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ビジョンのある人になる方法

前回のブログで、グローバル人材になるために5つの要素について書かせていただいた。
今回はその5つの要素のうち第1番目「ビジョナリーシンキング」の<ビジョナリー (Visionary)>について解説させていただく。

世の中にはなぜか、いつも溌剌(はつらつ)としていて魅力的な人がいるものである。
その人がいるとなぜか勇気づけられたり、なんとなくモヤモヤしていた頭の中が整理されたりする。

私はそんな人のことを、<ビジョナリーシンカー (Visionary Thinker)>と呼んでいる。

ビジョナリーとは右脳的で、シンカーは左脳的な世界


人々がついていきたい人をわかりやすく表現すると、「ビジョンがあって頭のいい人」である。
このどちらかが欠落していると、その人の魅力は半減どころか欠点になってしまうことさえある。ここで私が言う「頭のいい」とは、単に知識が豊富ということではない。

かっこいいビジョンはある人でも、大言壮語な人は周囲からすぐに見破られ敬遠される。一方、論理的で切れ味のある頭脳を持っていてもビジョンがない人は退屈でつまらない。

私は多様な価値観の人々との交流の中で、魅力的な人は、ビジョナリー(Visionary)とシンキング(Thinking)の両方を兼ね備えていて、その2つの要素が共振していることが見えてきた気がする。

共振とは、右脳でひらめいたビジョンを、左脳で冷静に論理的にチェックして、出来上がったものをもう一度俯瞰する循環のことだ。
こんな脳の使い方・習慣を持っている人がビジョナリーシンカーだ。

カリスマ経営者だけがビジョナリーという誤解


ビジョナリーと言うとついカリスマ経営者の専売特許のように思ってしまうが、別にすべての人がイーロン・マスクやスティーブ・ジョブスのようなビジョンを持つべきだなどと無謀なことを言っているわけではない。

世界を動かすビジョンもあれば、小さなチームを動かすビジョンもある。
たった3人のチームでも、ビジョンは必要だ。ビジョンがないと仕事はただの作業になってしまう。

「場の創造」というビジョン

私は2000年に、グローバル人材育成をミッションとしたグローバル・エデュケーションを現代表の福田聡子と起業した。

この会社のビジョンは、<人材開発や組織開発をライフワークにしたい人たちが集まって、お互い切磋琢磨し、社会貢献しながら自分たちも成長していく「場」の創造>である。

会社の規模を大きくして、上場したりする事は私のビジョンにはない。

若い人に、「布留川さん、業界トップを目指していますか?上場をするんですか?今後は教育分野以外にも進出されるんですか?」などの角度からビジョンを問われることがある。そのようなことは考えていない、という本当のことを伝えるとがっかりされてしまったりするのだが、そのことに私は少し困惑してしまう。

しかし、実際創業して22年経ったが、このビジョンに共感して集まって協働してくれた方々は国内外の超一流の方々であったり、世界のトップビジネススクールだ。そして、クライアントは日本企業だけではなくグローバルのトップ企業である。

私のビジョンが、売上利益シェア至上主義で、クオリティーや社会への貢献度を犠牲にするものであったら、こんな方々は協力してくれたり、その会社の人材育成・組織開発を任せて頂けなかったはずだ。

そして一見こんな綺麗事みたいなビジョンを掲げながら、売り上げ利益をちゃんと確保していき、事業を存続発展させていくためには左脳のThink(思考)が必須である。

ここは次回のブログで書かせていただく。

起業したり事業を任された人であればよくわかると思うが、毎月の家賃を払い、人件費やいろいろな経費を払い、優秀な社員を確保しモチベーションを保っていくのはなかなか大変なことである。これに潰されてしまうと、ビジョンどころではなく、売り上げとキャッシュフローに追われる生活になってしまう。

それでは、一体どうしたら<ビジョナリー>を身に付けることができるのだろうか?

ビジョナリーになるための4つの方法


私は次の4つがビジョナリーになるための要素だと考えている。

1) CQPQ 

IQではなく、好奇心(Cuorisity)と情熱(Passion)を持つこと。
ビジョンが浮かんでくると言う事はすなわちその人の心のあり方と関係しているのだ。普段から好奇心が高く、純粋でいろいろなことに情熱を持つことはビジョナリーであるための土台なのだ。


2)集中と弛緩

何か課題を解決するときに徹底的に考え抜くものの、いつまでたっても何も浮かんでこないことがある。

ただ、ある所まで来ると、ティッピングポイント(物事の転換点)がやってくる。「ひらめき」は、主に、リラックスして頭を弛緩させる行動や環境に浸ることによって現れる。

頑張って考えているのに「何もひらめかなくても焦る事はないことを知る」ことが大事だ。

粘り強く考え抜き、後は自分の心を解放しゆっくり待つことにより、ビジョンやアイディアの出現の可能性が高くなる。

3)リベラルアーツ(人間を自由にする技)

人生はなかなか難解である。常に周囲から評価されたり、自分の出来なさに劣等感を持ったりする。
そんな時に、リベラルアーツを学ぶことによって多様な価値観や考え方があることに気づき、自分を縛っている固定観念から解放することができる。

今世の中に正解と思われている事に疑問を投げかけ、イノベーションを生み出すためには武器が必要であり、それがリベラルアーツである。

哲学、心理学、アート、文学、歴史、法律など幅広い知識を身に付けることによって、その一つ一つの点と点がつながったときに常識をぶち壊すことができる。

固定観念から解放されていない自分は、創造的になる事は難しいのだ。

4 )シンクロニシティー

シンクロニシティーとはユングが提唱した「意味のある偶然の一致」の事であるが、これではよくわかりにくいので私なりの経験から説明させていただく。

私は何か高い目標を持って日々その答えを探しているときに、よく以下のようなことが起きる。

「書棚を見ていると、1冊の本に目が止まる。そしてその本を開いてみると、まさに私が迷っていることについて方向性やヒントがある。」
「映画やドラマを見ている時、あるいは小説を読んでいる時などに、その中の対話の中に、私はその時に持っている課題を解決するインスピレーションが浮かぶ。」

ただの偶然かもしれないのだが、私の場合は、心が純粋で積極的なときにこのようなことが起きることが多い。

意味のある偶然の存在を信じる事は、私にとっては直感力を磨くことにつながってくる。

なぜなら、私の周囲に起きる様々な出来事により鋭敏になり好奇心も高くなるからである。すなわちそれは「ひらめき」を導いてくる。

この4つの要素は、「心のありよう」であり、「人生への姿勢・態度」なのである。

今回は、「ビジョナリーシンキング」<ビジョナリー>について私の考えを書かせていただいた。

次回は左脳の世界「シンキング」について書かせていただく。


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