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【ドルーピー】

1940年代~50年代に掛けて制作されたアメリカのアニメの中に〈ドルーピーシリーズ〉がある。

主役の〈ドルーピー〉は、バセットハウンドという犬種の小さな犬で、いつでも少し眠そうな眼 をしているキャラクターである。

〈ドルーピーシリーズ〉は、どの作品もアメリカンジョーク満載の傑作揃いなのだが、僕が特に好きな作品に、白人保安官が昼寝をしている隙に、金庫の中の大金を盗もうとする2人の泥棒犬と、それを阻止しようとする保安官助手のドルーピーとが攻防を繰り広げる、という作品があるのだ。

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舞台は西部だ。

大金が入った〈ドル袋〉を金庫に仕舞い込んだ保安官がドルーピーに言いつける。

「ドルーピー❗️ワシは今から昼寝をする❗️悪いヤツらに金を盗まれないように、オマエは見張っとくんだぞ❗️いいな❗️」

従順なドルーピーが応える。

「はいっ❗️わかりました❗️保安官殿❗️」

「ワシは神経質だからな❗️音を立てるんじゃないぞ❗️音でも立ててワシの安眠を妨害しようもんなら、コレだぞ❗️」

そう言うと保安官は両腰のピストルを抜いて、床や天井を「バン❗️バン❗️バン❗️」と撃ち捲って凄んだ。

「はいっ❗️わかりました!保安官殿❗️」

ところが窓の外でそんなやり取りを盗み聞きしていた、デカチビコンビの2人の泥棒(犬)がいたのだ。

細面長顔のデカ泥棒と丸顔のチビ泥棒である。

2人の泥棒は、保安官が寝入ったことを確認すると、さっそく金庫の中の金を盗むために動き始めるのだ。

ライフル銃を肩に担いで金庫の前をグルグルと巡回するドルーピーの隙をついて、2人は金庫を開けようと奮闘する。

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まずは、金庫破りの工具を手にした2人が靴を脱ぎ、忍び足で部屋に入っていく。すると床の隙間に上向きに仕掛けてあった2枚の小さなガラス片を踏みつけてしまう。思わす悲鳴をあげそうになった2人は片手で口を押さえ、片手でガラスを踏んだ足を掴み上げ、ケンケン走りで裏山まで行って悲鳴をあげた。

「ギヤォォ~~~ッ❗️」

「ワォ~~~ッ❗️」

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再び金庫の前までやってきた2人・・・チビ泥棒が工具箱からドリルを取り出して金庫の扉に突き刺そうと腕を振った瞬間、急に前に飛び出してきたデカ泥棒のお尻にドリルの先が思いっ切り突き刺さる。刺された彼は片手で口を、片手でお尻を押さえながら裏山まで走って行って大声をあげる。

「アォ~~~~ゥッ❗️」

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金庫前に戻ってきたデカ泥棒は、チビ泥棒を片手で持ち上げて裏山に連れて行き思いっ切り罵る。

「バカヤロ~~~ッ❗️」

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さてドルーピーはというと、2人がいない合間を見計らって、バーナーで真っ赤に焼いたドリルを金庫の前に置いておく。

金庫の前に戻ってきた2人・・チビ泥棒は気を取り直してドリルを手に持った、瞬間、両手は真っ赤に腫れ上がる。叫びたいのを堪えて真っ赤なドリルをデカ泥棒に手渡すと裏山に走っていって大声をあげる。

「アォォォ~~~ッ❗️」

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帰り際に手を真っ赤に腫らしたデカ泥棒とスレ違うが、彼も裏山に走っていって大声をあげる。

「ヒィィ~~~~ッ❗️」

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ところが、学習しないチビ泥棒が再びドリルを手に持つと、また手が真っ赤に腫れる。すぐにドリルをデカ泥棒に手渡すのだが、学習したデカ泥棒はそれをヤットコで受け取る。そしてヤットコで何回も熱いドリルを手渡されたチビ泥棒は何度も裏山に走っては大声を出した。

「ワォ~~~ッ❗️」

「ギャ~~~~ォ❗️」

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流石に疲れたチビ泥棒・・一休みしようと、部屋の隅にあった〈ゆりかご椅子〉に座ると、椅子の脚で下にいた猫の尻尾を踏んでしまう。すかさずデカ泥棒が猫の口を押さえて裏山へ走る。怒った猫がデカ泥棒の腕に噛みつく。

「ガブッ❗️」

デカ泥棒の叫び声が響き渡る

「ギャオゥ~ッ❗️」

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さて、猫がいなくなったので安心して〈ゆりかご椅子〉に座り直したチビ泥棒・・今度はドルーピーが椅子に仕込んだロブスターにお尻を鋏まれる。

「チャキ❗️チャキ❗️チャキ❗️」

声を上げられては困るのでデカ泥棒はチビ泥棒の口に空瓶を咥えさせて悲鳴を採集する。

デカ泥棒は裏山にいって蓋をしていた手を瓶の口から外すと悲鳴が出てくる。

「ワォッ❗️」

「ヒッ❗️」

「オゥッ❗️」

最後に瓶の尻をポンポンッ!と叩くと残っていた悲鳴が出てきた。

「ギャッ❗️」

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部屋まで戻ってきたデカ泥棒、今度は金庫の前にドルーピーが仕掛けた接着剤で脚が床にくっ着いて動けなくなってしまった。

そこへドルーピーがやって来てデカ泥棒の口を開けて舌の上にダイナマイトを乗せて導火線に火を点ける。爆発したら恐い保安官が目を覚ますぞ!

覚悟を決めた彼は舌をビヨ~~ンと伸ばして、ダイナマイトを舌で裏山までもって行くや、裏山に残っていたチビ泥棒の顔の前で爆発した。

「ドガ~~ン❗️」

すると今まで宙に浮いていた長~~い舌が「ベチョッ❗️」と地面に落ちる。

続いて、接着剤で動けないデカ泥棒の足の甲を、釘の付いた板で思い切り叩くドルーピー・・

声を上げられないデカ泥棒、金庫の横にあった電話機で「リンリン!」と裏山の相棒を呼び出す。電話に出た相棒の受話器からは耳をつんざくようなデカ泥棒の叫び声が迸る。

「ギヤォォ~~~ッ❗️」

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以後、ドルーピーから何度も何度もダイナマイトを受け取っては裏山まで走って爆発を繰り返す泥棒2人であったが、最後に2人で背負っていた特大ダイナマイトが爆発する。

「ドッカ~~~~~ン❗️」

ボロボロになった2人はとうとう力尽きてしまった。

降参した2人は、自分たちから率先して牢屋に入っていって、目を覚ましていた保安官に観念した旨を伝えたのだが、保安官は補聴器の電池が切れていて言っていることがよく聞き取れないのだった。

「音を立てたらブッ殺すぞ❗️」

そう言っていた保安官の耳は、実はあんまり聴こえなかったんだという最後のオチがついている。

いやはや、リズム感タップリの傑作アニメである。

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この時代のアメリカンアニメには〈トムとジェリー〉の名作シリーズを始め、〈間抜けな狼とドルーピーの戦いシリーズ〉などなどの多くの秀逸なアニメがある。

こんな駄文を読んで頂いても埒は明かない。是非ともアニメをご覧頂くことをお薦めする。

(下にアニメのURLを貼っておきます。引用:イラストはネット画像を手描きしたもの)

https://youtu.be/zuCZ76NjP74

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