Ф(¨ )創作にキク絵本( ..)φ⑤森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし
こんにちは、鐘古こよみです。
創作する人にこそ読んでいただきたい、そんな絵本をご紹介!
第五回目は、『森のおくから むかしカナダであったほんとうのはなし』。
第64回(2018年度)青少年読書感想文全国コンクールの、3・4年生の部の課題図書になっていたみたいです。
※書影や内容紹介は、各出版社の利用ガイドに則って、使用可の場合のみ引用させていただいています。
<あらすじ>
これは、いまから100年ほど前、カナダでほんとうにあった話。
もうじき5歳のアントニオは、深い森に囲まれたカナダの小さな町、ゴーガンダに住んでいました。
おかあさんは、湖のほとりでホテルを経営しています。
他に子どもがいないので、友だちはホテルで働く大人たち。
森で動物を探すのも好きです。でも動物たちは、普段はなかなか見つかりません。
ある夏の日、ホテルの近くで山火事が起きました。
逃げる場所はただひとつ、湖だけです。
町に住む人間も、動物たちも、同じ場所に非難するしかありません。
命からがら、誰もが火から逃れて湖に飛び込んだその時。
アントニオの目の前で、信じられない光景が繰り広げられます。
<感想>
人も動物も同じ命。皆が必死に生きている。
この本を読むと、そんな教科書的に語られがちな命の大切さが、ほんとうの重みをもって胸に届きます。
なぜなら、ここに書かれていることは、全てが事実だから。
恐ろしい山火事に追われ、湖に飛び込んだ人と動物たち。
山にこれほどの動物がいたのか、一体どこに、と茫然としてしまうほど、それはそれはたくさんの種類の動物たちが、危機的状況において姿を現します。
その中には、肉食獣もいれば、草食獣もいます。
大型動物もいれば、小型動物もいます。
狩るものと、狩られるもの。人間はどちらに属しているのでしょう。
ふつうなら絶対に同じ場所で過ごしたりしない。
でも今は、逃げ込む場所が一つしかない。
そんな絶体絶命な状況で、一堂に会することになった生き物たちは、一体どんな振る舞いを見せたでしょう。
粛々と、淡々と、怒るでもなく、悲しむでもない。ただ現実を受け止めて冷静に対処する動物たちの賢さが、ある種の感動を持って浮き上がってきます。
そしてそれは、人間たちも同じだったのです。
山火事という大きな自然災害を前にしたら、どんな命もちっぽけです。
でも頭と体を使って、その場に相応しい行動と態度を示して、生き抜いていくことができるのです。
私がこの絵本は創作にキク!と思ったポイント。それは、想像の中でしか起こりえないような現実が、ほんとうに存在するのだと教えてくれるところです。
こんなことがあったらいいな。でも、まさか。
その「まさか」が実際に起きたのだと知った時、大胆な創作に突き進む勇気を得ることができると思いませんか?
人と動物が自然の前でただの命となり、垣根を越えて共存する。
そんな大きな視点を与えてくれる、重みのある絵本です。
ぜひ大人の方にも読んでほしい、大人こそ読むべき内容だと感じます。
この素晴らしい名作が、いつまでも読み継がれますように!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?