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ゴッホは自殺、それとも他殺? 2


自殺説が有望?でも動機はさまざま

 「ゴッホは自殺、それとも他殺? 1」ではゴッホの他殺説について紹介した。

 そこで、ここでは手持ちの少し書籍を使って、もう少し詳しくみてみたい。

 手持ちの書籍をいくつか漁ってみたが、いずれも他殺説を説いているものはなかった。ただし、自殺説でも、銃の入手方法やその動機についてはばらつきがある。

拳銃は盗んだのか、買ったのか

 「フィンセント(ゴッホ)が彼らの狩猟鞄からリボルバーを『かすめとった』というルネの主張である。ただ、ルネがそれに気づいたのは悲劇が起こったあとであり、いつそれが盗まれたのかはわからない」

「(絵を描きに行ったところで)リボルバーをとりだし、胸に押しあてて引き金をひいた」(いずれも『ゴッホ』より。丸カッコ内筆者)

 と書かれているものもあれば、

「『ポントワーズの銃器商ルブールの店でピストルを買っている』(「ファン・ゴッホ書簡全集」による)これをポケットに医師ガッシュをおどかす。ただし、このピストルは、宿の主人ラヴーから鳥を追い払うために借りたものという説が多いが、両説ともピストルの出どころについて、実にはっきり書いているので、かえってどちらがただしいかわからない。

 7月27日、日曜日、宿の相客たちと昼食をすますと、すぐフィンセントは外出した。彼は麦畑をうろつき回っていた。一人の農夫は丘の上で「どうにもならない、どうにもならない」と、つぶやきながら歩いているフィンセントに行き会った。それから後、彼は我身の心臓に引き金を引いた」(『ファン・ゴッホ・フィンセント』より)

 と書かれているものもある。

引き金を引いた理由

 別の本では、

「彼がどこでピストルを手に入れたか、どこで致命的な傷を負ったか、誰も正確には知れらない。(中略)ゴッホが放った銃弾は胸の真ん中に命中した」「弟のテオが駆けつけたときに『これで終わりにしたかった』と言ったという」とある。

 そして自殺の理由を「ゴッホは弟の金銭の悩みから解放し」たいと思ったこと。加えて死の1年前の1889年7月にミレーの≪晩鐘≫が競売にかけられ、画家本人がすでに亡くなっていたことで高値(50万フラン以上)がついたことを受け「ゴッホは、テオと、そして誰よりも自分の名づけ子に絵の財産を残すため自殺を決意する」(『ファン・ゴッホ・フィンセント』より)としているのである。 

 ゴッホの死は、愛する弟テオとその家族を金銭的な悩みから解放したいという気持ちも、どこかに強くあったのか。 ⇒3へ続く(参考文献は3の文末に記載)


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