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今週の映画とわたし 2020/2/24~3/1

正直どうでもいいと思いますけど、コロナの影響で会社来ないでいいよって言われるから「喜んで〜〜」ってなって平日の昼間仕事するフリして映画館行ってる。今週も4本観てる。でもコロナの影響で担当している1,000人規模イベントが吹っ飛んだりしていて、暇になるかと思いきや延期とか配信とか色々しなきゃいけなくて、意外と働いている。そんな中、ちゃっかり平日の昼間に映画を観ている。

1.スキャンダル

ハーヴェイ・ワインスタインが有罪判決を受けた日に観た。セクシャル・ハラスメント、セクシャル・アビュースを受けたことのある全ての女性にとって、重要な一歩、一つの勝利と言える日に。そしてこの映画も、ある女たちの勝利の映画だった。

セクシャル・ハラスメントや、性差別の話を持ち出すときに、「『男』全般が嫌いなんだろ」っていう男性の反応を目にすることが、結構な頻度である。または、まともで論理的で、かつセクハラにきちんとNOを言う男性が「セクハラは女性だけの問題ではなくて、男性も被害者になりうるもの。『男』を十把一絡げに諸悪の根源としてしまったら問題の本質が見えなくなる」と意見を表明しているのも見かける。

一理あると思う。「自分にセクハラをしたその男」を「世界中の男」と一緒にするのは、確かに論理飛躍だと思う。

だから、わたしはいつも「今、わたしは『男』を十把一絡げにして雑にカテゴライズしたか?」と自問する。「わたしが出会ったうち多くの男性は・・」などと言い換えたりする。それに、セクハラの被害者が女性だけであるわけではない、自分がやって欲しくないことは相手のジェンダーが何であれやってはいけない、と決意を新たに、男性の後輩に、気安く太った?痩せた?と言う話題を持ち出すのを一切やめた。

公平であるべきだと思うから。

でも、やっぱり、少なくない数の女性が、この映画の男たちを見て、身の回りの誰かを思い出して、ゾッとして、項垂れて、無力感を味わって、怒りを再燃させたりするのだ。こういう経験を通して男の人全般が、生理的に・精神的に怖くなってしまう女性も多数いるのだ。問題の多さと大きさの点で、女性が被害者であるケースが声高に議論されることそのものには、反論の余地はないと思うのだ。

この映画で印象に残ったシーンは二つ。

シャーリーズ・セロン演じるメーガン・ケリーが、会長が「今でも」「他の女性たちにも」セクハラを続けている、という確信を持つ時。

「他の女にもやっているのか」という瞬間の感情の雪崩。衝撃、苦悩、後悔、躊躇、怯え、罪悪感。

そして、葛藤の末にやってくる決意。

今まで黙っていたけれど、闘うし、もうこれ以上被害者を出さない。シャーリーズ・セロンのあの演技には、共感できたし、心強かった。互いに無関心な女の間に僅かでもシスターフッドが生まれる瞬間を描いていた。(まあでも、みんなFOXのキャスターなんだよな。とは思った。””付で『フェミニスト』って言っていた人たちだ)

わたしにも経験がある。あるとき、わたしよりずっと若い、将来有望な若い女性社員が、「あんな不愉快な出来事に耐えなければならなかったのか」と思って、怒りで息が止まったことがある。その瞬間がわたしの決意の瞬間だった。「もう許さない」。後輩たちにそんなことを強いるのは絶対に許さない。

そんな個人的実感からも、わたしはシスターフッドを大切なものだと信じている。

もう一つ印象に残ったシーンは、マーゴット・ロビーが性的行為を強いられた後、友人にそれを告白して号泣するシーン。

「わたしすごく汚い」

って言うんだ。その・・・わかるだろうか。触られたところを石鹸で必死に擦って洗おうとする感覚。自分の身体を消費された、と怒りで身体が燃え上がる感覚。悲しさ、怒り、無力感、不潔、と言う感覚。

そんな思いをする女性がまだ世界からいなくならないことに思い至ってわたしは、普通に、改めてショックを受けて、悲しかった。そして一方でマーゴットの役が抱えた矛盾と、彼女の無垢に見える涙に・・まあこれはなあ。リベラルが試されているよな、ある意味。

できる限り公平で公正でありたいと思っている。『男』全部が敵だとは思っていないし、『女』全部が純粋無垢な被害者だとも思っていない。

でも、傷つく女がたくさんいるのは確かで、私たちは、have each other's back しなければならない。

仮想敵『男全般』を総攻撃することと、私たちが連帯することは違う。そこをわかって欲しいと思う。こう言う映画を「男ぎらい」、まさにFOXニュースのように「フェミニスト」と揶揄する人たちに、そう言いたい。

