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光害という名のイルミネーション

シャワーを浴びて浴室から出る。寝間着を身にまとい、髪を乾かす。
寝室に戻ると、カーテンの隙間から何やら青白い光が差し込んでいる。レースカーテンの隙間から見えるその先の空気は、まるで夜明け前のあの静けさがやってきたかのように感じる。
自分の時間感覚がすっかり狂ってしまったのかと、思わず時計を見る。23時。大丈夫、おかしいのは私ではない。
改めて窓の方を見る。やはりあの青白さは早朝のそれにしか見えない。
まあ、大方犯人はわかっているのだが、一応近づき、外を見る。
道を挟んで向かいにあるマンションの照明が煌々と灯っている。しかも2つも。
光害という言葉がある。夜間でも人工の光によって明るいままになる場所が増えたことにより、昆虫等の野生生物や人間の生活に影響が及んでいるそうだ。
カーテンからわずかに差し込んでいたこの光。これもそんな害をもたらすものの端くれなのだと思いながらも、どうもこの害という表現に納得が行かない自分もいる。
この光は、その青白さ故に、本来ならばかなり早起きをしないと味わえないあの朝の張り詰めた空気をこの部屋に持ってきてくれた。
光害と見るのか、一種のイルミネーションと見るのか。
生物学の観点で捉えるのか、文学的に捉えるのか。
そんなことを考えていると、なかなか寝付けそうにない。
これも光害の影響ということなのか。

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