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豪雪の山里から ~ 犬を飼うということ

こんにちは。ようこそ

今回は、山里暮らしで犬を飼ったことについて、その良し悪しに触れておこうと思います
ただし、人生50年で犬の飼育経験なしの素人オヤジ的な見解ですから、犬のプロによるご指南とは違います
その辺のところ、どうかご寛容に

さて、我が家の愛犬は、4歳の雄の柴犬
胸のあたりの縦じま(ウリボウみたいな)と
くるりと丸まった尻尾がチャームポイント

生まれて3か月でうちにやってきました

経路は、ペットショップでも動物愛護センターでもなく
知り合いからの貰いものです

柴犬を飼っている炭焼きの知人の前で
なんの気なしに「いつか柴犬飼いたいんだ~」って
呟いていたら
「子犬が産まれたから欲しけりゃどうぞ」って
言ってる人を紹介されて無償で(!)譲ってもらいました

譲受後、最初にしたのは「命名」
考えた条件は3つ
・集落のお年寄りにも覚えやすい名前
・和犬らしい名前
・集落内に同名の人がいない名前

ということで数日悩んだあげくつけた名前は「タロー」でした

実際、この名前はお年寄りもあっという間に憶えてくれたから正解でした(ただしタロウとか太郎とかもアリとして)

飼い始めた当時、なぜか集落で犬を飼ってる家は一軒もありませんでした
(今は他に2頭増えて3頭になりました)
お年寄りに訳を訊くと、昔は飼ってる家が何軒もあったし
今もペットにしたいのは山々だけど
年を取って散歩もキツいし、5年10年先に、自分がどうなってるかも
分からないから飼えないと言われました
なんとも切実な理由でした…

そんな集落事情もあり
子犬のタローは、あっという間に注目のアイドルになりました

どこへ行っても「めごいねぇ」とちやほや、おやつを与えられて
一日顔出さなかっただけでも、タローがぜんぜん来てくれない~とか
不満を言われてしまう始末

お陰で4歳のりっぱな雄犬に成長した今でも、
人の顔をみればおやつ貰えるかもって
すり寄って行っては
ぶるんぶるんと尻尾ふってお座りして
おねだりするっていう知恵だけはつきました

自分の子やかわいい孫にたまにしか会えないお年寄りにとって
タローは格好の癒しの存在のようです
動物による癒しでいえば、数年前に大けがをしてリハビリ中の人も、晴れた日にはタロー会いたさに我が家まではりきって歩いてきます
世間では犬や馬などのアニマルセラピーが注目されているように、老人や病人に対する動物の癒しの効果というのは、少なからず人の心身に良い影響を与えているように実感しています

一方でタローの人気は、自分自身にとってもメリットがあります
それはタローを散歩に連れ歩くだけで、飼い主も皆さんに認知されて、
自然と良いコミュニケーションが生まれるからです
特に、移住して集落の人との関係づくりにお悩み中の人には、犬を飼うのはお勧めの一手と言えます
「あのワンコを連れている人」として、すぐに知られるようになります(笑)

そんな愛されキャラ犬のタローにも
しっかりと猟犬(狼?)のDNAが受け継がれています
昼間の番犬ぶりだけでなく
夕暮れすぎ、家の周りに出没するタヌキには容赦ありません
首根っこに噛みつかれブンブン振り回されて息絶えたタヌキは、何頭にもなります
そして冬に見かけるキツネは本当に気に喰わないらしく
遠くの山際を歩いてるだけで、気配が無くなるまで本気で吠えたてます
(キツネも負けじと吠え返しますが)
昼間のかわいいペットの顔とはまったく違います

そんなタロー、夏場には、畑を荒らす鳥獣たちを追い払ってくれるし
抜け毛をペットボトルに入れて吊るし、田畑の獣除けに利用させてもらったりもしています
まぁ獣も生き残りをかけて必死なので、効果は限定的とは思いますが、多少でも嫌がらせになれば、何もないよりはマシかもしれません
だから毎年、換毛期にビニール袋いっぱいに集めておいた抜け毛を、畑の鳥獣害に困っているっていう何人かの母ちゃんに分けてあげて、ずいぶんと有難がられたりしています(時に収穫物をお礼にもらったり(笑))
こうして農業の場でも、タローは少しは役立っているようです