しかしな。保守的家族観、キリスト教的家族観っていうのは本当に複雑な代物。リベラルと保守が簡単に色分けできないと思わされる。

それと。

わたしはいつもFilmarksにまずレビューをメモるのだが、複数の女性が「わたしは同じ女だけどセクハラセクハラうるさいよって思うタイプ。だけどこれは酷い」「わたしはセクハラの話には結構冷たいんだけどこれは酷い」と書いていた。ちょっと悲しかった。海外の論調とは明確に差がある。日本じゃなくても、アンチ・フェミニズムの人はいるけど、日本の女性には特にこういう、無知と無理解がセットになったような人が多いと感じる。まだ女性同士の間に分断があるのだろうし、フェミニズムが社会的に正しく理解されていないのもあると思う。日本は明らかに管理職登用数が少ないから、海外よりさらに、性差の問題についての声が上がりにくく、聞こえづらいということもあるだろう。

まだまだ、日本において、シスターフッドが直面する壁は散在していてそれぞれが巨大だ。でも、必要な時、わたしは胸を張って「連帯」を示して行きたい。と思った。

2.ダンサー そして私たちは踊った

ベルギーを旅行中に知り合った旅行者の女の子がジョージアの子だった。ジョージアンダンスの物語、ジョージア語の映画、というところに興味を惹かれて。

映画のポスターに書いてある「ナチュラルで官能的」という言葉そのままの映画だった。主人公のメラブの鍛錬された肉体から散る、透明な汗のような映画。

ナチュラルで、力強くて、闘争的なダンス。地域的にはペルシア・スラブ・モンゴル・トルコの影響を強く受けているから、騎馬民族や遊牧民族っぽい動きのダンスだなと思った。その意味で、闘争的で男性的。情熱的でカッコ良かった。

ジョージアのソウルフード(と上述の女の子が言っていた)ギョーザが何回も出てきて楽しかった。食べてみたいあのギョーザ。物価も安くて暮らしやすい国だよ、と彼女が言っていたので、東ヨーロッパまとめて、行ってみたい。

3.アタック・オブ・キラートマト

トマトが全米を襲うっていうまじで破壊的にくだらないカルト映画。

たまたま、カルト映画・B級・Z級映画のパッケージ配給をしていた人と知り合いになって、どうでもいいB級映画の話で盛り上がる中で薦められた(いや薦められたわけではないのかwww)作品。

ただただ阿保。爆笑しながら見た。癒された。作るの楽しかったんだろうなww

トマトに飽き足らず2016年にドーナツを作りおった。やりおる。これも後で観よう。くだらなさと楽しさが倍増している感じがする。楽しみ。


あと、やっぱり前段の『スキャンダル』の話を受けてお薦めするキラーシリーズはこちら。

くらえ〜〜〜〜〜〜!!!!『キラーコンドーム』!!!!!!!

男の性器を食いちぎるコンドームってまじで最強の発想じゃない?わたし時々思ってるの。「お前らキラーコンドームばらまくぞゴルァ」って。



パッケージも配信も見あたらないなと思っていたらしれっとYoutubeで観られるじゃないか!!!!!MeToo以後の世界でこの映画がどう見えるのか・・・・物議を醸すだろう・・・来週観よう〜〜〜〜ウキウキ

4.ヘレディタリー 継承

アリ・アスターの『ミッドサマー』を観に行くので予習として。

ホラーまじで無理、と思い続けてきたけど『ミッドサマー』がヒットしてるから(マーケティングがうまかったんだろうなあ、あんなカルト映画)観に行く決断をしたのです。一緒に行ってくれる人も見つけたのです。

その前にやっぱりヘレディタリーは各自予習しておかないといけないだろうということで、結局家で一人でホラーを観る羽目になったのです。

結果、不気味で気持ち悪かったけどそんなに怖くはなくて。

カルトと、毒親の話だった。

物語の運びがめっちゃ巧くて、前半1時間半、普通の映画好きの目で見てそんなに怖いシーンはないわけなんだけど、目が離せない。「何かめちゃくちゃ恐ろしいことが起きる・・・起きる・・起きる・・・怖い〜〜」って気持ちで一瞬も集中力が切れない。

配信天国の現代において、家で一度も一時停止しないで映画を観終わるってすごいこと。それだけの力のある映画だった。

カットと色合いも怖くて綺麗で不気味で、良かった。怖いくらい綺麗、みたいな感覚。実際怖かった。風景が。

そんなわけでミッドサマーも多分、毒親とか毒家族の話何だな。

楽しみ!!

5.今週のわたし

まあ特段言うことはないんですけど、ちょっと不謹慎なこと言います。仕事ができてしまうがゆえ退屈で仕方ない、とか感じの悪い文句言ってましたけど、コロナパニックによって、緊急対応を強いられており、それが結構楽しいということを発見した。わたし、緊急事態と逆境が得意だし好きなんだよな。多分。解を見出すのが難しい問題に取り組むのはいつでも楽しい。前例のない問題に取り組むのはいつでも楽しい。自分の力量で何かを変えていい環境に置かれるのはいつでも楽しい。やっぱりわたしが概ね退屈しているのはわたしのせいじゃなくて、仕事のせいだな〜。4月から面白い仕事できるかなー。

あとちょっと私生活でいい兆しがあった。直感的に舞い上がってそのことばかり考えているのを何とか瞑想によって落ち着かせているが、久しぶりにいい予感がする。落ち着こう。今年、お前、前厄や。何が起きるか分からへんぞ。

さーはよ寝よ。金曜日はミッドサマー。

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