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医療はエンターテインメント

今回はいつもはポジティブな内容が多いんですが
たまには少しネガティブというか、事実と言いますか、やはり人間関係のお仕事だなと思うようなことを書こうと思います

というのも
僕は今、訪問看護を行っているんですが看護師というのはまぁ医療者として括られることが多いのですが
実際病院時代にも色々差別的なことを言われることはありました

「医者の下っ端だろ」
「サービス業なんだから患者、お客様の言うことを聞け」

などたくさんクレームを受けたことがあります
どの仕事をされている方もこのような内容のことを言われたことはあるかと思います

訪問看護において、病院時代と比較してそういったクレームはかなり減りましたが、最近似たようなことを言われることがあったので
少し愚痴になるかもしれませんがお話をしようかなと思います


訪問看護師とは

この話をする前に、そもそも訪問看護師という存在について少しだけ話そうと思います

冒頭でもクレームで言われた、「医者の下っ端だろ」という言葉
事実表面的にはそう捉えられてもおかしくはないかなと思っています

なぜならば、僕ら看護師は医師の指示がなければ基本何もしてはいけないから

訪問看護において絶対に必要になるもの
それは「訪問看護指示書」と呼ばれる書類です

その中には訪問において、主治医の医師が訪問看護ステーション宛にこの患者さんにこのようにして訪問看護をしなさい
という内容が書いてあるんです
なので、その訪問看護指示書がない限り僕ら看護師は訪問看護をすることができないんです

そして、訪問看護をするにあたり、医師から指示をもらっているので訪問看護報告書と呼ばれる報告書を医師へ渡さなくてはいけません
その中身は、訪問看護において患者さんにこういった内容の看護をしました
指導をしました、こういった状態の生活をしています、ここを気を付ける必要があります
といった内容をお送りします

この書類を医師が読んで、家ではこういった生活をしているのか、身体の具合はこういった感じなのかということを理解してもらい
診察の時に最善の処方、処置をしてもらうような流れになっています

なので僕らは医師の指示がなければ動くことが制度上できないというのが事実あります


実際の感覚

しかし、それを一般の方は知ることはありません

看護師はケアマネージャーと呼ばれる人により調整され、派遣されていることもあり、医師から指示をもらっているという感覚が感じにくく
ましてや看護師に生活のことを指導されるというのはなんとも受け入れ難いという方もいるのも事実

今回僕が体験したのは
医師へ報告の必要があり、報告書をお送りした内容を医師から患者さんへ伝えられ、勝手にチクられたと感じられてしまったという事例でした

患者からすれば、看護師が勝手に医師へ生活について告げ口をしたように映ってしまったようで
気分が悪かったようです

普通に考えればそれは普通のように感じるかもしれませんが、その当事者からすれば気分がいいものではないかもしれません

さまざまなバックグラウンドがありましたが、僕としては一つの可能性を覚えました

医療はエンターテインメントなんじゃないかと


医療はエンターテインメント

この事例を通して僕は一つのことを感じました

この患者さんは本質として健康になりたいわけじゃないんだという事実

というのも
この人の場合、医師へ告げ口をされて医師から怒られてしまったことが不愉快だったんです

でもこの人は病院には定期的に通ってちゃんと薬を飲んで、ちゃんと医師の言うことを聞いている
これは健康を推進するにあたりとても大切なことです

でも今回僕が事実を報告書に記載したことにより医師から怒られてしまった

それにより気分を悪くした

この人にとって病院に行って、医師からちゃんとやってるという太鼓判が生きる生きがいだったんだということ
身体が健康になるということだけでなく、医師から認めてもらう、病院に定期的に通っていることが生きがいだったのだと気づきました

そして、病院に行けば採血をして、検温をすれば体温を測ってもらい平熱であれば僕ら看護師・医師から元気だねと太鼓判を押される
実際この猛暑の中持ち歩いている体温計がちゃんと機能しないことがあり、故障寸前だったことで本人がかなりご立腹だったので
余計それを感じました

結局は体温をちゃんと測り、健康だということを数値として出ることが本人にとっては生きがいであり、医師に褒められるということが
エンターテインメントだったようです


看護師や医師が考えること

このような内容を書いた理由として、体温をはかることや血圧を測ることが大それたように見えるかもしれません

でも事実僕たち看護師や医師は体温や血圧、酸素濃度など数値として現れるものをそのまま鵜呑みにしません

実際に本人がどのような身体の状態を感じているのか
どのような今気持ちなのか
生活スタイルはどのようなものなのか

さまざまな視点から複合的に数値の正常か異常かを判断します

例えば、これから大事なプレゼンの前に血圧を測って血圧が高かったらそりゃ緊張のせいですね
ってなりますよね?
さっきサウナに入ったばかりなんですって言ったら体温が高いのは必然ですよね?

それと一緒で、僕らは生活の中で実際教科書的には異常値だとしても生理学上何か影響がある可能性がある場合、その数値だけを鵜呑みにすることはないので
他の数値を頼りながら判断しているので安心してほしいんです


医療を必要とする人は2種類いる

今回感じたのは、
医療をエンターテインメントとして必要とする人と、健康を求めて医療を本質的に必要としている人の2種類いるということ

実際に今現役世代の人や子育てをしている人は本質的に必要としている人が多いかもしれません

でも高齢者の中では病院に通っている多くの人は病院に通うということ自体をエンターテインメントとして感じている人が多いのかもしれません

これはかなりの皮肉を言っているので賛否があるかもしれませんが、事実そう見えてしまいます

体温を測ってもらう、採血をしてもらう、医師からは大丈夫ですねと言われる、それを鵜呑みにして生活を自分で考えずにそのままのスタイルを貫き通す
それにより自分は生きているという実感を持つというもの
これで果たして自分で生き方を選んでるって言えるのかなってちょっと僕は疑問に思ってしまいます

実際病院で働いている時に感じた違和感は、この人たちは本当に幸せなのだろうかという、生かされているだけなのではないのだろうか
ということでした

自分で、自分の生き方の選択肢を持ち続ける
僕がウェルちが会議で話した内容です

適切に医療の知識を得て、自分の生活に落とし込むというのがとても大切なので
しっかりと言語化する場所が必要なんだと改めて実感することができました


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