そして役に立つと言えば
人の運動不足解消にも一役買います

「田舎あるある」ですが、この辺の人はごみ出しなど数十メートルの近さでも、すぐに車を使いがちです
日ごろ野良仕事はするものの、畑仕事では腰は使うけれど、意外なほど足は使いません
お年寄りは普通に暮らしているだけでは、筋力が衰える一方で、しだいに転倒や体力減退のリスクが高まっていきます
今を維持するにも普段から運動が必要なのですが…
町の方ならジョギングやらジム通いやらするけれど、ここらにそんな習慣もありません(ゲートボールも廃れてしまったし)
だから朝夕に犬の散歩をする習慣は、貴重な体力づくりの場になるから、むしろお年寄りにこそお勧めとは思います

タローの場合でいえば、1回の散歩で1時間弱は歩かされます
朝夕歩けば、結構な歩数になります

難点は、
散歩中に外でトイレをする犬の場合、
豪雨でも吹雪でも、自分が疲れていようとも体調崩していようとも、散歩を休めないということです(歩きたがらない犬もいるので個性にもよりますが)
そして夏場の農繁期などは、朝夕の散歩に時間を取られるのが惜しいこともあります。夕方もう少し作業を進めたいけれど、タローが待っているからと、やむなく作業を切り上げることも度々です
それと、中型(12㎏)のタローだと、獣の匂いを嗅ぎつけて追っていく時には、ぐいぐいと結構な力でリードを引っ張ります。お年寄りなど体力のない人の場合は、小型犬でないと危ないかもしれません

逆に、タローの散歩を始めてから気づいたメリット(?)があります
それは、徒歩でしか入っていけない隠れた小道(時には獣道にも)によく連れていってもらえるということです
散歩するまでは、移住して数年間たっても、まったく知らなかった場所に小道があるのを教えてもらったりして、新たな発見につながる愉しみがあります
新たな発見といっても、そこから見える違った角度からの新鮮な風景だったり、昔の人の往来の跡や動物の痕跡、春の山菜、珍しい植物の花など、取るに足らないものばかりですが
とくに自分は、薬草を採ってお茶葉にしたりしていますが、散歩中に入り込んだ先で、新しい薬草の群落を見つけることが何度もありました
まぁ、タローは、その辺の草むらにも平気で入っていくので、虫嫌いな人や、ヘビが大嫌いな地元の人たちからすると、むしろデメリットという見方もできますが
良し悪しの判断も人それぞれなのでしょう

その他に、これは犬を飼い始めたきっかけでもあるのですが、
以前から、嫁さんが犬好きだってことを聞いてたので
こっちで犬を飼えば、犬に会いたくなってちょくちょく顔出しにやって来るかもという打算がありました
そんな自分の思いを知ってか知らずかわかりませんが
最近では明らかにタロー会いたさに、あまり間を空けずにこの山里へと通ってくるようになりました
まさに思惑どおりです(^-^;

でも、犬がいると遠出するのが、思いのほか大変です
嫁さんが頻繁にきてくれるのは良いけど、
じゃあ、せっかくだからちょっとドライブで遠出するかってなれば
もろもろ犬のための荷物を準備しなきゃだし、
ドライブ途中で散歩休憩が必要だし、中型犬と一緒に泊まれる宿も多くはない(小型犬までってところが多い。宿代が割高)
そうかといって、ネコみたいに一泊くらいなら留守番で、って訳にもいかない
いっそ、今流行りの軽キャンピングカーでもあれば、などと考えてしまうけれど先立つものがありません
動物病院は滅多にいかないけど、餌代にもお金はかかります

こんな風に、犬を飼うことは良い面も悪い面もたくさんありますが
少なくとも田舎の一人暮らしでは
良き話し相手になることは間違いないようです
タローを飼うまでは、どちらかと言えば自称ネコ派でしたが
今となっては無くてはならない存在です

家族の一員とか言って溺愛してるわけではないけれど、何となく生活の中にタローとの時間が組み込まれています
何と言いましょうか…
この辺の人が言うところの「でがある」って感じですかね
大変なことも多いけれど、犬がいることで暮らしに張り合いが出るってこと

まあそんな感じです
ではでは








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