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県警対組織暴力(1975)

県警対組織暴力(1975、東映、100分)
●監督:深作欣二
●出演:菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹、金子信雄、山城新伍、池玲子、成田三樹夫

タイトルの直球度合いはもはやお家芸というか芸術の域である。

もちろん楔形文字みたいな恐ろしいタイトルクレジットのフォントも素晴らしい。

冒頭からラストまで一切途切れることがない緊張感。

特に関東の片田舎でぬくぬくと育った人間にとっては、怒涛の如くまくしたてる広島弁の名台詞の数々に戦慄させられるわけである。

お前らみとうな雑魚ひっくくって、ブタ箱へ放り込んでみても税金の無駄遣いじゃ!

市の予算が余っちょるき。捜査費に使うてくれいうて言われとるんじゃ

あの頃は食いもんがのうてのう。闇米買い出しに行くためにサツに引っかかって全部没収されよるんじゃ。ほいじゃったら没収する側に回っちゃろう思うてのう

こいつら緊急逮捕!

あの頃はのう、上は天皇陛下から下は赤ん坊まで横流しの闇米食ろうて生きとったんで。あんたもその米で育ったんじゃろうが。おお?きれい面して法の番人じゃなんじゃ言うんじゃったら18年前我が犯した罪清算してからうまい飯食ってみいや!


”こんにちは赤ちゃん”が流れる中でののたうち回りながらの刺しあい、殺し合い。

ラスト、菅原文太と松方弘樹の二人が殴り合うシーンはカメラがグルングルンと暴れまわる。

主役はこの二人。

重要な役回りの梅宮辰夫も残念ながら今作では引き立て役にすぎない。

滅びの美学なんてものとは程遠いくらいに情けなくてみっともないけど、それでもそれがカッコよくて、悲しくて、潔いけどやり切れない。

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