見出し画像

4度目の衝突! デイブソン・フィゲイレード対ブランドン・モレノ

UFCのフライ級の王座をかけて4度目の戦いがフィゲイレードとモレノの間で行われる。

1度目はドロー、2度目はモレノの一本勝ち、3度目はフィゲイレードの判定勝ち。

1勝1敗1分の両者が再び王座を争う。

UFCフライ級のベルトを手にするのはどちらか。

有利な要素を固めるフィゲイレード

モレノとフィゲイレードは次の対戦で4度目の試合となるわけなので、当然互いの手の内はある程度把握していることだろう。

その中で前回フィゲイレードはカーフを起点にモレノの攻撃力を抑え、脅威を削ぐことで気持ちを安定させながら試合を運び、モレノをクリアした。

それまではドローと敗戦というところでモレノに対して明らかな不安を示していたフィゲイレードであったが、セコンドにセフードを迎え強力なバックアップを得たフィゲイレードは攻められた展開でも気持ち負けせず前進し、逆にダウンを奪うことで自信を付けていった。

そうして得た判定勝ちはモレノに対する苦手意識を払拭させ、もう負けないという自信を与えただろう。

5Rを通した様々な局面でモレノに引くことなく戦い、場面場面の問題をクリアした。

これはモレノが持つカードを処理できるという大きな根拠であり、御せるイメージを掴むことができた貴重な機会となっただろう。

フィジカルとパワーで上回るフィゲイレードが攻略という点でも上手を取った、これは気持ち的な余裕を生ませるという意味でも大きなアドバンテージになる。

加えてフィゲイレードはこの4度目の対戦の地を自身のホームであるブラジルに設定し、モレノはそれを承諾した。

実際にUFC283はブラジルで開催されることになっている。

また、負けた場合のことを考えても「王座陥落からの再起」と「4度目且つ挑戦失敗からの再起」ではモチベーションに与える影響は異なるだろう。

というのも、王座陥落と挑戦失敗ではベルトから離れる距離が異なってくるからだ。

よっぽどな試合をしない限り、負けた後に王座へ復帰できる可能性が高いのはモレノよりフィゲイレードの方になるだろう。

これから試合を行うものが負けた後のことを考えるべきではないというのは正論ではあるだろうが、だからと言ってそれが全く過らないという訳ではないだろう。

大きなものを賭けて全力で臨むからこそ切っては考えられない部分でもある。

そういった点でもフィゲイレードは少しの、しかし大きな余裕を得た状態にいるのではないだろうかと思う。

展開予想

恐らく前回モレノの打撃をもらっても一回も倒れることのなかったフィゲイレードは以前に比べてスタンドでの勝負に怖さがなくなり自信を持ったと思われるので、前回のようにモレノからダウンを奪うべく下から崩しつつノーモーションの右を狙っていくのではないだろうか。

コンビネーションの打ち合いや踏み込んでの打ち合いといった駆け引きの中ではモレノが上手く当てるケースが比較的多く見られるが、仕留める能力で大きく上回るフィゲイレードの一発は保たれた均衡、もしくは僅かなリードといったものを一撃で崩してくる。

蹴りを警戒させればノーモーションからの右やカウンターを上手くヒットさせることが出来るという感触をフィゲイレードは掴んだだろうと思うので、形勢逆転の一打・その切り札を懐に忍ばせながらスタンド勝負に出てくるだろう。

その余裕はタックルに対する対処も容易にさせるのではないかと思う。

モレノは踏み込めず中間距離で見合っているとフィゲイレードのカーフや打撃のタイミングを測る機会を与えてしまうことになるので、攻撃を防御に変える勢いで距離を潰して前に出て手数を増やしながら組んでいく展開を作っていくのではないだろうか。

一撃のパワーで劣るモレノがフィゲイレードの一発を貰わずにフルラウンドもしくはフィニッシュで勝つには打撃よりもグラウンドの方に希望がある。

トップコントロールやバックキープができればサブミッションを狙うことはもちろんラウンドのポイントも削り取れる。

モレノが前半でやるべきことはそのようにしてフィゲイレードの余裕を奪いながら後半戦へと入っていくことだろう。

しかしフィゲイレードも柔術黒帯の選手でグラウンドでの対応力・極め力共に高いので、その展開を作るのも簡単ではない。

なのでその流れに追い詰めていくためにもスタンドの展開で何か一つペースを掴むものが必要となってくる。

そこでモレノはミドルキックやインローで崩しながら、フィゲイレードの蹴り足を狙うことで揺さぶりをかけていくのではないだろうか。

その流れの中でジャブを突いていく、そうして距離を掴むことができればテイクダウンも狙いやすくなってくる。

前回は距離や立ち回りの主導権をフィゲイレードがものにしていたので、それを今回奪い返すことが出来るかどうかでモレノの勝敗は分かれてくるだろう。

防衛か戴冠か、陥落か連敗か

この二人のストーリーは今回の戦いで一旦幕を閉じるだろう。

フライ級のトップ戦線で長らく続いた戦いに白黒つく時が迫っている。

流れから予想すると個人的にはフィゲイレードの防衛が濃厚なのではないかと思ってしまう。

モレノはキャリアに時間的な余裕があるので残りの時間を使って王座へのカムバックを狙い、フィゲイレードは今後の防衛戦の中で新星となるフライ級ランカーの挑戦を受け、時代の転換を表すような陥落の仕方をしていく、というような展開に今後はなっていくのではないだろうか。

そんな予想を胸にUFC283のフライ級タイトルマッチ4度目の戦いの結末を追っていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?