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仲間になるってこんな感じ

ブラジリアン柔術をやっているというと、大抵驚かれます。ひとを「え~っ?!」と言わせるのが好きなわたしは、このネタが好きです。

先日の記事で、週5でトレーニングに通っていると書いたら、コメント欄に「?!」をつけて驚いてくれた方がいて、これまた嬉しかったです。

でも、今日は「あー、行くのだるいな」と思ってしまいました。素直に白状すると、そんな日もあります。定期的にきます。でも、行きました。つい数日前に、週5で通っているとドヤ顔で書いてしまったことが30パーセントくらいわたしを後押ししたように思います。

金曜のクラスは、Competetion classといって、試合さながらのスパーリング時間がいつもより長くとられています。普段は、1時間のクラスのうち、40分は技の習得、20分はその技を使うことを意識したスパーリングという内訳。でも金曜だけは、最初の20分は自分の得意技の練習をし、残り40分はひたすらスパーリングをします。

先月までは、わたしと同じように毎日ジムに通う希少な女性がいて、体のサイズがさほど変わらない彼女とペアになってスパーリングができていました。わたしより柔術歴が長く、技もスタミナもある彼女との練習を通じて学んだことは、限りなく多い。わたしの柔術は、先生以外には、ほぼ彼女から学んだといっても過言ではありません。

その彼女が、最近首筋のわりと大きな怪我をしてしまい、暫くお休みすることになってしまいました。ジムにはほかにも女性会員が数名いるにはいるのですが、毎日通うほどヒマがあり、謎の熱意に燃えている人は残念ながらいません。

そんなわけで、彼女がジムに来なくなってから、わたしは男性陣に混ざって練習せざるを得なくなりました

さて、今日のメンツは。
先生を除き、男性8名にわたしを加えた9名。身長2メートル近くある人が3名、うち1名の体重は推定150キロ超。また違う2名は軍隊経験のあって、身体能力だけでなく、いろんな意味でサバイバル能力が高そうな人たちです。茶帯、紫帯、青帯が1人ずつ。わたし?もちろん白帯。

彼らをざっと眺めて、今日はキツイ練習になりそうだと予感する。いや、確信しました。

でも真面目にいうと、男性陣との練習は、わたしにとっては新しい転機になりました。これまでわたしがやってきたことが、そのままでは通用しないのです。いままで自分と同サイズの相手に繰り出していた技は、体が大きくて力の強い相手には不向きなものもあります。そのことに気付いて、最近は戦い方のレパートリーを増やすことを意識して練習するようになりました。

先生が、みんなの身体のサイズをもとに2つのグループにわけ、総当たりでパートナーを変えながらスパーリングをしていくことになりました。

最初の相手はデイビッド(仮名)。青帯、柔術歴3年。最近まで沖縄の基地に駐留していた元軍人。日本にいたときは柔道もやっていたらしい。彼は体がものすごく締まっているけれど、アメリカでは小柄な方で、技を磨いて強くなってきたタイプです。

彼はとにかく次から次へ技を出してきます。こちらが少しでも守りの姿勢に入ると形勢逆転するのが難しいので、わたしは攻撃を止める暇がありません。攻めながら守る。それでも、技でも力でも敵わず、すぐ抑え込まれるてしまうのだけど、抑え込むときのプレッシャーがこれまたきつくて。ガッチリ抑え込まれたら、そこから逃げるのは並大抵ではない。

もう一人の相手はアンドルー(仮名)。紫帯。柔術歴6年。最近ジムに朝昼晩と3回も通っているツワモノ。ちなみに、彼は弁護士なのですが、仕事の合間に柔術をしているのか、柔術の合間に仕事をしているのか。デキる人はすごいね。

このアンドルーはまず、組ませてくれない。わたしが組み手を取りに行くと、手でそれをばしっばしっと払いのけながら、その隙に足でわたしの足首を内側からひっかけて、同時にわたしの肩をドンっと押して後ろへ倒す。日常生活でやられたら、即ケンカになりそうな荒い押し方で、初めてやられたときはちょっとびっくりしました。でも、この技をかけられると、思わず笑ってしまうくらいコテンとこかされてしまう。今日も何回かやられました。

くっそーと思ってすぐ態勢を整え、膝を使ってアンドルーの膝を押さえつけ、上半身を固めてから足を抜いて抑え込もうと挑みました。でも、一瞬の隙にくるんとひっくり返されて、危うく締められるところでした。怯んでいる暇はありません。止まれば次の手が飛んできます。すぐに身を起こして次の動きへ。でも、こんなやられっぱなしのわたしでも、10回に1回くらいは何かしらの技が狙えます。いつも狙っておかないとチャンスを逃します。

なにが言いたいかというと、この人たち、わたしに手加減するのをやめたらしいのです。そうとは聞いていないけど、スパーリングすればわかります。最初の頃は、意図的に初心者のような動きをして、わたしが技をかけるチャンスを作ってくれていました。時々動きをとめて、こういうときはこう対応したらいいよ、とアドバイスをくれたりして、半ばレッスンのような感じでした。でも、いまは同じ土俵で戦っている実感があります

この感じが、とてもよくてね。なんだろうな、この感じ、と思ったのです。ちょっと考えてみて、こういうことだなと理解しました。

わたしは、この人たちの仲間になったんだなあ、と。

外国語学習でも、こんなことはないですか。ゆっくり話してもらっている間はまだまだお客さん扱いです。「英語、お上手ですね」なんて言われても、まだ手加減されている。でも、「どこで日本語を勉強したんですか?」って言われたら本物です。そう言われたときは、もう仲間になっています。こっち側から向こう側へ渡った証拠です。

わたしがいま言っているのは、柔術がどれくらいうまいかということではなくて、姿勢とか熱量のことですけどね。例えがわかりにくくてすみません。

仲間になるってこういう感じだなあ、とそればかり考えながら家に帰りました。今週もちゃんと週5で通いました。おしまい。

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