土屋信

詩作、読書、映画鑑賞 https://garnet1789.blog.fc2.com/

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最近の記事

絵本の外に

絵本の表紙を広げると 木陰の花に囲まれて 流れる雲を見上げる少女 携帯用の蓄音機を 鳴らす父親 古いSP盤の音 何気ないものが難しい 芝居のようには 入れ替わらない登場人物 悪役は悪役のまま 絵本作家のおばさんには 容易なこと駒のピースを 操ることは ある日駒は 絵本の外に出てみる

    • インプロビゼーション

      聳え立つ 壁の至る所に貼られた 厳めしい文書の数々 上は霧に覆われ 玉蟲色の服を脱ぎ捨て 一つのメモから 他のメモへ移り行く 古びた文書の影 紫煙に包まれあらぬ言葉を 口走る 燃え広がれ 魂の松明となって 時を駆け風に乗り 焼き尽くす数々のレッテル 生まれ出てくるもの

      • 腐食の華

        抽象の虹が古代の岩石を 通り抜ける 枯れた花が甦る泥土 イドの洞あなの中からは 聞こえない音楽と 見えない踊り ひとつの滅びが 新たな甦り 見えない虹に 手を触れる天使たち 絵空事があなたの背後で 開く見えない扉

        • 孤舟

          黒衣の魔術師が 黒いフードを目深に被り 内ポケットから 羅針盤と星座表のような物が 一緒になったボードを出して 指で操っている これは鏡だよと呟いて こちらの胸元を指差し 君の中にもある 無数の眼差しが瞠目する時を 待っている 気がつけば絶海の孤舟ではなく 見えない船団に導かれている

        絵本の外に

          音階

          ポケットの星の粒を 宙に投げる 追いかける谺 固有の響きに応じ 何処かで眠っている 卵が孵化する 数多くの雑音の中で 正しい音階を選び出す 殺戮の物語の中で 全てが死滅し 鉄の時代の血塗れの 夕日が沈んでも その極みの果てで 青褪めた曙が昇ってくる

          森開社 版 『千田光全詩集』。 小野さんから直接購入して 10年になるのか。100部限定。 旧漢字旧仮名遣いの拘り。 青空文庫にはなかったかもしれないけど、ネットにあったと思う。 ヤフーブログがあった頃、小野さんのブログ時々読んでた(螺旋の器) 今年は新年に更新してる。

          森開社 版 『千田光全詩集』。 小野さんから直接購入して 10年になるのか。100部限定。 旧漢字旧仮名遣いの拘り。 青空文庫にはなかったかもしれないけど、ネットにあったと思う。 ヤフーブログがあった頃、小野さんのブログ時々読んでた(螺旋の器) 今年は新年に更新してる。

          胎動

          無数の破片がきらきら  散らばって 光と陰の中を動いて ことばを探している かたちを求めて 砕けた母体から 放射状に彷徨い 永い瞬きの旅に出る 神話の彫像は 止まったままで 永遠のひとコマを演じ 夜の彼方の胎動に 耳澄ます子供は 白日の哄笑に目を閉じる

          アダージョ

          あなたの内側の ドアが一度も 開かれずに萎んでゆく あなたが其処を去る時 夢の中で目覚める 鏡の世界の入り口 架空の歴史も実在した 時代も入り乱れて揺れ動く 一瞬きらめく 雫の中の世界 瞠目するあなたの内なる瞳 並行世界の天秤が 瞑目するあなたに重なる 静かに流れるアダージョ

          アダージョ

          id

          井戸から抜け出すのは 難しい 這い上がる すべを知らない ヴィヨンが閉じ込められていた 牢獄のように窓もなく しかし地下水は繋がっている 未知のドアは隠されている 時が八時を打つと カードが逆さになって 意味が変わる 素直に見つめれば 何でもないことが分かる 生死の瞬間が 其処に在るだけ

          モザイクアート

          錆びついた花が 聖別され 風化した壁に 埋め込まれる マンドリンの調べが 流れ 夕暮れは 逆さまのワイングラス 黄ばんだ写真に 落ちた涙の筋 歩き疲れても 果てしない夜の 堂々巡り "彼ら"にとっては 点に過ぎない者らの 千の会話 その内輪揉めに 耳澄ます 集合体の“彼ら”

          モザイクアート

          シュワ・ジェヴェチカ

          浮かれ立つから騒ぎに 散らばったおもちゃたちが てんでに喋っている 片付けて仕舞えば 古いしつけの良い部屋の 四隅が顔を出す  瓶に仕舞い込んだ哲学も 本の中の箴言も変わらぬ その姿を表す 遊びに飽きた子供達は おもちゃのことは すっかり忘れて 森へ出かけてゆく

          シュワ・ジェヴェチカ

          X(Twitter)って時々凄く不快になる。デマや煽りが多くて。なので必要無い時は見ないようにしている。 そもそも匿名で上から目線で煽る人とか信用できない。因みに自分はXもnoteも本名。ブログとYouTubeはハンドルネーム。YouTubeは視聴専用。

          X(Twitter)って時々凄く不快になる。デマや煽りが多くて。なので必要無い時は見ないようにしている。 そもそも匿名で上から目線で煽る人とか信用できない。因みに自分はXもnoteも本名。ブログとYouTubeはハンドルネーム。YouTubeは視聴専用。

          オルゴール

          オルゴールの蓋を開け その調べに耳を澄ます 夕暮れの色に添うメロディー 限界点で喘ぐ虚しさ いびつに歪んで 吠えている哀れな犬 強がれば強がるほど 弱さを露呈する 自らの我欲に周りを 巻き込む愚かさ オルゴールの蓋を閉ざし その余韻に浸っている

          オルゴール

          海の付箋

          回転しながら 黒くなってゆく球が 崖を転がりながら 翼を夢想する それを見送る 絶壁にしがみつく小鳥 縛りつけるためではなく 解き放つために 海面に限りなく 近づきながら 何時迄も落ちない あなたにとって 時は止まっている 掌で支える者の指が 海面の霧の上に 伸ばされる

          海の付箋

          『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』、朝から聴いてた。 このアルバム、ヘレン・メリルも さることながら、クリフォード・ ブラウンのポイント高いよね。 #HelenMerrill

          『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』、朝から聴いてた。 このアルバム、ヘレン・メリルも さることながら、クリフォード・ ブラウンのポイント高いよね。 #HelenMerrill

          分身

          境界線の裏側に 手を伸ばし ワームホールの 眼差しに触れる 涯しないトンネル 押し寄せる 無限の歓声と沈黙 即興のサックスがうねり 教会の祈りは 逆さの池に木霊して 世界の結節点を震わせ 光の波が渡ってゆく 彼方で巡り合う 自らの分身