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「積み上げる日々④‐発達障害当事者を生きる‐」note 公開版 その4

※2021年11月21日のCOMITIA138で発売された同人誌の、noteでの無料公開版です。                              同人誌としてイベント等で販売される物より挿絵や内容が少なくなっています。

CAUTION!
☆この本は個人の体験談です。医療情報や診断基準を提供するものではありません。
「発達障害」の診断や治療には、必ず専門の医療機関の受診を行ってください。
☆「発達障害」の特性(症状)には個人差があります。
作者の特性は全ての当事者にあてはまるものではありません。


特性を具体的に説明するために、作者が実際にどんな風にレポートを書いていたか(書こうとしていたか)再現して書いてみたいと思う。

再現!レポートが書けないエールさん


冬休み、選択科目「日本文化史Ⅰ」の提出課題として、3000字程度の
レポートを書くとする。

1日目
テーマを決めて、必要な資料(テーマに関連した参考文献)を図書館でコピーしようとする。
しかし、授業で配られたレジュメをまとめたファイルを家に忘れてしまった。一回休み。


2日目
ファイルを持ってきたので、図書館に向かう。しかし、「代表的な参考文献」について書いてあるレジュメだけ見つからない。したがって、どこから手を付けていいか分からない。一回休み


3日目
散らかっている部屋を探して、レジュメを見つけることに成功。
電車を乗り間違えて1時間遅れる。
図書館で資料をコピーする。
印刷サイズを間違えるなどミスプリントが多く、途中で小銭がなくなってしまう。
図書館を出て売店でお金を崩す。
コピーだけで閉館時間が来てしまった。休暇中は食堂が開いていないので、駅前のコーヒーショップで資料を読もうとする。
コーヒーショップに入るが、混んでいて騒がしいので全く集中できない。
一回休み

4日目
 体調が悪く1日休み


5日目
大学の図書館に行って、先日コピーした資料を読む。正直、理解しているとはいえない。
そのまま情報室(PCが使える部屋)に行ってレポートを書こうとし始める。年末年始に予定が多いので、できるだけ一日で書き上げようとするが、何を書いていいか分からない。
仕方なく「はじめに」を書き始める。「なぜこのテーマを選んだのか」を書くが、内容がまとまらないまま書いているため、授業の感想のような内容になってしまう。それである程度字数が埋まったところで、レポートが進んだと錯覚して作業を中断してしまう。


6日目
翌日もう一度見てみると、肝心な内容がほとんど書けていなくて焦る。
 「本文」を書こうとする。資料を見ながら文章を書こうとするが、複数の資料を読んでも「要約」や「比較」が全くできず、ただの切り貼りした羅列になってしまう。
 「おわりに」で自分の考えも書いてみようとするが、元々それがないまま始めている(あるいは考えても分からない)ので、結果的に根拠のない「感想」のようなものを、数行書いただけになってしまう。
 とりあえず字数が規定に達したので、完成とする。

一週間ほど飛んで、冬休み明け初日
提出に向けてレポートの内容を確認するが、内容が「レポート」の体を
していない上、字数を間に合わせるために不自然な改行をしたところなどもあり、
愕然とする。

一つのレポートでこの状態なので、実際はさらにひどかったと思う。

「積み上げる日々⑤」に続く


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