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愛情

初桜から数日後、陽が差し込む日にカメラと共に散歩してきた。


撮れど撮れど納得できず、エモい写真は程遠く。。
目の前のサクラを誰よりも美しく撮ってあげる精神で、尊く愛でて撮るぞと。


そうこう場所を変えながら歩いていると、おそらく小学校の入学式を終えた母娘が、桜を背景に撮影をしていた。

女の子はすごく照れた様子で、じゃんけんのグーに近いピースをしてて、お母さんが「ママの方見てー」と語りかけ微笑みながらシャッターを押していた。

愛に溢れてるー!と耽っていると、そういえば最近読んだ脳科学の本で、愛情について書いてあるものを思い出した。


第二次大戦によってスイスで孤児になった55人の乳幼児に対し、愛情を与えずに育てたらどんな状態になるか。スキンシップ(撫でたり、抱いたり)をいっさいされずに育てたら?という倫理的に許されない鬼畜の所業の実験。

結果は、成人前に44人が死んでしまい、生き残った人も障害が見受けられたと。


やはり愛情は優しさとは違い、永遠に消えることはないんだろうと思う。


SNSのバズりための強欲さや、あざとく愛でようと考えたことが何か馬鹿らしくなった。

こんなにも陽だまりの愛に包まれた風景の構図に勝るものはないなと桜雲の下、カメラを少しの間、電源をオフにした。

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