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メンヘラな主人公『アクアマン』

あらすじ

 地上の男トムカーリー(テムエラ・モリソン)と海の女王アトランナ(ニコール・キッドマン)の子アーサー(ジェイソン・モモア)の物語。
 ある日、トムは海岸で怪我を負っているアトランナと出会う。手当てを終え、交流を深めるうち、二人は次第に惹かれあっていく。そして、子のアーサーが生まれ、幸せに暮らしていた。しかし、ある日、アトランナを連れ戻しに海底からの使者がやってくる。その場は乗り切ったものの、自分がいると夫と子どもに危険が及ぶと考えたアトランナは、悲しむ夫と子を残し、海底へと戻ってしまう。
 それから月日が経ち、アーサーは陰ながら人々を救う「アクアマン」として名を広めつつあった。
 そんなある日、突如現れたメラ(アンバー・ハード)という女性から、海底で異父兄弟の弟、オーム(パトリック・ウィルソン)が人間と戦争を始めようとしていることを聞く。
 そして、アーサーは、弟を止めるため、アトランティス創生の王アトラン王が残した伝説の槍を探す旅に出る。

主人公アクアマンの憂慮

 本作の主人公アーサー・カーリーは紛れもないメンヘラである。
 青年時代のアーサーは、母親アトランナが、海に帰った後、嫉妬に狂った当時のアトランティス王によって処刑された話を聞く。アーサーは、そのことにひどく自責の念を感じ「自分が生まれなければ」と嘆く。
 アーサーが生まれたことが王の逆鱗に触れたことは確かである。しかし、それは、アーサーの父と母が選んだ運命であり、アーサー自身に責任はない。親の行動に子どもが責任を感じることは常であるが、アーサーも無意識のうちに自分のせいだと考えるようになってしまったのであろうか。
 見た目は、筋骨隆々、全身タトゥーでも、精神は、メンヘラなスーパーヒーローだったのである。
 またこのことは、後述するメラがヒロイン足り得る理由にもなっている。

母と重なるヒロインメラ

 作中登場する、ヒロインのメラは、アーサーの母親と重なる部分が非常に多い。
アトランナ
・地上の男との禁断の恋
・アトランティスの王女
・アーサーを地上と海底の人々をつなぐ希望だと考えている
・金魚食う
メラ
・許嫁の約束を放棄し、アーサーと禁断の恋
・海底国ゼベルの王女
・アトランナと同じく、アーサーを地上と海底の人々をつなぐ希望だと考えている
・赤い花を食う
このように、共通する部分が非常に多い。作中ではアーサーとメラの体が触れ合い、いきなりお互いを意識しだす流れになっていたが、アーサーはもともと母親に似たメラのことを気にかけていたのかもしれない。また、その心情は、母親に対する自責の念とも繋がってきそうである。

監督の作りこみ

 「監督自ら王国の中に身を置いてみるんです」と目を爛々と輝かせながら語るジェームズ・ワン氏がこの映画の監督である。
 また、日本の怪獣映画も大好きだという監督は映画の見せ方にも並々ならぬこだわりを持っていた。
 水中のシーンでは、浮遊物を画面のどこかに配置し、海の中であることを表現していた。また、人物の髪の毛に対し約500ものVFX処理を施し、水中に漂う髪を作り出したという。
 個人的に印象に残った、クラゲが様々な色合いで光を放っていたシーンについて、監督は「海の光源てなんだろうって結構悩みました」と語っていた。そういったこだわりの数々が意識的、無意識的に関わらず私たちの心に刻み込まれているのであろう。

ツッコミどころ

・海底の衛兵(?)のビジュアルが少し浮いているように見えた。日本の怪獣が好きと言っていたため、特撮に寄せてくれたのだろうか。日曜の朝、仮面ライダーに出てくる雑魚敵のようだった。まあそれはそれで親しみはあるけど。
・最終局面での民や兵士の納得が早すぎる。それまで従順にオーム王に仕えてきたはずの兵士たちだったが、アーサーが決闘で勝利し王になると決まった2秒後には、「うぉーーー!!!」と言って、新しい王の誕生に歓喜。それほどオームに鬱憤がたまっていたのかな。それにしても早すぎた。

感想

カラゼンおっきくてつよい


画像引用元
アクアマン公式サイト

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