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第1章 自己愛②

研修の内容は

・人生の土台は「愛」
・人は内発的動機に基づいて行動している
・刺激で人をコントロールする習慣をやめて良好な人間関係を作る
・人生の目的、自分の願望を明確にすることが、成功していくための源泉となる
・さらに願望を具体的な目標と行動レベルに落とし込んで計画して、日々実践していく

そのような内容だった。

内容を追いかけるうちに、自分が思う「愛」との違いが浮き彫りになっていった。

自分にとっての「愛」は、常に他者に向けるものだった。他者のことを考えて、他者の求めるものを提供するのが愛。反対に、それができない自分は愛が足りない、達していない。そんな感覚だった。

ところが、研修で語られている「愛」には、当然のように「自分に対する愛」が含まれていた。まず満たすべきは「自己愛」と、迷いなく語られていた。

自分の常識が覆った。
心の奥で何かが動いた。周りに壁を作って心を閉ざしていた自分も、他者のことばかり考えて上手く立ち回れない自分も、求められる仕事もできず弱さゆえに逃げてきた自分も、よく頑張ってきたと、ただありのままの自分を認められたい、それが自分の本心だった。

これに気が付いたとき涙がとまらなかった。

・あなたには価値がある
・あなたはあなたのままで素晴らしい

研修の中でのアファメーションの言葉。
人に向けることはあっても、真剣に自分に向けたことはない言葉だった。むしろ向けることを避けていた言葉。それまで条件付きの愛の中で生きていた。

でも本当は、心の中で一番、自分が自分に言いたい言葉。人からではなく、誰より自分から言ってもらうことで満たされる言葉。無条件の自己愛。

繰り返しアファメーションの言葉を口にしたとき、人前なのに号泣していた。ひどく情けなかったけど、心は確かに喜んでいた。

つづく

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