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電通の「戦略十訓」を読み替える

広告・宣伝の効果について考えてみよう.。1970年代の消費活動をリードした「電通の戦略十訓」を、改めて見るとヒントになることが多い。
というのは、大谷翔平選手をCMに起用した商品が爆発的に売れたというニュースを聞いたからである。

消費活動を一変させた「戦略」とは

電通の「戦略十訓」を具体的に書いてみよう。
①   もっと使わせろ
②   捨てさせろ
③   無駄遣いさせろ
④   季節を忘れさせよ
⑤   贈り物をさせろ
⑥   組み合わせて買わせろ
⑦   きっかけを投じろ
⑧   流行遅れにさせろ
⑨   気安く買わせろ
⑩   混乱をつくりだせ

貴方は、これを見て、どの項目が気になりましたか?
何とまあ!現在の生活そのものじゃありませんか?
貴方は、どんな感想を持ったのですか?
それ以前に、「広告代理店の存在」を意識したことがありますか?

1970年代の戦略が生きている

50年前の「消費を増やす戦略」だから、60歳以下の人には
「当たり前」に感じられることが多いでしょうね。
資本主義というより、「商業主義万能」の中で生活していますからね。

私は、冊子で「はじめて文字化したものを知った」時はビックリしたです。
「なんだ!私たちは、広告代理店の戦略の「手のひらの上」で泳がされていただけではないかと思いましたね。
単純に世間知らずだったからだけですが、世間知らずとは恐ろしいです。

世間知らずから、少し、歩き出して・・・

これは、ヴァンス・パッカド(米)の「浪費をつくりだす人々」(1960年)が、元ネタですが、これが日本の経済成長を促し、逞しい「ジャパニーズ・ビジネスマン」を生み出したのだから、すごい影響力ですね・・・。

・無駄遣いさせて、沢山消費させて、次々と新しい流行を創り出す。
・季節を忘れさせて、冬でもビールを飲むのが当たり前にする。
・日本人には馴染みがないバレンタインデーを広告宣伝素材にして、
 チョコレートを贈ることがカッコいいという流れをつくる。
・芸能人・タレントに華やかなデザインの衣服を纏ってテレビに出させて
 「今年の流行色」をアピールし、消費を喚起させる。

Noteには、代理店に勤務するする人、コピーライター・映像作家・音響メディアの人・スタイリスト・モデル・営業担当者・・・が投稿していますね。

現在のダントツの売れっ子は「大谷翔平選手」

大谷選手とCM

2021年に、化粧品会社であるコーセーは、大谷翔平選手を起用したCMによって「売り上げが8倍」に増加したと、マスコミが報じました。
大谷選手の人気と影響力が、企業の広告効果に大きな影響を与えたからだそうです。2024年に入って、大谷選手をCMに起用した企業は続々と増えていると聞きます。

JAL ・ファイナティックス・オークリー・セイコー・三菱UFJ・西川・コーセー・興和・ニューバランス・・・。まだまだ増えそうだと聞きます。
ブランドの知名度向上や商品の信頼性向上に寄与しているからだそうです。
PR効果抜群だからですね。

1970年代に、電通が消費を進める戦略として提唱したものが「戦略十訓」ですが、50年経過して、今では当り前になっているものが多いですね。
好き嫌い、良し悪しを別として、高度経済成長を果たし、さらに飛躍しようとする当時の「日本経済のアグレッシブさ」を感じさせます。

売り手目線と消費者目線

そんな電通「戦略十訓」は、売り手側の訓戒ではあるのですが、
消費者目線で読み解いてみると、また違った形が見えてきます。
消費行動とは、とどのつまり「消費者自身の幸福度・何やらに貢献」しているわけで、消費自体は消費者にとって決して悪いことではないからです。
つまり「戦略十訓」とは、消費者に喜ばれる良いプロモーションを打つためのヒントでもあるといえるのです。
Noteの作家の皆さんにもヒントになると思いますが、いかがですか?

代理店の役割

  世界的にみると、Publicis Groupe SA(フランス)・Omnicom Gruplnc(
アメリカ)・FocusMedia Informaition Technologu Co.Lta(中国)・WppPlc(
イギリス)などの規模が大きく、
日本の広告代理店は、まだ3~5番手に入れないようですね。
大規模な代理店の影響力は、小さな国家を超えて、世界を動かしています。
日本の代表的な代理店は「電通」「博報堂」です。
中小の代理店は、2000社以上あるといわれます。

テレビのCMも・マスメディアも、「消費者」と「スポンサー」の間をつなげる「代理店」を頼っているケースが多いです。
パリ・オリンピックも、サッカーのW杯も代理店なくして成立しないです。

もっとも、東京オリンピックは、代理店の巨額の利益創出が問題になっていいますが、スポンサーはボランティアではないから、あらゆるところで宣伝効果を狙いますね。

スポンサーの意図と目的

テレビの映像のワンカットに、スポンサー名が何回映し出されるか。
これを「カウントする仕事」もあります。
スポーツの「冠イベント」を思い出せば納得できますね。
大谷選手の背後に、いくつのスポンサー名が映し出されるのか。
数えたことがありますか?

