忘れられない恋物語 彼女がある日突然、長い髪をバッサリと切った理由

僕が小学校5年生の時、ジュリーこと沢田研二さんが追憶という名曲を大ヒットさせた。

中学1年生の時、3年生の彼女が出来た。
僕は女の人と付き合うのは、この時が初めてだった
髪の長い綺麗で優しい人だった。
ところが僕は恋愛初心者だったので、彼女の期待通りのリアクションが出来なかったために、時々彼女をイラッとさせた。

だが、彼女は2つ歳上だったことと、僕が初めて
女の人と付き合っているのを知っていたので、大抵のことは大目に見てくれた。
ところが、1回だけ激怒させてしまったことがある
今でもこの時のことは忘れられない。

ある日いつものように放課後、体育館の裏側の彼女との待ち合わせの場所に行った。
だが、そこにいた彼女はまるで別人のようだった。
彼女は長いストレートの髪だったのに、その時そこに居た彼女は、男の子くらい髪が短くなっていたからだ。
僕はビックリして言葉が出なかった。
すると彼女の方から話し始めた。

「鈴原くん、髪を短くしたけど似合う?」
「似合ってるよ。」
「ありがとう。良かった。鈴原くんが気に入ってくれなかったらどうしようと思ってたの。」
「翠さん、どうして髪を切ったの?」
「えっ?鈴原くん、私がどうして髪を切ったのか、
分からないの?嘘でしょ!?
ねえ、よく考えて。」

翠さんは涙を浮かべていた。
だが僕はなぜ翠さんが髪を切ったのか、全然分からなかった。よく、女の人は失恋すると髪を切ると聞くが、翠さんは失恋したわけではなかった。

「鈴原くん、本当に分からないの?
分からないのなら、鈴原くん、責任取って
私の切った髪の毛、全部ボンドでくっつけてー!」

僕は、どうしていいか分からなかった。
どうして翠さんがバッサリ髪を切ってしまったのか
全然分からなかった。
すると翠さんが涙をこぼしながら話し始めた。

「鈴原くん、こんな男の子のような短い髪になってしまったら、男の人はもう誰も私に振り向いてくれないんだよ。鈴原くんのものになったっていうことでしょ!なぜそれが分からないー!
まったく、鈍いんだならもう・・馬鹿っ・・・
私、今日は帰る。」

そう言って翠さんはその日、帰って行ってしまった
翠さんの機嫌が治るまでに1週間近くかかってしまった。もとの翠さんに戻った時はホッとした。

その週の日曜日の夕方、父親が焼肉を食べに行こうと言って家族で出かけた。
父親の運転する車のラジオから、沢田研二さんの
追憶が流れた。
追憶の2番になった時、僕はもしかしたらと思った

追憶の2番の歌詞
長い髪を切って来たニーナ
僕に愛を誓う そのために

翠さんは、これを聴いて思い付いたのではないだろうか?と思った。

これだけは分からなかったなぁ〜と今でも思う。
沢田研二さんの追憶を聴くたびに思い出す。





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