見出し画像

#2 色は吸う

「43番ください」

愛しかった相方が手元に来るだけで、妙に安心した。火を付けると、別に焦っていなかった心がさらに落ち着く感じがする。

コンビニの電灯に虫が集まるのを見ながら一服を済ませて、誰もいない寒い道を進んでいった。

「ただいま」も発さずに部屋に戻った。探しに出かけたのか?

「おーーーい」という声を出しても、返事はない。

寝たのか確認するためにベッドに向かったが、脱がれた下着が放置されているだけだった。

家中探してもどこにもいない。トイレまで確認しに行こうとした瞬間。後ろに気配を感じるという実感もない速度で、意識が飛んだ。

***************

床の冷たさに目を冷ました。目を覚ますと薄暗い空間の中にいた、太陽光は一切入って来ずに、電灯の明かりだけで物体を確認できる空間だ。

ありがたい話でベッドはあった。どうせならベッドで寝かしてくれよと思ってしまった。

痛い体を起こすと、首にも重みを感じた。何かがついていることは確信できたが、鏡がないので確認のしようがない。

牢屋の扉のようなものがある。というかここは牢屋みたいだ。

正直何もヒントがない。そして、なぜここに閉じ込められているのかも。無論、お腹も空いてきたし、喉も乾いてきた。

早く出して欲しい。と思ったが、自分が行くあてもない人間であることを思い返して、ちょっと笑った。

ただ、仕事は無断欠勤になるのは嫌なので、ここからでなければいけない。


ありがとうございます٩( 'ω' )و 活動資金として活用させてもらいます! みなさんがより良い人生を歩めますように。