教会がある事件に巻き込まれてしまった頃。

　総指導教師先生が突如、礼拝中であれ祈祷会中であれ、聖徒達に一斉に大声で笑うよう指示されるようになった。
　最初は恥ずかしくて微笑むのが精一杯だった。
　が、あまりにも何度も何度も笑わせられたので、徐々に大胆になり、しまいには口を大きく開けて「はっはっは！」とに笑えるようになった。
　ずっと辛い日々が続き、長い間精神的に負担がかかった状態だったが、大声で笑うことによって心が軽くなった気がした。

　私たちの総指導教師先生はユーモアで、時々面白可笑しいことをしては、私達を笑顔にしてくれた。
　今回もまぁ、いつものように先生のちょっとした「弄り」だろうと思っていて、それ程深く考えていなかった。

　そんなある日、母が私にこう聞いた。
「なぜ先生が笑うようにされたか分かる？」
「え、何か理由があったの？」
「それはねーー

今の私達には、

笑える事なんて一つもないからよ」

　これを聞いてぽかんとしている私に、母は更にこう言った。
「こういう事件の時程、

笑って乗り越えなければ、

到底耐えられないからね」

　はっとさせられた。

　総指導教師先生は、私達が苦しみに打ちのめされないよう、勇気づけてくれていたのだ。
　それも「外部的」ではなく、「内部的」で強くなる方法で。

　外部の影響により喜びが生まれたとしても、それは一時的なものであり、且つ環境に左右されやすい。
　気持ちの浮き沈みもそれなりに激しく、情緒不安定になってしまう。

　それに比べ、内部から湧き出る喜びには揺らぎが無い。

どんな状況においても

自分自身がエネルギー源となれるからだ。

　そして、

一番簡単にエネルギーを生み出す方法が

「笑顔」だということだ。

　笑顔は伝染して周りを明るくするというが、それ以前に自分を心を照らす役割もある。

　自ら元気になれば、力が出る。
　自分の問題の解決はもちろん、心に余裕も出来て、他人にも手を差し伸べることが出来る。
　そして助けられた人にも笑顔が伝わり、問題が解決し、その人が更に別の人を助け……

　なんと大きなパワーなのだろう。

　笑うだけで、互いに助け合える。
　口角を少し上げるだけで、みんなが強くなれる！

　どんどん笑って、自らがエネルギー源となろう！

（はてなブログ同時掲載：https://www.gifteddecoboko.com/entry/2019/12/03/080000）

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