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入院の行楽地[1]

のりとまなの出会い。
2人ともうっすらとしか覚えていない。
でも、病院でお互い入院していて、いつの間にか友達になっていた。
私たちは心の病気だ。
落ち込むとなかなか立ち直れない。
動悸が激しく、苦しくて震える。
怖い、眠れない、何もする気にならない。
やっと病院に空きベットができたので、入院になれた。
「楽になりたい」
しばらくはベットでおとなしく寝ていた。
すると他の患者さんが来てくれて「ホールで一緒にご飯食べよう」
それからみんなと打ち解け合って、毎日毎日楽しくて。
薬のおかげでもあるけど、症状も治まり、「ホッ」と心も休めたようだ。
お買い物デーの日、「一緒に行こうよ」「うん」
一週間に一回、お買い物の日があり、買いたいもの、食べたいものがあったら、病院のマイクロバスに乗り、みんなで町へくり出す。
私は32kgしかなくて拒食症。
のりが真っ白な可愛い靴を見つけてくれて、
「買ってみたら?安いし」
みんなも
「そうそう、履いてみたら」
「うん」
「あーちょうどいい」
「うん。可愛い買うね」
このデパートでのりに進められてチョコレートパフェを食べた。
「うん。美味しい。もっと食べたい」
買いたい物デーでない日もバスに乗り、のりや友達と美味しいチョコレートパフェを目指してデパートへ。
毎日、病院の体重計にのるのが癖になって、拒食症のまなとお別れが出来ると思ったけど、受けつけられるのはチョコレートパフェだけだった。でも、確実に4kgは太った。

続く

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