世界的なブランドになるために、サッカーのキリンカップが開催されていますね。海外で開催するのは、商品イメージ・ブランド化促進のためですね。
スポーツ商品では、ナイキ・アデダスが強いですね。テニスも、バスケットも、野球も、スキーも、選手は背中にスポンサーの期待を背負っています。

身近な「戦略」をスケッチしてみましょう。

あまりにも、私たちの「生活感覚」の沿っていて、怖くなりますね。

1 もっと使わせろ

たくさん使わせて消費行動を加速させろ・・・ということですね。
「もっと使わせて、製品の改善に役立てることが良いことだ。商品開発に消費者の声を反映させるのが良い」です。化粧品・スマホなどが多いです。

2 捨てさせろ

「商品の消費サイクルを早めろ」ということですね。これはズバリ、慎重に商品を比較検討させて購入する」ではなく、使い捨てが良いことだというPR・流れをつくることを指しています。日用雑貨品に目立ちますね。
最近は、「ゴミ」が問題になっていますけど・・・。

3 無駄遣いさせろ

「もったいない」という、日本の伝統的な価値観を捨てさせて、無駄遣いをさせて消費を増やす戦略です。つまり資源の無駄使いを扇動する。消費は、高級志向と低価格志向に二極化してますから、付加価値をつけて売りまくるのです。

4 季節を忘れさせろ

最近は、夏野菜だったトマトがいつでも店頭にありますね。冬にアイスクリームを美味しく食べるCMを造ったリ、真夏に、秋の衣料品のファッションショーを開催したりしていますね。冷・暖房の普及も関係しています。
「季節感」という言葉が反故になりつつあります。

5 贈り物をさせろ

恋人に「お花」をプレセントしたり、チョコレートメーカーがバレンタイデーを設定する。ホワイトデーも造って、クッキーをプレゼントするという、これまでの日本人にはなじみがなかった「新しい習慣」を創出しています。メーカーの戦略が、成功した例ですね。

6 組み合わせで買わせろ

いろいろなものを組み合わせて売る「福袋」や、「ペアルック」の衣服を着るようなプレゼンがありますね。派手なカップルが、時計・装飾品などの売り場に登場して、売り上げを伸ばす例です。組み合わせ売る工夫もオシャレ優先です。

7 きっかけを投じろ

誕生・結婚・還暦の記念日とか、雛祭りや端午の節句などに、個人的なプレゼントを贈って、消費のきっかけを創る仕掛けです。懸賞をつけたり、そのための情報収集に時間とエネルギーをかけるのも重要です。文字より映像が使われるケースが多いですね。

8 流行遅れにさせろ

「遅れている」というセリフを流して、新しい情報を送り込み、消費トレンドをリードする手法です。流行に乗り遅れない雰囲気をつくる。これが消費活動を促します。特に、アパレル系のファッションでは、イロ・オトの流行が決めてです。

9 気安く買わせろ

安さを強調したり、購入を急がせたりする宣伝がありますね。保守的な高齢者の財布を緩めさせるために「不安」を煽って、健康食品を売ることに通じます。「健康にいいですよ!」という呼びかけによる効果の創出です。
生命保険・死亡保険など「恐怖」を煽ることもポイントです。

10 混乱をつくりだせ

コロナ禍で、消費が落ち込んで困ったことがありますね。人が動かないから飲食店・観光地も困りましたね。交通機関・旅館は「混乱の欠如」が消費をなくしたという「逆の例」で考えると分かり易いです。身近な混乱が消費を促す例では、医薬品・医療器具の販売です。

さて、50年が経過して、いろいろな変化がありますね。基本的な流れは同じですが、目立つものを取り上げましょう。

①「ジェンダーをすてさせろ」です。男・女差がないユニSEXの服飾が流行しています。また、女性がビール・アルコール飲料を愉しむCMが目立ちますね。

②「世界中に通用する製品を造れ」です。EV自動車の販売、ITを使った電機商品、しみや皺を隠す化粧品が開発されていますね。
大谷選手も「商品」ですから、「お~いお茶」のCMで、世界中にお茶の消費を促す戦略が報道されていますが、どうでしょうか?

③「IT・AIを使った商品開発」が急がれていますね。ドローン・自動制御機などが注目されています。デジタル端末機を使った教材開発など、学校の授業の形態も変化しています。

④「地域に拘れ」といって、地ビールとか、地域限定商品を造るという逆の流れも生まれていますね。日本色を強調したファッションが創出され、デザインに変化が見られたりしています。

⑤「リサイクル運動」が展開していますね。消費は美徳であると価値観の見直しが進んでいます。環境問題や資源保護問題となっているからです。
商業主義も新し段階に入っています。


 
 
 

 
 
 

 

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