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【空き不動産を活用すれば、街はもっと住みやすい場所になる】

1.不動産の価値は利用の対価で決まります

不動産はそれを利用するために対価が支払われることで価値が生まれます。ですから利用されない不動産には価値はありません。不動産の所有には公租公課と管理費用が必要なので、利用されない不動産を所有すると損失が生じます。利用の対価が費用よりも小さいときにも損失が生じます。損失を回避するにはその不動産を手放すか有効に利用しなければなりません。

2.不動産の価値は最有効使用の時が最大です

不動産鑑定評価理論には「最有効使用」という概念があります。土地と建物は一体となってその効用を発揮しますから、土地の環境に用途が適応し形態が敷地に適合した建物が建っているときが最有効使用の状態です。「最有効使用」は時の経過とともに変化しますから、「最有効使用」の状態であり続けるのには、建物の用途や形態を定期的に見直さなければなりません。

3.空き不動産は用途や形態を替えて利用しましょう

人口が増え続ける地域では住居を事務所や店舗に変えることで利用価値が上がります。人口が減り続ける地域では空き家になった住居を倉庫や作業所に変えることで利用価値が生まれます。駅に近いシャッター商店街の空き店舗を住居に改造したら、借り手が見つかるかもしれません。空き不動産の用途や形態は「最有効使用」と大きく乖離していますから、所有者がそれを見直して、「最有効使用」の状態に替えれば利用してもらえます。

4.空き不動産の放置は迷惑行為です

空き不動産をそのまま放置しておくと、周辺の環境に悪影響が生じます。住居であれば雑草の繁茂、火災発生の懸念、治安の悪化など、店舗であれば商店街の繁華性が減退します。他人に迷惑をかけないで暮らすことが人としての基本であるのなら、不動産の所有者は空き家が適切に利用されるように努めなければいけません。賃貸するにあたって従前の用途にこだわらないことや環境の変化に適合するように建物を改造することなどの工夫が必要かもしれません。

5. 空き不動産が街を衰退させます

空き不動産の放置から街の衰退が始まって、その増加で街が消滅します。空き不動産を利用できれば街の衰退が止まります。利用される不動産が集積すると街が生まれ、高度利用されると街が成長しますから、停滞する街を活性化するために、空き不動産の利用方法を考えて、変化させるのは所有者の責任です。いくら考えても利用できないのならば、取り壊すほかはありませんが、用途を見直して賃貸するか、改造して賃貸するか、利用を他人に委ねるために売却するか、いずれかの判断をせねばなりません。

6.街の歴史の延長上での変化であってほしい

街にも建物にも歴史がありますから、それを無視した変化は好ましくありません。不動産の用途や形態が変化すると街も変化します。街の景観や歴史をあまり変化させなくても、環境を良くする方法はたくさんあります。立派な建物を古民家カフェとして利用したり、飲食店舗を子ども食堂として利用したり、空き住居を公営住宅として利用したりするのなら、景観を大きく変えないで、街の歴史や人々の思い出を壊さないままで、住みよい街に変えられます。

7.地方公共団体も役割を担ってほしい

地方公共団体との連携が可能ならば、もっと色々な利用方法が考えられます。少子高齢化が空き家を増やし、街を衰退させる主要因で、高齢者の介護費用が街の財政を圧迫しているのなら、高齢者が介護施設に入らずに健康に暮らせる環境と、子供を育てやすい環境の街にすれば問題は解決します。そんな街づくりに空き不動産を使いましょう。
定年退職した高齢者が認知症になる原因は何もすることがないからです。何もできないのは遊び相手や仲間がいないからで、何かするための場所が無いからです。空き不動産を地方公共団体が公租公課程度の賃料で借り上げて、その金額で市民に提供したら、そこは高齢者の仲間づくりの拠点にもなり、子供たちの安全な居場所にもなりえます。

8.最初は日替わりでいろいろやってみよう

月曜日は囲碁や将棋を楽しむ日、火曜日は一緒に料理をつくって会食をする日、水曜日は子供たちに昔話や読み聞かせをする日、木曜日は読書や俳句や和歌の会を楽しむ日、金曜日はカラオケを楽しむ日、土曜日は前座の落語家の話を聞いてあげる日、日曜日はサークルの発表会や街づくりの相談をする日などと決めて使ってみることから始めましょう。利用者が増えたらそんな場所を次々に増やし、それぞれの楽しみ方のための専用の場所を作り、空き不動産を減らしていきましょう。

9.子供の安全な居場所を造りましょう

少子化の原因の一つは子供たちが安全に過ごせる場所がないからです。昔は大人たちが街のいたるところで遊びまわる子供たちを見守っていてくれました。今は大人たちに余裕がなく、他人の子供に干渉したりしにくくなりました。その結果、街中に子供たちの安全な居場所が無くなりました。児童館や学童という形態だけでは足りません。子供たちの居場所の選択肢を広げましょう。どの部屋で遊んでもいい家やどの部屋で勉強してもいい家があったらいいですね。登校拒否児童や養護学級の児童には専用の居場所が必要です。空き不動産を活用することで、目的別に子供たちの居場所をたくさんつくれます。
保育園という形態だけでは足りません。夜間を含めた様々な時間帯に幼児を預かってくれる施設があれば、働ける人がもっと増えるはずです。そんな24時間体制のナーサリ施設として空き不動産を活用しましょう。

10.空き不動産はまず集会場にしてみましょう

趣味のサークルが部室のように使える集会場を幾つも造りましょう。その賃料の代わりにその家の維持修繕と管理を使用するサークルにやってもらいましょう。子供たちの居場所の維持修繕や管理・運営もサークルごとで分担してやってもらいましょう。そうすれば昔の大人たちが当たり前にそうしていたように、大人たちが街の安全を守る役割を自然に担ってくれます。

11.空き不動産を活用すれば街はもっと住みやすい場所になる

人生100年時代なので、65歳で定年退職してからの35年間は、若い働き手を助けるために活躍しましょう。保育士を補助するベビーシッターの認可研修制度、学童での子供たちの世話係の認可研修制度などを創設すれば、人手不足を補うことができ、研修を受ければ高齢者の活動範囲が広がって、要介護となる高齢者の数も減るでしょう。元気な高齢者が増えたらあとは無料で使える場所さえあれば、若い人たちと一緒に新しいビジネスを始められます。飲食業でもサービス業でも物販業でさえも、原価としての賃料分だけ安く提供できるので、ビジネスとして成立しやすい環境です。空き不動産を活用した店舗が増えて、街の住み心地が良くなって、やがて街の人口が増え、不動産の価格が上がり、街の税収も増えて、街はさらに住みやすくなるでしょう。

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