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続・子どもの心を診る(4)

学校からのADHD評価スケール

学校版の評価は担任の先生だけではなく、複数名の意見を取り入れて行なわれたようだが、学校においても「0(ない もしくは ほとんどない)」だろうと思っていた項目で「3(非常にしばしばある)」となっていたのを見た時には絶句した。

例えば、「まるでエンジンで動かされているように行動する」が「3」になっているのを見た時は、しばし言葉を失った。正直、エンジンで動かされているような行動と言われても全くピンときていなかった。

むしろ、長男が1歳の頃から私と一緒に通っている美容室では、長男は店内を走り回ることもなく、カット中もずっとじっとしていられたために褒められていた。お世辞もあったのかもしれないが、それにしては毎回感心されていた。そういえば公共交通機関でも騒がない。そういう場所では静かにしなくてはいけないことは、言われなくても分っていた。

それで、これはよっぽど学校に電話して、具体的にどのような状況から「エンジンで動かされているように行動する」と判断されたのか訊こうと思ったのだ。学校とは頻繁に連絡を取って必要な報告をいただいていたつもりだった。「3」がつくからには親も把握しないとまずいのではないかと思った。

しかし、実際には思いとどまることにした。いただいた評価に不服を申し立てているように誤解をされることは避けたかったからだ。こちらはただ確認したいと思っていたとしても、なかなかその意図は伝わらないだろう。

あとは、これは担任以外の先生も評価に関わっているとは言え、長男には見せられないと思った。これを見たら担任と築いてきた信頼関係が壊れるような気がした。しかしこの評価を長男はのちに目にすることになる。

B医師の診断

最終的な診断を出すB医師からは、自閉的特性はなく、ADHDの診断は出ませんと言われた。

ADHDについては、評価が2者で分かれる場合はADHDの診断はつかないそうだ。また、先生のお話では、ADHDのお子さんは見ていて割と分るとのことで、長男についてはADHDは感じないと言われた。

家庭版の評価で忘れ物だけに「3」がついていることに、「そっかそっか、可愛いね」と言い、学校版の評価を見てしまった長男に、「うん、全然気にしなくて大丈夫だよ。」と言い、「先生、学校にお手紙書こうと思うんだけど良いかな?」と長男に訊いてくださっていた。

診断書と言う形で、少し詳しく書こうと思うと言われた。

なお、私の方から、「これが、『まるでエンジンで動かされているように行動する』と関連しているかは分らないが、学校より、夏期合宿で非常に珍しい巨大蜘蛛を見つけた際に、長男がずっとそれを追って動き回っていたらしく、『動き回っている方が本人も落ち着くのでしょうね。』と言われて、もしかしたらこういった行動が他にもあってADHD評価において「3」となったのかもしれない。」という話をした。

さらに、私自身は、そんな珍しい巨大蜘蛛を見たら、観察したくて動き回るのは当たり前だと思うし、それを私はどうしても問題行動のようには思えないということを伝えた。

B医師も、「私もそれは問題だとは思いません。お母さんがそう思っているのであれば、それで良いのだと思います。」とおっしゃった。

因みに長男は夏期合宿で、部屋に侵入した蛾などを、部屋を暗くして懐中電灯で誘き寄せてティッシュで何匹も捕まえたため重宝されたそうだ。最初の数匹は駆除したものの、途中からは捕まえた後に窓から逃がしたそうだ。自然の中での合宿であったため、そこそこの数の虫が侵入してくる状況だったらしい。

そう言えば小さい頃はよく虫の図鑑も見ていた。昆虫博物館のような所にも連れて行っていた。

また合宿中、ハナアブという虫をてなづけて体中を舐めさせていたらしく、ハナアブ使いと呼ばれたそうだ。こんな時は逆に動き回らず、草っ原にじっと横になっていなければならない。こんな平和な子なのである。

ひとしきり話した後、B医師は長男に、「学校がドラ(長男)ちゃんに追いついてないだけだから、気にしなくて良いんだよ。」と言い、さらに、「将来的には、海外に行かれた方が理解も進んでいますし、視野に入れておくと良いと思います。」と言われた。

他にも、ギフティッドを専門に研究等している機関や、自治体や企業が主催しているギフティッドへの支援事業なども改めて調べてくださっていた。

また、MENSAに入会する人もいるようで、そういった選択肢もあると教えて下さった。

(5)につづく