見出し画像

[UFC288] 堅実な試合運びでスターリングが王座防衛!

かつての二階級王者であるヘンリー・セフードがバンタム級の王座に挑戦する形でオクタゴンに復帰することになったUFC288は大きな注目を集めていた。

そんなバンタム級タイトルマッチだったが、パワーで勝るセフードを相手に王者・アルジャメイン・スターリングは上手く戦っていた。

スターリング、セフードは共に高いレスリングの技術を持っており、その為どちらかがその点でアドバンテージを確保するのは難しくなっていた。

スターリングは1Rのスタートから果敢に攻めていき、フレームの大きさを活かしながらセフードにプレッシャーを与える。

一発の威力ではセフードが上回っていると思うが、スターリングは遠間からセフードの打撃に反応しながらコツコツと有効打を与えていた。

際での戦い

ただ展開の中で組み合うとパワーで勝るセフードがスターリングを倒してテイクダウンを奪う。

しかし下から仕掛けることで隙を作って立ち上がることに成功したスターリングは再び攻めに転じた。

そして次はスターリングがセフードをケージに押し込むと、セフードの上半身を前に振ってつまづかせるとバックポジションを奪うことに成功する。

ここの際の部分での戦いでレスリング巧者である両者の間に微かな差があることが窺えた。

得意とするレスリングの技術をMMAの中に落とし込み、自分の強い形を作り出して安定した展開を生み出しているのはスターリングの方だった。

セフードが簡単に寝かされることはないが、拮抗している勝負で有利なポジションを奪い、印象の良い打撃をヒットさせられるというのはポイントの面でとても有利になる。

お互いにレスリングに長けているが、MMAの中でクリンチコントロールからレスリングの技術を用いて相手を崩すことが出来るのはスターリングであり、優位な形で1Rを終えていた。

スタミナと集中力

2・3Rと堅実な試合運びで優勢を築いていたスターリングだったが、少しずつ勢いと丁寧さに陰りが見えるようになってくる。

スターリングはピョートル・ヤンとの戦いでもそうだったが、序盤に頑張ってポイントを奪うことに成功しても後半に大きく失速し安定感に欠けてしまうところがある。

打撃の反応が悪くなり、テイクダウン能力も大幅に低下してしまう。

今回の戦いでもその傾向が見え始めていたが、ヤンの時と比べると手数の減少や雑さは抑えられており、危なさがありながらもセフードをギリギリでいなしてラウンドを稼ぐことに成功していた。

そして最終ラウンド、逃げ切ることに徹したスターリングはセフードの猛攻を受けることになるが、決定的なチャンスは与えることなく5Rを終える。

結果は2-1のスプリット判定でアルジャメイン・スターリングの勝利。

途中までの流れとは打って変わってギリギリの判定勝利となった。

危険性と堅実さ

5Rの後半には集中力の低下や反応の鈍りが感じられるスターリングは後ろの方に大きな危うさがある。

しかし前半を確実に抑えてポイントを稼ぎ後半は上手く逃げ切るための動きを取る、このやり方でピョートル・ヤンとヘンリー・セフードというトップファイターを何とか退けることに成功している。

打撃のかわし方やスタンドでのやり取りに怖さはあるように思えるが、安定したバックテイクとグラウンドコントロールで相手を支配できるスターリングはポイントを確実に奪い、それをひっくり返されるほどのポイントは相手には与えないという堅実な戦いぶりを見せている。

これで3度の王座防衛に成功し、UFC9連勝を達成してるスターリングはバンタム級の王座に深く腰を掛け始めている。

ただ、この先ポイントゲームをさせないようなアグレッシブで最後までスタミナも持つタフなトータルファイターとぶつかった時、スターリングは対応することが出来るのか。

後半失速する癖がどこかで致命傷となるかもしれない。

それが同門のメラブなのか、バンタム級のスターとして輝きを放つオマリーなのか。

バンタム級のタイトルマッチはここから再び現役バリバリの選手たちとの争いへと戻ることになる。

スターリングはトップコンテンダーを退けることは出来るのか、今後は王者の新たな側面が期待される。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?