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企業の強みは「らしさ」。情報と感情を共有するインナーコミュニケーションが組織を強くする。

年功序列や終身雇用がなくなりつつあり、組織と個人の関係性が変化しています。フリーランスで働く方も増え、自分がなぜ現在の組織で働くのか?問い直している方もいらっしゃると思います。企業側としても「組織づくり」に力を入れるケースが増えました。

組織づくりに必要なインナーコミュニケーションをどうするか?課題感をお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回はインナーコミュニケーションを支援するglassy株式会社CEO工藤太一さんと社長室吉本香織さんにお話を伺いました。

リモートで効いたインナーコミュニケーション施策は、意外にも日報。

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工藤太一さん(左)、吉本香織さん(右)。
※取材は感染症対策を講じた上で実施しました。

ーglassyさんのインナーコミュニケーション施策について伺いたいと思います。日報がリモートで働く環境で効いた話を工藤さんのnoteで読みました。

工藤:日報と聞くとネガティブな印象を持たれる方も多いと思いますが、弊社は全員が書いています。言葉のイメージだけだと営業日報が浮かぶかもしれませんが、弊社の場合は目的が「報告」ではありません。目的は人材育成で、自分の為に書くのが原則です。内省する時間が毎日を豊かにしてくれるんですよね。

吉本:日報を始める際に、工藤から「Twitterのように気軽に書けばいいんだよ」と聞きました。リモートの環境だと他チームの動きが見えづらくなる中で、情報や感情の共有がされるのはすごく良かったなと思います。

工藤:日報は意外と情報量が多いんですよね。感情が共有されることで心理的安全性が担保されたんだと思います。文量としては長くても300~400文字ですが、中身が全部エモーショナルなんです。一日を振り返りを内省した本人の言葉で書くと、文章の中で「困っている」「元気がない」のが伝わってきます。

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画像引用:日報を始めたら、テレワークに上手くマッチしたというnoteです。

ー 他にインナーコミュニケーション施策で取り組んでいることはありますか?
吉本:
毎週金曜日に配信している社内ラジオ「G-voice」、経営方針発表会「THE DAY」、4半期発表会「Gフォーラム」、月1の全体共有会や、ミッション・ビジョン・バリューの浸透を目的とした「Gスタ」などを運営しています。
「Gスタ」ではワークショップ形式で複数人のグループに分かれ、glassyのバリューに紐づけたエピソードを共有しています。理念の社内浸透や体現を目的とし風土を作っていくプロジェクトで、毎回盛り上がりますね。他にも、インナー施策としてリクルートガイド制作に入社1年未満のメンバーが取り組みます。自社のことを社外に伝える過程でよりglassyへの理解を深めるプロジェクトになっています。

【glassy様のインナーコミュニケーション施策】
・経営方針発表会
・4半期発表会
・全体会
・バリュー社内浸透プロジェクト
・オンボーディング
・グループ報
・リクルートガイド制作
・オウンドメディア
・社内ラジオ
・社内向け動画配信
・日報の活用

試行錯誤をしながら様々なプロジェクトを立ち上げて推進しています。

経営者の言葉を適切に届ける顧問編集者

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ー経営者のメッセージを社内外に適切に届けるために「顧問編集者」の竹村さんと仕事をご一緒していると伺いました。どんな事を依頼されているのでしょうか?

工藤:明確に何をやるのか決まっているというよりも、相談しながら進めています。ビジョンなど伝えたい内容はたくさんありますが、まず僕自身が何者なのか?伝えていく方向性で考えています。

相談しながら感じるのが「自分にどんな価値があるのか?」客観的に理解するのは非常に難しいんですよね。竹村さんとの壁打ちを経て、公開したnoteがあります。正直な話公開されるまで自分のエピソードに価値があるかどうか不安でした。

実際に公開したら、あまりにも多くの反応をもらい怖くなりました(笑)

ー竹村さんとのやり取りの中で特に印象的だった部分はありますか?
工藤:
僕がひた隠しにしていた二代目や跡継ぎを前面に出しましょうと提案してもらった部分です。二代目は自分の力で手に入れたものではないイメージがありコンプレックスでした。

当時はインナーブランディングを展開していく為にも恰好つけなきゃと思っていたんですよね。社内報でも二代目関係の内容は出していませんでしたが、竹村さんは人のコンプレックスを出すのが好きなんですよ(笑)

雑談の中で、竹村さんは僕があまり喋りたくないことばかり聞いてきて「おそらくこの人の面白いところはここだ」と気づいたと思うんです。その人の「どの部分に一番価値があるのか?」見つける竹村さんの能力は、本当にプロフェッショナルですよね。

