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#1 色は吸う

夕方4時26分。水色の布団から泣いた女性の顔を見上げていた。「信じてたのに!」という耳がキーンとなる手前の声を浴びせられた。「膝から崩れ落ちる」なんていう動きを見るのはこれで最後が良いと願った。

「ごめん」と一言だけ告げて、部屋をでた。すぐに次の女に電話をかけた。待ってたかのようなスピードで電話に出てくれた。
「家に行っていい?」
女性を騙せるこの魔法の一言を放ってみた。
「いいよ」
これで今日の寝床を確保できる。ホテル代が浮く必殺技だ。

この子とはどのタイミングで話したか覚えていない。確かなのは、あのキャーキャーうるさい箱に来てくれたファンの一人だということ。

「どうしたの?なんかあったの?」母親のごとく”ワケ”を聞いてくるので、「なんとなくね。」とごまかしておいた。

それでも「絶対なんかあったでしょ!」としつこいので、淫らに口を塞いだ。

自分の何に惚れてくれたのかはわからないが、この程度で言うことを聞いてくれるならチョロいもんだ。

その後の作業は適当に済ませておいた。今更、なんの感動もなければ感傷もない。自分の思ったようにするだけ。

心を通わせる感覚なんて忘れてしまった。そんな感覚が存在するのかも疑問だ。

終わった後のタバコが最大限、自分を癒してくれる存在だった。だが、そんな恋しい存在をどこかに置いてきてしまったようだ。

落ち着かない。「どこ行くの」という言葉を無視して、コンビニに向かった。汗くらい流してからくれば良かったと後悔している。


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