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【日本式の脱炭素戦略】日経新聞ピックアップ#25 24/3/21

脱炭素へGX債始動2 グリーンに限っていいのか:日本経済新聞

政府が発行開始したGX移行債は再生可能エネルギーなどのグリーン事業以外にも、水素製鉄など二酸化炭素の排出を低減する事業も投資対象となる。

本記事にもあるように日本のGDPは製造業が20%ほどを担っている。さらに二酸化炭素排出量を業界別に見ると鉄鋼業が3ー4割を占めるため、日本で脱炭素を進めるには製造業とくに製鉄業分野へのテコ入れが必要とされている。

欧米では風力、太陽光発電などの再エネ事業しかグリーン債の対象として認めない意見が強いが、近年の地政学的不安定を端に発するエネルギー危機が囁かれるなか、脱炭素への段階的なシフトへとGXへの考え方を見直す動きが広がってきた。

特に顕著なのが自動車業界で、EV自動車は製造や廃棄の過程のコストを考慮するとHVやガソリン車に比べて化石燃料の使用量はほとんど変わらないうえに、希少金属資源の枯渇スピードを早めるとさえ言われている。こうした事情からEV販売台数を制限する欧州メーカーも出てきている。

クリーンエネルギーである風力や太陽光発電ではソーラーパネルや風車を使用する。ソーラーパネルの製造には希少金属が必要だが、せっかく作っても耐用年数が数十年ほどしかなく、すでに廃棄や入れ替えの問題が発生しつつある。風車は最近でこそ洋上浮体式タイプが実用化されているが、設置には広大な敷地を要し多額の製造費用がかかる。

プロセスアプローチの視点では急激な脱炭素社会への転換は、逆に地球資源に負荷をかける可能性も見えてくる。日本のGX移行債ではドライに合理的な方針を打ち出している。日本の電力構成や他国との競争のなかで土俵際の議論がなされていたのかもしれない。

うちはうち、よそはよその精神

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