ビジョンの立脚点は組織の強みである「らしさ」

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ーインナーコミュニケーションを軸にしたカンファレンス「Innerbranding Days 2020」を開催したきっかけはなんだったのでしょうか?
工藤:僕達のメイン事業は社内報の制作ですが、制作会社になろうとしているわけではありません。社内報から範囲を広げたインナーブランディング支援を目指しており、当時は事業を変えていくフェーズでした。そのためにはglassyがインナーブランディングに関わっている会社だと認知される機会を作る必要がありました。その手法としてオンラインでのカンファレンスを開催したんです。

ーコロナウイルスをきっかけに人と組織の関係も変化しましたよね。
工藤:
組織が以前より求心力を失っている話は耳にします。年功序列や終身雇用がなくなりつつあり、フリーランスとして働く方も増えました。会社と個人の関係性を見つめ直す交差点に差し掛かっているのかもしれません。

現在では様々な企業が課題意識を持って「組織と採用」を経営戦略の中に組み込んでいます。今までは「組織づくり」や「組織文化」はCEOのアジェンダに入っていなかったわけです。どちらかと言うと、役員やミドルマネジメント層の取り組みでした。しかし、21世紀になってからは「組織のあり方」がCEOの取り組む課題そのものになってきました。

顕在化していなかった課題が、経営会議のテーブルに乗るようになってきたんです。社会情勢が僕らの目指す方向性に噛み合ってきた印象があります。

ー組織課題に対して様々な企業が取り組み始めた印象があります。
工藤:
glassyは「企業のらしさをありたい姿に。ありたい姿を働く人のなりたい姿に。」をコーポレートスローガンとして打ち出しています。
企業の強みはらしさに現れます。社会課題や環境の変化によって、かつては強みだった部分が弱みに反転していく会社もありますよね。時代が変わっていく中で企業が存続していくにはビジョンを描く必要があります。ビジョンの立脚点はつまり「らしさ」なんですよね。ありたい姿を描くビジョンと「らしさ」は同じ経路にあるんじゃないでしょうか。未来に向けてビジョンを再定義する時代なのかもしれません。

ただ、社員は会社のビジョンにすぐ共感するかは分からないと思います。
企業で働く社員一人ひとりにも、個人の目指す将来像がありますから。
企業のありたい姿と個人のなりたい姿に橋が架かり、重なり合っている状態を目指す手助けをするのがインナーコミュニケーション施策ではないでしょうか。 

働く人の将来像と組織に所属する意味がシンクロするために。

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ーインナーコミュニケーションの重要性が上がっている理由はなんでしょうか?
工藤:
働く人の将来像と組織に所属する意味をシンクロさせるためだと思います。
自分の仕事が会社のビジョンとどのように結びつくのか?貢献している手触り感がないと自分の存在意義が揺らぎますよね。現在はリモートで働く環境だと、自分が役に立ってるのか貢献してるのか感じづらいんじゃないでしょうか。
ビジョンの前に「そもそも自分が必要されてるのかどうか?」「きちんと貢献出来ているのか?」の方が大事なんですよね。僕はそれを半径5mのインナーブランディングと呼んでいます。
従業員の心理的安全性が担保されていないのに、その先の景色は見えないと思います。

ー組織課題を抱える企業は、具体的に何から始めるのがいいでしょうか?
工藤:
お互いに話す機会を増やすことじゃないでしょうか。そもそもコミュニケーションが希薄になり、話す機会が減ってますよね。
話す機会を仕組み化して作るのが大事だと思います。重要性は分かっているものの、なかなか意図しないと優先順位は落ちるので、仕組みとして設定するのが大事だと思います。

ーglassyさんの今後についてお聞かせ下さい。
工藤:
インナーブランディングについて困っている方に僕たちのサービスをソリューションとして提供出来るようになりたいです。そのためには、glassyが魅力的な会社になることで社会に伝えられると思っています。その部分に再現性や有効性がないと「実行する価値あるのか?」となってしまうので、しっかり伝えていける企業でありたいと思います。

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【工藤太一さん(左)】
glassy株式会社 代表取締役社長。
印刷の価値を見直し、上場・ベンチャーなど100社以上の「広報誌」を作成することでブランディングの支援をしている。

【吉本香織さん(右)】
一部上場企業の採用・研修担当を経て2019年にglassyへ入社。人事・組織開発に携わり自社のインナーブランディングを牽引する立場。

glassy株式会社
https://glassy-co.jp/

取材・文・編集/佐藤政也 デザイン/熊谷怜史

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