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スケルトンデータ

 全くのフィクションのお話です。

マイナンバー

 爽やかな女性や男性のタレントを器用して、「マイナンバーカードの登録はお済みですか?」と、テレビ、ラジオ、インターネットでいろんな所でやたらに流れる言葉。

 カードを作る、作らないは個人選択だったのが「“健康保険証”をマイナンバーカードで。」となると、選択の余地はなく事実上強制になり、いろんな場面で提出が要求されると、作らないといけなくなった。

カードデーター

 “生活が便利になる”
事実上強制で作られたカードがいつの間に生活にすっかり溶け込むように国家権力が方向を決めて、すっかり持っている事があたり前になった。

 いろんな個人情報が顔付きのカード、一枚に集約されて“オールインワン”のカードに到達した。
 何から、何までの個人情報。
仮に、多田愛里沙30歳
彼女の親、兄妹、親族、誕生日、生誕場所、生誕の成り行き、血液型、身長、体重、病院歴、投薬歴、DNAサンプル、収入金額、勤務先、既婚者、子供、人数、学歴、住所、携帯番号、所有財産、銀行口座番号、預け入れ金額等ありとあらゆる事が入るカードとなった。

データの利用方法

 この国は管理する事が好きで、このカードを使い“完全可視化”をやり初めた。
 初めは財務省がこの国の国民全体の所有資金、財産の確認と所有年代等のデータの運用から始まった。
 データをもとに、多額の国の債務整理を減らす目的に税収をとる世代や個人に的をしぼった。
資産や銀行残高が多い人や世代を限定して、国が個人に変わり資産運用する制度をなかば強制的に作った。

   “ 国家資産運用法 ”
 ※75歳以上世代または、銀行残高が多額な方を対象とする。
 ※対象者方の資産の移動または譲渡を禁止する。 
 多田愛里沙は“国家資産運用法”には該当しない年齢で関心がなかった。
 
 “関心がない”多田愛里沙が思うのは、当然だ。
 “狭く限られた人に運用する法律”は、興味をひかない。
 これを繰り返すと歪んだ国が出来上がる。

 多田 愛里沙(仮)

 経産省も産業人口の減少が問題とされていて解消の為に、近未来の産業人口に向けて子供の人口増加をこのカードのデータを元に案件を出した。
 18〜40歳の男性、女性の未婚、なおかつDNAサンプルで選抜された者の結婚と半年以内の妊娠者増加を法案とした。

“国家産業人口増加法”
※”強制力を持つ法律とする。

 多田愛里沙は選抜される年齢範囲だったが“私は大丈夫と“自分に言い聞かせていたが、“選抜者御案内申請書類一式“が郵便ボックスに郵送されていた。
 アパートの自分の部屋に戻り、配達されたA4サイズの郵便には“経済産業省“と記されていて、「何??」と開いた。

 “国家産業人口増加法”に基づき、下記の指示を厳守するものとする。
 なお、開封を持て通達とする。
 “結婚相手 三杉 寛太 31歳
以下の指定場所、時間へ行く事を指示する。”
※ 拒否権は認められません。 
※ 但し3か月以内に結婚する場合を       除く。
※ 入籍に関しては、各市町村役場へ  確認致します。
※ なお、結婚相手の年齢は40歳を超えるものは対象外と定める。


不自由恋愛

 
 

 多田愛里沙は自分に関わる法律と思ってはいたが、“まさか自分”が愕然とした。
 遠距離恋愛していた年上の彼は、41歳で千葉県在住の“佐藤蓮”は対象になる年齢を超えている。
 恋愛すら限定や束縛に…!

 国の都合の悪い事を打破する為に、次々にカードのデータは国家の“便利なツール”になり、新しい法律が作られた。

総務省
 地方創生の為の、“県外移住制限法”
※ ただし、規定人口到達都道府県は除く。
※ 人口到達都道府県は、増加人数を不足都道府県へ移住させる。

厚労省
 

 通院、投薬歴から保険料増額改定法
※ 同一都道府県に割り当て病人数を規定する。

  マイナンバー制度の利用促進で“生活が便利なる”が、いつの間にか国民の全てを把握する便利カードになった。
 貴方の生活の全てが透けて見えるてしまう。
“国勢調査”は必要なく、いつも現時点のデータが見える“魔法のカード”。

 透明な箱に住んでいる様に、いつも丸見えだから……!

 くれぐれも、ご注意下さい。

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