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はじめてのクー・フーリン

私が長年ずっと大好きな英雄にケルトの英雄クー・フーリンがいます。

 英雄といえば、有名なのは古代ギリシャ神話に出てくるヘラクレスやアキレウス、オデュッセウスあたりでしょう。
 アキレウスやオデュッセウス、ヘラクレスについては叙事詩に親しむ中でじわじわ好きにはなったものの、私の心を射止めるまではいきませんでした。

 私の心を真っ先に射止めたのがケルトの英雄のクー・フーリン。

 なにが良かったのかは、今となってははっきりとはわかりません。

 ただ後付けで考えるとすると。
 幼いときから圧倒的な覚悟を持って、人生に挑み、覚悟を全うしたから。
 でしょう。

 彼は成人するにはまだ少し早い時期。
「今日成人を迎えるものは後世に伝えられる英雄になる。しかし、その代わりに短命になる」 
という予言を聞きます。

 聞くや否や走り出して、王に申し出て、成人させてもらうのです。

 なんとせっかちな英雄でしょう。
 しかし、なんと見事な英雄でしょう。

 自分がなりたい道を既に見据え、予言というチャンスが舞い込んできたら迷わず掴み取る。
 その潔さと行動力。
 まだまだ人生に迷いっぱなしだった私にとってはきらめくような光でした。
 ちなみにそのあたりから、私の行動力はぐっと上がっています。

 彼はそのまま人生を突き進み、途中、最大の難関ともいえることがおきます。
 心から愛している兄弟子と戦うはめに陥ります。
 
 あまりにも辛かったのか、実力では自分の方が勝っているにも関わらず、兄弟子に負けかけます(負ける=死)。

 しかし、それすらも最初から予見していたであろうクー・フーリンは、自分の腹心である御者に、負けかけたときに自分を奮起させるように手を打っておきます。

 結果、奮起したクー・フーリンは勝利をもぎとったものの、ひどく落ち込んで、ひどく投げやりにはなるのですが、それでもその後は戦列に復帰し。

 その後も戦い続けますが、あるとき、奸計に陥って、死を迎えます。
 戦士として身を横たえることなく、立ったまま立派に死にたかったクー・フーリンは石に自分を縛り付け
そのまま息絶えます。

 そして、その死を悼むのか、讃えるのか、愛を訴えるのか、クー・フーリンの肩に、戦いの女神モリガンが鴉の姿でとまっているのでした……。

 という終わり方を迎えます。

 なんとも荒っぽいお話で、戦記ものになれてない方だとつらいのかもしれませんが。
 私はこのクー・フーリンが好きでたまらないのです。

 覚悟を決める心と、それを完遂する心。
 どちらもが物凄く強い。

 また見目麗しく、味方の女性たちは未婚既婚を問わず夢中になるため、男たちに「そうそうにクー・フーリンを結婚させねば!」と焦らせるほどであったと言われています。
 ちなみに戦中は、敵方の女性たちですら男たちに肩車をさせてクー・フーリンの姿を見に来ています。

 そして他にもたくさんたくさん魅力にあふれているのですが、今日はこのあたりで。

 明日26日17時から、ツイキャスラジオでラジオ配信にて、ケルトの英雄クー・フーリンの一生のダイジェストのお話をいたします。加えておすすめの書籍いくつかをご紹介したり、よもやま話もいたします予定です。

 時間になりましたらTwitterアカウント 妙遊 @ginyumu にラジオ配信が聴けるリンクを掲示しますので、気になる方は是非是非お聴きくださいませ。

浮き沈みはげしき吟遊詩人稼業を続けるのは至難の業。今生きてるだけでもこれ奇跡のようなもの。どうか応援の投げ銭をくださいませ。ささ、どうぞ(帽子をさし出す)