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今週の映画とわたし 2020/2/17~23

正直どうでもいいと思いますけど、コロナウイルスにも負けず映画館に行っております。でも映画館のトイレで、指先をペッペっと水で濡らしてペッペっと水を払うだけで、あとは化粧を入念に直して出ていく女の人をたくさん見て絶望しかけたりしています。手はもうちょっとちゃんと洗おう。顔きれいにする前に。じゃないとわたしが、トイレの外で待っている彼氏に「あーーー!!この人ーーー!!この女の人さっき全然手洗ってないよ。化粧ばっかり直してたけど!!絶対部屋汚いと思う!!!」って告げ口するよ。あー、わたしって本当に性格の悪い女。ということで今週も平凡なわたしの日常と非凡な映画たちについてぼやきます。

1.The Peanuts Butter Falcon

ああ、こういう癒しを必要としていたー。合間縫ってなんとか観に来て良かった、と肩の力が抜ける思いだった。

高齢者向けの介護施設に入れられた孤児でダウン症のザックが、じーちゃんばーちゃんたちの応援と協力を得て施設を逃げ出し、かつて一斉を風靡した憧れのプロレスラーに弟子入りしようと旅に出る物語。

奇妙でキュートなタイトルだなと思ったら、ダウン症の主人公・ザックのリング・ネームだった。ファルコン=隼、はリングネームっぽくてかっこいいけど、そこにピーナッツバター、って間抜けで可愛い枕詞が着いちゃうのが、ザックとその旅のバディ・タイラーのイノセンスの現れ。

ザックの冒険物語でありながら、偶然出会った、青年タイラーの癒しと赦しの物語でもあった。タイラーを演じたシャイア・ラブーフ、本当に実力のある俳優だとしみじみ思った。傷ついた野生動物のような、ピュアだけど攻撃的だったタイラーの瞳が、ザックといることでだんだん澄んでいき、また希望が宿っていく様子が、彼の微妙な演技で全て表現されていて、心打たれた。

ザックの役は、実際にダウン症である俳優・ザックが演じているわけだけれど、そのストレートで力強い演技に強く惹き込まれた。周りの人間がみんなザックを応援したくなっちゃう気持ちがよくわかる、ザックのキュートなBadassぶり。ルールNo.1:PARTY。タイラーがあっという間にザックに魅了されていく様子が見ていて楽しかった。

奇妙な旅のトリオの3人目を演じるのは、フィフティ・シェイズ・オブ・グレイのダコタ・ジョンソン。彼女は脱がなくたって、ピュアで善良で力強い女性を十分演じられる。彼女がいいバランスになっていた。

そして、マーク・トウェインの物語のような、静かで雄大なアメリカの田舎の風景が美しかった。川、湿地、背の高い葦、ボード、筏、小さな船着場、鄙びた小屋。そんな古き良き南西部をゆく、奇妙であたたかな絆を持つトリオ。マイフレンド・フォーエバーなんかもそうだけど、道なき道をゆく小さな冒険っていうのは、マーク・トウェイン以来、アメリカ人の心の原風景に刻み込まれているんだろうなあ。わたしたちにとっての「となりのトトロ」的な風景。アメリカ人でなくてもノスタルジーを感じるような美しいカットに溢れていた。

しみじみ「あーいい映画だなあ」って思う映画だった。ビタミン補給だな。シャイア・ラブーフほんとにいい俳優だわ。

2.1917

とんでもない没入感。戦闘ゲームをどでかいIMAXスクリーンでやってる感じですよ。ワンカット”風”映像が話題になっていますが、登場人物の目線に憑依するかのようなこの巧みにプランニングされたカメラワークが、酔う人が出てもおかしくないくらいの没入感を実現している。

手前の死体、鼠、ワイヤーにフォーカスしたかと思えば、遠景の桜、緑、木々、を見渡し、突然視界を凌駕する炎、砲撃、かと思えば神の視点のような大河の俯瞰ショット。

これ、どんだけ膨大で複雑な撮影プランなん・・・・!!

