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超短編小説「心配性」

お題:未熟な病院


心配性



心配性です。あなたの病名は。

医者がそっけなく私に言い渡し、カルテにさらさらとなにごとかを書き込む。その仕草を患者である私は呆然と見つめていた。

「そんな…先生、何度もいうように、私は本当に困っているのです。
さまざまな医者に追い返され、たよれる病院はここしかないのです。心配性だなんて、そんな嫌味をおっしゃらないでください。有名な心療内科医であるあなたなら、きっと親身に答えてくださるだろうと、私は…!」

感情がこみ上げて、なかばぞんざいに肩をゆすると先生はため息を一つ。

「ですから、あなたは『心配性』という病気なのです、山口さん。」

無表情で驚いた様子もなく、彼の肩をつかんだままの私の手をそっと取り外し、落ち着き払った様子で、同じ文言をゆっくりと告げた。

「心配性…って、性格の話というか、そういうものですよね?先生、からかっておいでですか?私は、そんなもので愚痴を訴えにきたのではありません。恐ろしい不安感に襲われて、身体の震えが止まらないんです。助けてください、お願いします…!」

「山口さん、あなたは人よりも、大きなエネルギーの『変調』を感じやすい。それが心に伝わって、急激な不安感に襲われるのです。」

先生は一息ついて、さらにいう。

「大丈夫。ただ、この世界に100年間封印されていた魔王が復活しそうなだけです。その前触れを、あなたが感じやすく、体調に異変が出てきているのです」

「‥‥勇者が魔王を倒すまで、しばらく我慢してくださいね」

診断結果は、とんでもないものだった。




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