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雑用係のプロを目指す

 子供の頃から、「物知り博士」に憧れていた。


 中でも、ある特定の分野についてなら何でも知っている、そんな学問を「狭く深く」追究した人を尊敬していて、いつしか自分もそのような人間になりたいと夢見ていたものだ。

 

 そのせいか、私は知識に対して貪欲であるようになった。

 


 学ぶのは本当に楽しい。
 新しいことを身に付けた時のワクワク感がたまらなく好きで、時間さえあれば本を読み漁った。
 多動の影響もあり、興味ある分野であれば何にでも手を出した。

 

 そのおかげで、「会話の引き出しが多い」とも褒められるようになった。

 


 が、一つ問題があった。
 色々と挑戦したものの、


ほとんど中途半端なのだ。

 


 私は社会人だ。
 体力も時間も限られている中、無計画にあれこれとチャレンジしてしまった結果、ほとんどじっくり取り組めないまま終わった。

 

 「何でも出来そう」と言われたことがあるが、それはただの見かけ。
 実際は「分からない人よりは少し知っている」程度で、大したスキルを持っている訳ではない。

 

 知識を追い求め続けたつもりが、不覚にも私は理想である「物知り博士」からどんどん遠ざかっていたのだ。

 


 たくさんのことが出来るように見えても、


「手に職」と言える程のものは無く、
結局は全てアマチュアレベル。


 これは私にとって、コンプレックスになった。

 


 私は技術系の会社に勤めているが、専門分野に関する仕事はいつだって自分と無縁だ。
 普段は事務仕事が中心で、 あくまでも雑用係。

 

 一時は自分の価値をも疑い、私は本当に会社にとって必要な人材であるかと疑った程だ。

 

 そんな時、開発部門の方々が日々の雑務に追われていることを知った。
 細々とした業務に時間をとられ、本業である技術開発に専念出来ていないということ。
 そのせいで、製品のリニューアルが追い付かず、競合に追い抜かれつつあり、会社がピンチ陥っているのだ。

 

 私には専門知識がない。なので、開発のお手伝いをすることは出来ない。
 でも、雑務の分担ならーー

 


 データ処理はもちろん、翻訳・通訳、画像編集に動画編集、多岐にわたる様々な資料作成も私の得意分野だ。
 プロ並みの効果は無いかもしれないが、それなりのものはすぐに出来る。

 

 更に、私は瞬発力がある。
 作業速度が速いので、急ぎの案件もちゃちゃっと終わらせられる。

 

 後は熱意と向上心でカバー!

 

 私は、多部署から頼られ、広い分野で仕事を任せられるようになった。

 


 幅広く展開することも、ある意味の「専門」であるかもしれない。
 専門家レベルでなくても、


身に付いてる知識とスキルを
上手に活用出来ることもプロ技だ。

 

 うまくいけば、社内で調和を成し、各部署の働きをスムーズ化する大きな力にもなれる。

 


 いつしか、 私は社内一の「雑用係のプロ」を目指すようになった。
 そして、それを誇りに思っている。

(はてなブログ同時掲載:https://www.gifteddecoboko.com/entry/2019/10/01/080000

(画像素材元:https://pixabay.com/ja/) 

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