記憶の断捨離術① ~取っておく目的を変える 捨てない断捨離~

「あの時ああすれば良かった。」「あの時の仕打ちを一生恨む。」「なぜあの時逃げてしまったんだろう。」

誰しもが、忘れたい過去をお持ちでしょう。

記憶の断捨離術は、そんなあなたの忘れたい過去に決着をつけ、心を健康にすることを目的とする心理療法です。

初回の本記事では、記憶の断捨離とは何かについて説明します。具体的なやり方は連載記事にて紹介します。


本記事の概要:

忘れたいのに忘れられない嫌な記憶には、自分の気付いていない重要なメッセージが必ずある。記憶の断捨離術は、このメッセージに気付くために、自分の本当の気持ちと向き合う方法である。


まず、断捨離と聞くと、物をポンポン捨てるイメージがあるかもしれません。

しかし、実際は捨てるばかりが断捨離ではありません。不要な物を捨てる一方で、必要な物は必要な物として"整理整頓"するのが断捨離です。

もっと厳密に言えば、「いつか使うかもしれない」という漠然とした気持ちを、一歩離れた現実的な視点で検証し、自信を持って捨てること、あるいは取っておくことが断捨離です。

ここで重要なのは、捨てずに取っておく決断をした場合でも、物があるという状態は変わらなくても、物を取っておく"目的"が変わることです。

「いつか使うかもしれない」という気持ちの正体は不安です。使いたい時には捨ててしまっていたと後悔する未来への恐れ、まだ使えるのに捨てるなんてもったいないという罪悪感などです。そのような"不安"からではなく、安心して大事にしておくこと(取っておくことで安心するのではなく)が断捨離の本質です。


記憶の断捨離についても同じことが言えます。

過去の事実は変えられません。変えられるのは自分の気持ちだけです。記憶の断捨離術は、過去の嫌な記憶を忘れて完全に無かったことにすることはしません。記憶の意味合いを見つめ直し、安心して大事にしまっておこうという試みが、記憶の断捨離術なのです。


思い出したくないのに脳にこびりついて離れない記憶には、必ず何か重要なメッセージがあります。私たちはそれに気づいていなくても、脳は深層心理でそれを知っているので、"まだ"忘れてはいけないものと脳が判断しているのです。

"まだ"というのは、その重要なメッセージに気付くまでは、という意味です。では何に気付けばいいのかというと、それは自分の本当の気持ちです。

物の断捨離の例でも、「いつか使うかも」という気持ちは罪悪感だったのか!と気付くことで、それは不要だなと判断できるのです。

記憶の断捨離でも、自分の本当の気持ちと向き合うことがその本質です。ただし、過去の事実は変えられないので、自分の本当の気持ちと向き合うことで、記憶の意味合いを変えるのです。


今回の記事はここまでです。

次回、本当の気持ちとの向き合い方について詳しく見ていきます。


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