リハだって何回もやんないと、こんなに完璧な視点では撮れないだろうよ・・

と思った。それはまじで称賛すべき。これもう、大企業で日々細かいオペレーションやってる人間としては、この映画の撮影のPMOに敬意しかない。素晴らしいチームワーク。

だし、要所要所で登場する大好き英国俳優たちの素晴らしく端的で印象的な登場にもホクホク。コリン・ファース、バッチ様、マーク・ストロングは「裏切りのサーカス」同窓会組、演技しているのを観るだけで幸せになれるレベルに好きだし、そこへアンドリュー・スコット、リチャード・マッデン。みんなあんなに短いシーンでこんなに印象を残すって、元々有名な俳優を贅沢使いしているからでもあるけど、だとしてもやっぱり素敵。好き。もちろん主演の若い2人、ジョージ・マッケイも、ディーン・チャールズ・チャップマンもとても良かった。2人とも若い時の作品から知っているから、出世したなあ、大人になったなあ・・と感慨ひとしお。

しかしだな。

周りのプチブルたちが「俺的にはパラサイトより1917の方が全然感動した・・」とか言っているのでわたしはイラッとしている。そうなんだよなあ、日本人的な「アカデミー賞」観からすると『1917』の方がよっぽどアカデミー賞映画っぽいわけ。結局、王道ヒューマニズムが好きなのよ。ぶっちゃけほんとこいつらつまんねーなって思っちゃう。あのパラサイトの卓越したクレイジーさに興奮しなくてただぽかんとしてしまう、『1917』の退屈でご都合主義的なストーリーテリングに感動してしまう、安易な感受性。まあそういう人ばかりです。わたしの周りは。ブツブツ・・・

まあそれって善良ってことなのかも。善良さや良識って時に退屈だけど、「ただ善良なだけ」の市民が、世界にとってはかけがえの無い宝だよね。

1917は映像技術的に本当に凄い映画ではありますから、別に「感動した」という感想を否定するものでは全くありませんが。

メイキングが面白すぎ!!!スッゲーよなやっぱ。撮影にかける労力。まじ唖然。

しかしまー”善良な大衆”には『パラサイト』のマッドネス・クレイジネスはやっぱりわからんのだろうな。という、日本の観客の凡庸さにくさくさした気分になる、こちら知ったかぶりのシネフィル気取りなのであった。

3.今週のわたし

今週はまあまあ気分良く過ごしたっぽい。それなりに仕事もちゃんとしたし、一人の時間も十分に味わってChillしたし、 Headspaceも毎日続けているし、暴食もせず腸に良さそうなものばかり食べていたし。

やっぱり腸脳相関って真実な感じするよね。ちょっと前から時々”腸”の本読んでるけど、ストレス→甘いもの暴食→ストレス、って本当に鶏卵で、悪循環なサイクル。わたし的な理解では、甘いもの暴食する→腸がそれを受け取る→腸から脳に信号が伝わる→脳は一時的に快楽を得るからまた食べたくなる→一方で漸次的に腸内環境が悪化してストレスとなって脳に伝わる→それを解消したくて脳は甘いもの食べたくなる・・・というようなやりとりが腸と脳の間で行われる。腸の機嫌が悪くなることすると、腸脳相関があるから確実に感情的なストレスにつながるのだが、脳は身体を裏切るような一時的な快楽を求める器官なので、腸の健康に悪いことを継続してしまう。

わたし、ヨガとかピラティスとかしてブッダボウル作って会社持ってったりしているのであからさまに意識高い系なんですけど、ひとりになると、一晩で蒸しパン、アイス一箱(パルムとかの6本入りのやつとか)、成城石井の2個入りのケーキとか食ったりする時期があって。ストレス→無理食い→毒くらわば皿まで→今夜思い切り食べて明日からやめよう→無理食い止まらない、みたいなサイクルに入っちゃうんですよ。摂食障害ではないのは確かで、吐かないし普通に太るから。でもなんか身体腐りそう・・と思いながら2週間くらいやめられなくて。で、突然、健康関連の本を何冊か買って、パタっと止める。ってことが何回かある。

今回はこの本だった。

この”腸脳相関”のトピックは前々から興味あって何冊も読んで、食物繊維とるように努めたりするのに、時々ストレスに負けて上記のような悪循環に陥ることがある。ちなみに前に読んだのはこれとか。

やっぱり、世界を変えるより、自分の世界認識を変える方が、ドラスティックに世界変わるな・・って最近思っていて。

なので脳味噌と腸を、ちゃんと意図的にコントロールできるようになりたいと思っている。コントロールというか、良き友人として、寄り添って生きていく。自分の腸と脳をよく知り、長期的に見て彼らに良い行いをする。それが、脳味噌が作り出す世界認識をより良いものに変えて、幸福度が上がることにつながる。

多分、わたしたちはすでにものすごく幸せなんだけど、それを幸せだと感じる力を著しく損なっているんですよ。

特に最近健康を害した母を見ていてそう思うようになって、それでまた今、マインドフルネス、腸内細菌、腸脳相関のブームが来ている。

脳が作り出す世界認識のパターンにはまり込まないように生きたい。

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