見出し画像

嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~三十七の歌~

天命記 Ⅳ 原作:文屋朝康
そんなに泣きんとき。涙がポロポロポロポロ、水晶玉のようや。
「秋野には飽いた」とか言うて、あっちでナンパ、こっちでイチャイチャ。
そんな男、吹き飛ばし!
夜が明けて朝になったら、窓を大きく開けて部屋いっぱいに風迎えて。
そないしたら、陽の光が胸をグサっと貫く。
それで生まれ変われる、心配あらへんよ。

定家「優しい友達やな。関心するわ。白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける」
蓮生「浮気男は何処にも居るわ。けど、そんな男に限っていたいけな、可愛い娘が好きになるんや、これが」
定家「どうにも、困ったもんや。ところで、蓮生はん、あんたんとこのお嬢さんは大丈夫かいな?」
蓮生「それや。ほんまに気になって、むちゃくちゃ心配なんやけど、口をきいてくれへんのよ、これが」
定家「何処の家も同じやね。やっぱり、頼りになるお友達が必要や」
蓮生「せやね」
定家「こないして、日は暮れんるんやろね」
蓮生「せやろね」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?