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2022年版 リバネスのITインフラでどんなことができているのか Salesforce/Slack/Tableau/Heroku/Pardot

ちょっと振り返りが必要になったこともあり、ちょうど年末ということもありましてまとめてみましょうというお話。8月にIT支援特化のリバネスナレッジという会社も作りましたので、その宣伝も兼ねて。

ちょっと気が早い部分もあるのですが2023年1月にはこんな形になっている予定です。

リバネスシステムカオスマップ

ITインフラの構築理念について

基本的には「できる限りオープンにする」ことを念頭に作られています。情報は自分で取りに行くことができるものという位置づけにしており、人的なWetな関係でもって誰かから引き出さねばならないという状況は作らないようにしています。
情報の属人化を避ける事によって、ボトルネックが出来ない組織を作り上げること。情報が共有されていることを前提にする事で、突発的な人のダウンで仕事が止まることが無い助け合いができる組織を作るということ。そんな組織形態を目指して作られています。コロナ禍も相まって、突然誰かが動けないという状況が当たり前に存在するという事実が共有され、それでもビジネスが止まることなく動くためにはお互いに持ちつ持たれつであるという前提を共有にした組織は、心理的安全性の向上に効果があっただろうと感じています。

2022年の変化について

2022年はいくつかの大きな変化がありました。

Slackをエンタープライズグリッドに変更

セキュリティ環境の向上と、Slackコネクトを最大限利用することでコミュニケーションコストの低減を図っています。(エンタープライズグリッドでは、相手先がSlackの無料ユーザでもSlackコネクトが利用できるというスペシャルな利点があります)。これによって従来はメールでやり取りするしかなかった社外とのやり取りをSlackに集約することが出来つつあります。メールから転換するメリットは、その人じゃなくてもやり取りを確認することができるという点です。メールはデータサイロ(遮断された情報)の温床ですので、この変化は大きな変化と言えます。

Salesforceに子会社を統合

これまで日本のリバネスのみしか使っていなかったSales Cloudに、完全子会社を統合しました。これによって
・株式会社リバネス
・株式会社リバネスキャピタル
・株式会社リバネスナレッジ
・リバネスシンガポール
・リバネスマレーシア
・リバネスフィリピン
の情報が一元的に把握できるようになりました。
事業計画の立て方、それに対するアプローチについても海外展開を行いつつあり、日本でやってきたCRMを使った事業推進の手法によってボトルネックを解消できるようになっています。
個人的には、各国の売上を横並びに確認できるダッシュボードがお気に入りで、以下の画像のように年度ごとの売上金額と達成度及びJPYにレート変換したときの金額なんかも見れるようになっているので各国の事業規模も把握できるようになっていて便利だな〜と思いながら眺めています。

4カ国の売上ダッシュボード

Tableau ServerからTableau Cloudにお引越し

元々、自社サーバで運用していたTableauをCloud側に引っ越しました。Tableau Serverってかなりハイスペックでメモリ爆盛にしておかないと動かないんですけど、ちょっとメンテナンスに心が折れまして…。というのと決断のきっかけはこの記事でした。

それなら移行するぜって思いません?

Salesforceの様々なアセットとの連携を進めることです。この連携の対象には、Salesforce CDPCollaborative AnalyticsService Analytics、そしてSlackを含みます。さらにSalesforce Einsteinとの連携も進めたいですね。TableauをSalesforce Customer 360のアセットと一緒に使ってもらうことで、お客様のCXをさらに向上させられると考えています。

https://enterprisezine.jp/article/detail/16634

Salesforceを使い倒せ

どこから書いていいのかまじで分からないので色々書こうと思います。これまでの色々は既にnoteに書き連ねてありますが改めて。

取引先情報が大事という話

2014年にSales cloudを使い始めてから、一番の優先事項は営業です。どうやって営業効率を上げていくのかを考える訳です。弊社の場合でいうと、取引先別に現在の提案額と、現在の成約金額を年度ごとに集計してあり、ビューで見ることができるという状態になっています。

取引先別売上集計ビュー

やってることは、年度ごとの商談金額をバッチ処理で取引先の特定の項目に投入するというシンプルなものです。
例えばこれを前年度の成約金額降順ソートにしてみると次年度の提案金額や成約金額の穴を見つけることが簡単にできる訳です。複雑なことを考えなくてもぱっと理解できるインターフェースであることと、アクセスしたときに最新情報で表示されることが重要で、これさえあれば誰でも簡単にやらなければいけないことが分かるという状態になっています。

