記憶の断捨離⑤ ~他人と比べてしまうメカニズム~

記憶の断捨離術は、自分の本当の気持ちと向き合うことで、過去の嫌な記憶に決着をつけて、心を健康にする心理療法です。

前回までの記事では、自分で自分を責めてしまうことのメカニズムに触れました。

今回は、自分を責めることの原因一つである"他人と比較してしまう"メカニズムについて説明します。


記憶の断捨離には、自分の本音を受け入れられるだけの優しさが必要です。しかし、多くの人々が自分で自分のことを責めるのがクセになってしまっていて、急に自分に優しくすることにはなかなか慣れません。そこで、自分で自分のことを責めるクセをやめるために、まず他人と比べないことを目指します。

輝いて見える他人に対する嫉妬心は「それにひきかえ自分なんて……」と簡単に自分自身へと矛先を向けてしまいます。

他人を比べることをやめるために、次の2つのステップを考えてみましょう。

1. 他人との比較には終わりがないということを知る

そもそも、他人と比べてしまうのはなぜでしょうか。その理由は、現代社会があまりにも自由すぎるからです。

どういうことかと言うと、自分の存在意義を自力で証明し続けなければならないということです。

これは例えば、超一流企業、高級ブランド志向やインスタ映え写真など、様々なマウント取り行動として表出しています。

なぜこのようなことをしなければならないかというと、一つには職業選択の自由があるからです。(資格試験などあるにせよ)何にでも成れるという状態は、下地がまっさらでなければ成り立ちません。下地がまっさらというのは、つまり何かに成るまでは何者でもないことを意味します。しかも成ったら終わりではなく、何者であるかをずっと証明し続けなければいけないのです。


例えば年収1000万円超えというステータスが自分の存在意義になっている人は、その仕事がどれだけ激務でも立ち止まれません。年収が下がれば自分の存在意義を失うことになるので、それこそ、働きすぎである日突然倒れたり、いきなり自殺を選んでしまったりと、悲惨な結果になる場合もあるでしょう。

また、マウントを取れるような肩書は、自分の誇りというだけでなく、親の誇りや期待も背負っているというケースもあります。「お宅の息子さんは大企業勤めでいいわね~(それにひきかえうちのアホは、、)」というような社会では、激務に耐えることは自分の意志ですらないのです。これは辛いばかりですね。


2. 他人を羨まなくなれる思考法を身に着ける

では、どう生きるか。それは宇宙になることです。

何を言っているのか意味不明かもしれませんが、これは本質です。


まずは、輝いて見える他者像を破壊して差し上げましょう。

当たり前のことですが、人の数だけ感じ方があり、その人なりの苦労があるのです。


年収1000万円とかでマウントを取っている人も、年収が高いばかりで全然モテないかもしれませんし、そもそもモテることが幸せとも限りません。
恋愛や結婚も自由にさせてもらえないトップアイドルが果たして本当に幸せなのでしょうか? その子供は? 

トップアイドルは、自分の存在意義を証明し続けるためだけに人生を使い、いつ人々から飽きられるかという恐怖が常にあるのではないでしょうか。

また、何不自由なく暮らしていそうに見える石油王の娘でも、わがまま放題で使用人に憎まれていたり、政略結婚で汚いブタ男と結婚させられたり、いつか石油に取って替わる新エネルギーが発明されたら転職のためのスキルも学もないので路頭に迷うかもしれませんし、使用人に復讐されるかもしれません。


このように、人にはそれぞれの立場での苦労が、想像力の数だけ存在するのです。

そうやって相手の苦労を勝手に想像できれば、自分はジャニーズでもあり、猫でもあり、みんな同じ宇宙の一構成要素に過ぎないのだと、少し理解してもらえるでしょうか。



自分の価値を決めるのは自分だけです。"他者からの評価"に価値観を縛られてはいけません。

ほとんどの人は所詮は凡人です。一握りの才能や美貌なんかなくとも、凡人でも、あなたはあなたでいていいのです。平凡なところや、弱いとこも含めて、自分で自分を認めてあげましょう。


あなたは世界にたった一人の、価値ある宇宙の一粒なのです。




今回はここまでです。

次回は、そろそろ記憶の断捨離術や催眠療法に関する話題まだなのかよという疑問についてお答えします。


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