見出し画像

日本の商品が“勝手に”売れる時代はとうの昔に終わった

世界の工場“中国”が本気でモノゴトを作る時代に日本企業は何を見る

日本の企業、更には“日本人”は勘違いしていることがある。日本は既に先進国から脱落しようとしており、衰退国家としての道を進もうとしている。
私自身が中国で6年生活を行い、中国贔屓があることは否定しない。ただ、日本人は“日本”というブランドを正当化して、データを客観的に見ることができていないと感じている。
まず、日々の暮らしの中から感じて欲しい。例えば、日々使っている携帯電話のアプリケーションだ。自身の携帯にダウンロードされているアプリケーションの開発国を見てほしい。LINEは韓国、Facebook/Instagram/YouTube/Twitter/Amazon/Yahoo!/Uber Eatsはアメリカとなっている。最近流行りのTikTok/SHEINは中国となる。ビジネスで利用するアプリケーションもGoogleやMicrosoft、Adobeなどが主流になっているのではないか。
もちろん、日本企業のアプリケーションもランクインしているが、楽天市場/PayPayのみに留まっており、グローバル視点で見た際に海外で成功するとは言い難い。

中国は国策で品質強化を推進

2023年2月6日、中国共産党中央委員会と国務院は「品質強国建設綱要」を発表した。その中で、2025年および2035年までの主要な発展目標と「品質強国」の建設に向けた取り組みを示した。綱要では、品質強国の建設について「中国経済を規模の大きい経済から質の高い経済に転換させる重要な措置」とし、下記主要目標を示している。

  1. 品質に関する多様な救済メカニズムを改善し、製品・プロジェクト・サービス品質に関する保険加入を奨励し、品質保証金制度を整備する。

  2. 重点産業・製品の資源効率ベンチマークのアップグレードに向けて行動し、低炭素・ゼロ炭素・マイナス炭素に係る技術の研究開発を加速し、グリーン製品の消費推進制度を構築する。

  3. 産業チェーンの全面的な品質管理を強化し、伝統的な産業の品質向上と新興産業の急速な発展を推進する。

  4. 農産品や食品、医薬品の品質安全レベルを向上させる。

  5. 生産サービスの専門性を高めるほか、スマホアプリによる配車サービス、ネットショッピングなど、生活サービスの品質を向上させる。

  6. 国内外で有名なブランドを創出するため、ブランドの育成・管理体系の構築を促す。偽ブランド品や商標権侵害などの違法行為を厳しく取り締まり、ブランド企業の発展に適した環境整備を支援する。

中国の“モノ”や“コト(IT)”は日々進化している。いまだに中国のものは“安かろう、悪かろう”だと考えている“日本人”が多いと考えている。「使ったこともないのに」とは思わない。自身の周囲を見回してもらいたい。衣類や電子機器、車、食品に至るまで、“made in CHINA”が多いことに薄々気付いているのではないか。
国家として「品質強国建設綱要」のような政策を打ち出しているような中国に、今後、日本の製品は打ち勝つことができるとは到底思えない。

日本よりも広告費が高い中国市場の現実

ここで1つの疑問を呈したい。日本の製造業において海外比率が高くなることで、株価が上昇し将来性が評価される時代となっている。一方で、日本の企業では、少人数の“海外事業部”という体制を保持することで、何となく海外を重視しているように見せかけている節があると考える。それは予算の面においても同様だ。
中国で物を販売したいが、予算は日本の数十分の一しかないという相談を日々頂戴している。中国の人口は日本の10倍以上になる。芸能人をアサインする費用も、少なく見積もっても日本の3倍程度の予算は必要となる。リーチできる人数からしても、それは真っ当な金額だと考えられるし、実際に中国の企業はそれだけの費用を投資している。

今、日本企業がやるべきこと

今、アフターコロナの潮流として“インバウンド”というキーワードが再燃している。日本も多大な国家予算を投入してインバウンド需要を取り込もうとしている。
その一方で、インバウンドは一時的なものであり、“日本ブランド”だから売れるというのは、一昔前の夢物語だと考える必要がある。
今、“インバウンド”というチャンスが目の前に迫っている。わざわざ海外に積極的に進出しなくても、“日本”という展示会で自社ブランドを海外の人々にアピールできるチャンスが広がっているということだ。
このチャンスをいかにしてものにして海外進出への足掛かりとするか、日本企業が考えるべき時期がきているのではないか。

次回は、中国で本当に売れている日本の商品についてデータを交えて記事を掲載する予定だ。