だからそのお店でも何を頼んでいいかわからず、先客の女性がマティーニを頼んでいたので、同じものをもらう。マティーニはこんな強いお酒だったのかという感じで、全然進まず、水4:マティーニ1くらいのペースで進む。


「うちは女性に声をかけたりはダメ、そういう店じゃないから」とマスターは言っていて、あぶないあぶない先に言ってよと思う。遠くの席だったからよかったものの、近くに座っていたら絶対声かけていたし、それが北千住で習ったマナーだ。人は自分の育った環境や視界からでしか現実を捉えることができない。

しばらく飲んでいると、お店に医師の先生がやってきて、メンバーが知り合いだったもので、お店に知り合いが来るのすごい〜となる。
映画の話をきっかけに、野崎歓なんてキーワードが出たから、蓮實重彦と言ってみたら先生が蓮實好きで「俺も大学の頃は蓮實に当てられて映画を200本くらい見てさ〜」なんて広がって、「よ、映画狂人!」と掛け合いになり、千葉雅也、宮台真司、ゴダール、キアロスタミ、滝口悠生なんて会話が繰り広げられて何この知識人集団〜みたいな空間で楽しくなる。

固有名詞は知っているもの同士だと、簡単に特別感・内輪感・優位感を作れるのだな。この武器は対象範囲が狭いのだが、しかし私たちがアプローチしたい権威層には意外と有効なのかもしれない。

しかし僕は固有名詞の単語を発する以上に深堀りはできないので、本当に自分の浅さが嫌になる。本当の知識人が多い環境にいることで、僕みたいなペラッペラの知識人の皮を簡単に剥がれてしまう。しかしそれは20年もかけて大量の固有名詞のシャワーを浴びることで作り上げてきた自尊心そのものだ。固有名詞を使わずとも自分の言葉で表現する力を磨くために、いま僕は日記を書いているのだ。


3時間近くバーで飲んで、24時頃に解散。最後にはハグをしていた。

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