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入院の行楽地[2]

精神科の先生と面談。
いろいろ聞きたいことがあるから、時間よりも30分前にはウロウロ。
「うー、泣きたいよ。あれもこれも話さないと、今日は眠れないよ」
看護師さんになだめられながら呟く。
「先生10分遅れてるよ」
せっかちな私は、その10分が恐ろしく長い時間になる。
しばらくして
「やっと来てくれた」
だぁーと涙が溢れて、飛びつく。
安定剤より効くかも…。
AC(アダルトチルドレン)のマナは、自助グループへの参加を進められた。
電車を3つも乗り換えての、週一回。
マナは方向音痴で電車の乗り換えを、すぐにノリに相談するとわかりやすく紙に書いてくれた。
この頃からノリに甘えるようになったと思う。
でも自助グループでは、すぐに友達が出来て、話しては泣いて、笑っての時間が楽しかった。
駅前のカフェでチーズケーキとアイスコーヒーを飲んで、ゆっくりしてから行くのもリラックス出来た。

とある日。
病院に入院してるのに、ノリと友達と病院専用バスで最寄り駅へ。
そして電車に乗り込みマナはウキウキしていた。
薬も持ったし、過呼吸になったときのビニール袋も持った。
行き先はフリーマーケット。
かなり規模が広いので、迷子にならないように、
「みんなで一緒にいよう」と言う声。
なんだなんだとあっちにこっちに駆け寄り、みんなで楽しく買い物をした。
「あっ、これいい」
「買って見ようかなあ」
「似合う?」
「このぬいぐるみゲット」
なんてみんなかなり、買い込んだ。
もっと見て周りたかったけど、マナがダウンしてしまった。
お腹が空いたし、露店の焼きそばをみんなで食べた。
「まずい」
少しみんなで休み、薬を飲んだ。
マナは買い物を袋から出して、ニッコリ満足。
「また、見てくるぅー」
とみんな行ってしまった。
未使用の口紅を塗ってみたら、ワクワクした。
みんな疲れたので、病院へ戻ろう。
方向音痴のマナは、みんなにくっついて、重たい荷物を持ち電車に乗り込んだ。
「ふー」
「みんな何買った?」
「見せっこしよう」
「可愛い、欲しいよぅ」
「いくらだった?」
そしたらノリが
「電車の中でやるなよ。おばさん、丸出しだよ」
と言われ、いそいそみんな仕舞い込んだ。
「けど、楽しかったね」
「また、行きたいね」
「マナ、また近くでやることあったら教えてね」
フリマの窓口をしているマナは
「調べておくね」
「楽しみ」

続く



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