事業計画に対する進捗を把握する

こちらはVisualforce Pageで作っています

全社の数字が一覧できる

こんな感じのダッシュボードになっていて、事業部の事業計画達成度が把握できるようになっています。同じダッシュボードですが事業部別の詳細ダッシュボードもあり、事業カテゴリ別、月別の売上状況が分かるようになっています。
工夫してある点は、こういうダッシュボードは、今現在を点として捉えることが多いのですが、過去7日の間に発生した商談はあるのか?という数字についても観測ポイントとすることで、動けているかどうかを見ることができるようになっています。
↑のテーブルの各セルをクリックすると、そこに内包されている商談リストが現れる仕組みになっているので、数字の根拠もこのダッシュボード一つで把握することが出来ます。(この仕組自体は、Sales Cloudの売上予測ダッシュボードの機能をもとにして作ってあります)

Heroku上にアプリを置く

Heroku Connectを基盤としたアプリ リバネスID

リバネスでは、リバネスIDというIDを作成して、それを使ってコミュニケーションを取るという形にしています。いわゆる会員サイトです。https://id.lne.st
ここでは、自分の会員情報の更新であったり、各種イベントやプロジェクトへの申請、学習記録やレポート提出、リバネス研究費やTECH PLANTERといった支援プログラムへの申請書の提出といった、ユーザがコミットするための窓口として機能するサイトです。
データ連携はこんな感じ

リバネスIDはメールアドレスをユニークキーにしたオブジェクトとしてSales Cloudに格納されており、Heroku Connectを使ってHeroku Postgresと同期しています。ユーザが提出したデータはHeroku ConnectによってSales Cloudに同期しますし、リバネスがSales Cloud側で作成したデータは逆にHeroku ConnectによってWebアプリ側へとプッシュされていきます。
今年のNewで言うと、前年まではユーザがコミットしたデータのやり取りのみだったのですが、例えばWebアプリ側でメールアラートを送信した場合にその送信履歴であったり、メールを開いた、メールをクリックしたといったデータもログとして作成してSales Cloud側に同期しています。これがあることによって過去にどんなアクションしたのかという証拠が残るようになり、何かのトラブルが発生した際に、何時何分にこのような情報が飛びましたよというようなやり取りが可能になっています。特に我々は申請書の提出に締め切り時間を設定しているもので、ユーザからすると締切までに申し込んだはずなのに申請完了として扱われなかった!というのではたまったものではありません。こちらがわでどんな操作が行われたのかを細かく把握できるようになったことで、セーフかアウトかを担当者レベルで把握できるようになったのは大きな進化だと言えます。これが無いうちはHeroku Connectのログを確認したり、それでも出てこなければログが失われていて何が起きたのか把握不能になっていたので、やり取りに困ることが多かったんですよね。

Pardot的な機能を作った2022

上述したとおり、アクションのログを作るようになりました。Pardotのデータについては後述した形で取得するようにしているのですが、これと同様な機能を自社アプリにも導入しています。
具体的にはメールの配信機能と、送信後のログ、Webアプリケーション上のアクションログといったものを収集できるようになっています。ユーザー情報がもりもりとSales Cloud上に集まってくるという状態になりました。
これらのログデータについては、Heroku ConnectではなくCRM Analyticsのレシピを使ってSales Cloud側に書き出しています。理由としてはデータ量が増え続ける一方且つログデータは更新が無いのでHeroku Connectみたいに相互更新機能は不要という点と、Heroku Connectはレコード数上限があるのでログデータに使ってしまうと課金料が半端なくなってしまうということからですね。詳細については以下の通り

Webアプリの管理画面をなるべく作らない運用

リバネスIDには元々管理画面がありませんでした。設定自体はSales Cloud側で全てやってしまえるような状態にしてしまうことで、Webアプリ側の開発工数を削減しようとしたからです。今現在はSales Cloudだと冗長になってしまうような部分について最低限はWebアプリ側に寄せていますが、基本的には管理画面側への工数は少なく、ユーザが利用する画面側へのコミットを多くするという体制にしています。Sales CloudのGUIが良いのは、スタッフが操作になれている事です。自社制作とはいえ普段使ったことのないアプリで何かをするというのはストレスがあります。それをHeroku Connectを使うことによって回避できるというのは大きな利点だと言えるでしょう。

