日本の1年は9ヶ月しかない

暑い日が続きますね。

今回の記事では、今読んでいる「知的生活の方法」という本に、日本の暑さについて面白い記述があったのでご紹介します。それから、「暑いと頭が回らない」という感覚を、データで裏付ける記事をご紹介します。

日本の暑さについて

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この本は、英語の研究者であり評論家である渡部昇一さんが書いた本です。渡部さんは「頭の回転を活発にし、オリジナルな発想を楽しむ生活」のことを「知的生活」と呼び、日常生活のさわがしさのなかで、自分の時間をつくり、データを整理し、それをオリジナルな発想に結びつけてゆく方法を紹介しています。

その方法の一つとして、読書や執筆に使う、自分専用の静かな部屋を作ることをすすめています。ただ、著者の渡部さんは日本の暑さの凄まじさを嘆き、「日本の家屋には暑さ対策が必須だ」と述べます。たとえば、以下のような文章です。

日本の夏の高温多湿は実にひどいもので、本来は熱帯産の動物でも、上野動物園で夏負けするくらいのものなのである。私が学生のころ、ドイツ人の教授が、日本の夏の三ヵ月は何もできないことを嘆き、「ドイツにはこういう夏はありません」と言っておられた。私もその後ドイツやイギリスに留学して、夏も相当快適に勉強ができることを発見して驚いたことがある。

つまり、日本の夏は暑すぎる。夏の3ヶ月間は、とても知的活動はできない、ヨーロッパの国々と比べて3ヶ月分のハンデを背負っている、ということのようです。この「暑いと頭が回らない」感覚は経験則として、納得できます。暑さが一定値を超えると、イライラして頭が回りにくくなります。

「日本の夏の三ヵ月は何もできない」とはなかなか強烈な表現ですが、この発言があった時代(1930年生まれの渡部さんの学生時代ですから、おそらく1950年代)は、エアコンがほとんど普及していなかった時代です。
(参考:エアコン普及率の推移)

確かに、もしエアコンなしで日本の夏を乗り切れと言われたら、なかなか厳しいものがあります。夏の3ヶ月間は、熱っぽい頭を抱えて、意識がもうろうとしながら生活をするのではないのでしょうか。

暑さと知能の関係

また、暑さと知能の因果関係(≠相関関係)を調べたデータもご紹介します。渡部さんの本とはまったく別の記事ですが、全米経済研究所のワーキングペーパーで、暑さが子供の学習成果に与える影響を分析した研究結果が、以下のページに掲載されています。

この記事では、年間を通じて平均気温が高かったり、猛暑日が沢山あると、どれぐらい教育活動がダレて子供の学習成果が低下するのか、というのを分析しています。

分析の結果としては、年間の平均最高気温が1℃暑くなると、子供の学力が偏差値換算で0.045程落ちるようです。暑すぎると、子供の学力も落ちるということです。「暑いと頭が回らない」感覚に、データの裏付けをしてくれています。

この記事では、その結果を受けて、平均気温が上がると、学力低下による生産性の低下で、個人の生涯所得が下がってしまう。だから、学校にエアコンを導入することは、意味のある教育投資なのだ…と論を展開していきます。興味のある方はお読みください。

まとめ

いずれにせよ、日本の暑さに対して、精神論だけで真っ向から戦うのは無謀だと思います。涼しく過ごす工夫をしながら、夏を乗り切っていきましょう。

最後に、一昨年の猛暑時に見かけて、激しく同意したツイートをご紹介して終わります。


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