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実際どうなの?家庭での「行事食」

 冬休み中は「行事食」が多い。
 「行事食を大切にしよう!」と訴える立場上、私の家では一通りの行事食を食べるが、一般の家庭ではどうなのだろう?とよく思う。そこで、昨年のことだが、各学年1クラスずつにアンケートをとった。
 集計結果をこのグラフ。

年末年始の行事食

 1番多くの家庭で食べられていたのは「クリスマスにケーキ」次いで「クリスマスにチキン」と、クリスマス強し!という結果に。
 そもそも論として「クリスマスにケーキやチキンを食べることは日本人にとっての『行事食』であるのか」という話もあるが、今回はとりあえず置いておく。(ちなみに給食では2学期の最後に「ピラフ、スープ、フライドチキン、クリスマスパッケージのデザート」という毎年似た形の献立を出すが、あえて「行事食」とはしていない。クリスマスを“意識した”献立。)

 同じようなアンケートを前任の小学校で行った際も同様の結果だった。そのときはクリスマスのケーキは83%、チキンは79%だったので、それに比べると、中学生になりクリスマスのお祭りムードは少し落ち着くのかな、とも考えられる。この結果を奥さんに話したら「そりゃ、小学生の子供がいるのに、クリスマスにご飯とみそ汁は出しづらいでしょ」と言われ、それもそうかと納得した。

 続きを見ていくと「年越しそば」が65%、「お雑煮」が66%、「おせち料理」が57%という結果。この数字を見てどう感じますか?私としては「思っていたよりも多かった」だろうか。
 とはいえ、4割ほどの子は食べていないというのも事実。日本古来のすてきな食文化。もっと多くの人たちに知ってもらい、実践してもらい、伝承していってもらいたいものである。微力ながら今後も啓発していきたい。

 行事食ではないのだが、私の実家では「正月にすき焼き」が定番だった。また、あるときテレビで「正月や年末にすき焼きを食べるのは東海地方の文化」と紹介されているのを耳にしたので、ついでに聞いてみた。すると、半数以上の家庭で食べられていた。ただこの中には、毎年お決まりの行事食的に食べている家庭と、通常の夕飯の献立としてたまたま食べた家庭が混じっていると思われる。すき焼きは「正月などに親戚が集まって食べる贅沢なもの」としてちょうどいい料理であることから、「しゃぶしゃぶ」や「かにすき」、「寿司」などと比べてみないと、「すき焼き」だけが特に食べられているかは分からない。そのため「文化」とまではいえないが、これだけの割合の家庭で食べられていれば「定番」とはいってもよさそうだ。

 最後に「七草がゆ(七草ごはん)」。これは21%と、他の行事食に比べとても低くなった。少し残念ではあるが、思い返してみれば、私自身も結婚するまでは家で食べたことがなかった。1月7日を「人日(じんじつ)の節句」と呼ぶのを知ったのも大学で食文化の勉強をしたときのこと。そう思うと、この数字には納得だし、むしろ、食べたという2割の家庭には感心する。

 昨年の3学期最初の給食に「七草ごはん」を出したのだが、あまり家庭で食べられないからこそ、こうして給食で食べることが大切だし、出せてよかったと思う。と書いていて思ったのだが、もしかしたら、給食で食べるから家では食べないというパターンもあるかもしれない。
 何はともあれ、これからも単なる食事に終わらず、食文化や栄養など様々なことを伝える生きた教材として給食を提供していきたい。

 七草がゆといえば、保育園に通う娘が、一昨年園の給食で「七草がゆ」が出たらしく、帰りの車の中で「おかゆがおいしくなかった」「ドロドロしてて嫌だ」「残した」と教えてくれた。親としては「おいしいものを出してよ」なんて思いは全くなく、「家では作らないおかゆを食べさせてくれてありがとう」だった。ただ、家に帰ると夕飯には「七草ごはん」が待っていて娘たちは不満顔だったが、かなり食べやすくアレンジしていたので喜んで食べてくれた。昨年も7日に「おかゆちゃんと食べてこいよ~」と送り出したものの、帰りに聞いてみると「おかゆじゃなくて、七草ごはんだった」とのこと。幼児の食べが悪くても、保育園は伝統的なおかゆを貫いてほしかったなあ。今年はどっちだろう?

 ちなみに「食べやすくアレンジした七草ごはん」は、七草をさっと湯がいて細かく切り、ごま油でちりめんじゃこ(かちり)とごまと一緒に炒め、塩で味付けし、炊きあがったごはんに混ぜ込んだもの。
 行事食としての意味合いとか難しいことは考えず、とりあえず「春の七草」を食べればいいよね。

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