コンテンツ配信用のサイトもHerokuに置く

こんなサイトを設置しています。元々リバネスで紙媒体として作成してきたコンテンツをWeb上に配置しましょうということで考え始めたのですが、誰がどんなコンテンツに興味があるのかというのは重要な情報ですよね。
このサイト自体がHeroku 上においてあるのですが、会員ログインにつかうのは上述したリバネスIDを利用します。ログインして閲覧してもらうことで、どんなコンテンツに足跡ついたかが分かるようになっている事に加えて、Pardotのトラッキングコードを設置する事でログインしていなくても誰がアクセスしてきたのかが分かるようになっています。その仕組については以下を参照。

Heroku上に認証サーバを立てる

ということで、元々は申請書の提出につかっていたリバネスIDなのですが、mediaだったり、来年リリースするとあるサービスだったりといろいろなサービスへのログインに利用する形になってきました。2022年はid.lne.st に密結合だったログイン機能を認証サーバとして分離し、許可したサイトからはOAuth接続できるような形にすることが可能になっています。既存サイトのログイン機能の置き換えはまだ行えてないのですが、それも追々対応するということで。

Slack アプリを作りまくりました

https://note.com/geeorgey/n/n7d6cc149797e

これはもう閉じちゃいましたが、Slack上にSNS作れないか?というチャレンジ。割と面白かったですね。

現在運用中のサービスは以下の通り
DeepL Translator ←2022.12 リリース New!
ToDo管理のTASUKARU
公開チャンネルのpostを転送するTimeLine
ランダムリマインダーのTIPS
Sales Cloudの活動報告をSlackから書いちゃうSlack Salesforce Connector
Googleカレンダーの予定を流してくれるYOKOKU
休暇中のユーザを知らせてくれるOYASUMI

この辺についてはベータサービスということで、ユーザ情報をリバネスIDとマッチさせるみたいなことはしていません。元々のリバネスIDのユーザー層(研究者や先生方だったり弊社クライアントだったり)と全く違う層が使っているので、ここについては別の世界でいいかなと思っています。

Slack → Salesforceにデータを投入する世界観

割と最近よく言ってる事なんですけど、「Salesforce開きたく無いですよね?」みたいな話、ありませんか?何か情報を見に行く必要があるときは構わないと思うんですけど、データの投入の為にブラウザ(モバイルアプリ)開いて当該レコードを検索し、情報投入用のウィンドウを開いてから入力が始まる…っていうのはとても億劫といいますか、ステップ数が多すぎる気がしています。先ほど紹介したこれは、誰もが使える汎用的なものとしてリリースしてあるんですけど
Sales Cloudの活動報告をSlackから書いちゃうSlack Salesforce Connector
社内用には、カスタムしまくったSalesforce Connectorが動いています。
まず書き出しはSlackなんですよね。書いとくと誰でも読めるから。
文章内に.report って文字を含めておくと、Sales Cloudのどこに紐付けるかっていうモーダルが立ち上がるという形になっています

.reportコマンド

あとは紐付けたい先のボタンをクリックして連携先を探して選べば完了というイメージですね。楽ちん。
特にリバネスでは、いろいろなレコードを持っている事もあって、対象レコードを探すのが大変だったりします。目的別にオブジェクトやレコードタイプを絞って検索してくれることもあってSales Cloudでグローバル検索するよりは検索性が高いみたいです。

Tableau →Slack連携の力強さ

詳細はこちらに

これは相変わらず強いですね。Tableauの連携先は、先程のHeroku Postgresもあれば、Sales Cloudもありますという感じになってます。
これなんかは、先程紹介したTASUKARUのダッシュボードです。

TASUKARUの現状分析Dashboard

ユーザー数増えてるの?減ってるの?機能は使われてるの?みたいなことがパット見で分かります。これは毎日19時に自動的にSlackチャンネルに流れてくるようになっています。
この他にも、売上進捗ダッシュボードだったり、イベント集客ダッシュボードだったりといったものが作られ、Slackに流れるようになっています。リバネスでは数字の集計に時間をかけるということがありません。かつて莫大な時間を溶かしていた数字の確認を自動化出来た恩恵によって、その時間をお客様に返せるようになっていると思います。

ということで

もっと色々あるような気がするのですが、長くなったのでこの辺で。
最初に紹介致しましたリバネスナレッジでは、Salesforce/Slack/Pardot/Heroku関連の導入についての相談も請けられるようになりましたので(今までのリバネスでは出来なかったITの仕事ができるようになりました)、なにかありましたらご連絡ください!
TwitterでもFacebookでもLinkedinでもどうぞ。

noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。