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#98 SCフライブルクというクラブ。ブンデスリーガ観戦記。

こんばんは。
今日もドイツ生活の日記を!!

・ブンデスリーガ観戦記。ホーム最終戦!
5/19の金曜日のナイトゲーム。フライブルクでは珍しい。
この日はホーム最終戦。相手はヴォルフスブルク。
今季、フライブルクで行われる最後の公式戦だった。
どうしても行きたかったので、Facebookやらを使いギリギリまでチケットを探し続け、なんとか獲得。

場所はなんとホーム側のゴール裏。
実はゴール裏での観戦は初めてだった。
いつもは反対側にいて、相変わらずゴール裏はすげぇなぁと見ていた。その中に入る。

声援は凄まじい。みんなで大声で応援し続ける。
そして後半0-0。なかなか点が入らない。
60分頃、僕の横で一緒に見ていたおっちゃんが、「ペーターゼン!ペーターゼン!」と叫び出す。
それは横のおっちゃんだけではない。
スタジアムの多くのファン達からペーターゼンコールが始まる。

ニルス・ペーターゼン。
ブンデスリーガ好きでなければ多分知らないだろう。
僕も彼を知ったのはここ最近だ。
SCフライブルクには2015年から所属しているレジェンド選手。
今シーズン限りで引退を発表していた。

ここ最近見出した僕でも彼の特別さはなんとなくわかっていた。それはドイツに来る前にテレビで見ていた時からなんとなく感じていた。
ジョーカー的扱いで途中出場。そして大事な場面で得点を決めるアタッカーだった。

スタメン発表でも「ペーターゼン!フッスバルゴット!」とペーターゼンのみにサッカーの神の名を叫ぶ。

僕も公開練習の時にサインを貰いにいった。
SCフライブルクの選手らはみんな良い対応をしてくれたが、その中でも飛び抜けて丁寧で良い対応をしてくれたのはペーターゼンだった。
1人1人丁寧に対応しすぎて、後ろの選手に追いつかれていた。笑



そんな選手のホーム最後の試合。
60分頃からペーターゼンコールが始まるのは必然だった。
それに応えるかのようにシュトライヒ監督は堂安律に変えてニルス・ペーターゼンをピッチに送り込む。

一緒に投入されたキャプテン、クリスティアン・ギュンターのミドルシュートで投入直後に先制点を決める。
そして、さすがフッスバルゴット。
その後すぐ、追加点を決める。
それはブンデスリーガでの今季初得点だった。

喜びを爆発させるファン達。
横のおっちゃんも大騒ぎ。
僕の首を絞める勢いで肩を組み、一緒に大喜びをした。

そのまま試合は2-0で終了。
夢のチャンピオンズリーグへの可能性が残る結果となった。

試合後、恒例行事となっているらしい、選手らが、感謝のメッセージが入った弾幕と一緒にコートを一周。
そして最後にはホーム側ゴール裏で、いつものようにファン達と交流する。

他のクラブは知らないが、このSCフライブルクの試合後のファンとの交流は特別長くて良いものになっていると感じる。

この日は僕が見た中で最も長い時間共に勝利を喜んだ。
そしてペーターゼンを観客席に呼び込み、彼にマイクを渡して話してもらい、チャントのコールをとってもらい、最後のホームスタジアムで共に声を上げた。
その時、ペーターゼンにはビールが渡された、一緒に飲んでいた。
それが終わると、選手全員を観客席に呼び込み、グラウンドには監督とかコーチ、スタッフだけが取り残されて、みんな観客席にいる状態で手を叩いた。
グラウンドのシュトライヒ監督がいいぞ!と笑顔で盛り上げ、最高の雰囲気だった。


・これがSCフライブルクというチーム。
正直僕はこのクラブが好きになってかなり日が浅い。2-3年だろう。
元々はバイエルンミュンヘンが好きになって、ブンデスリーガを見始めた。

そこで吉之伴さんと知り合い、フライブルクのことを少し知った。
まず監督が10年以上やってるってことで興味をそそられた。
2シーズン前はバイエルンを中心に見つつ、SCフライブルクも少しみる。そんな感じだった。
いつの間にか、昨シーズンはほぼ全試合見るようになっていた。

そして昨シーズン最後の試合。DFBポカール決勝。結果は残念ながら惜しくもPK負けだった。
その試合で完全に心を奪われ、さらにその後のサポーター達の行動に感動した。

DFBポカール決勝の会場はベルリン。
フライブルクからベルリンはかなり遠い。
しかしスタジアムにはたくさんのフライブルクサポーターが押し寄せ、負けた選手らを誰一人咎めることはなく、全員が後押しをする行動をみせた。
「ああ、いいクラブなんだな。」
とテレビ越しで思わされた。

そして今シーズンはフライブルクの人達と一緒に応援することができた。ホーム戦は約10戦以上もスタジアムに行くことができ、アウェイ戦は行きつけのバーで一緒に応援した。
ドイツから帰国すると、こんなにも多くのSCフライブルクファンに囲まれて応援することが出来なくなることがすごく寂しい。

因みに堂安律もフライブルクの人達からものすごく好意的に見られている。
それは彼のプレイを見ていればわかる。
得点、アシストは5G4A。しかし数字以上に彼の活躍具合がわかる。
まずはその単騎で勝負できる突破力。
SCフライブルクの選手の中で、単騎で勝負できるのは今んとこ彼しかいない。これはチームにとって武器になる。
そして献身的なプレイだ。攻撃だけでなく、守備面での活躍も凄まじい。加入当初は守備が課題と言われていたが、彼はそれを武器に変えてしまった。
印象に残ったのが、10/19のDFBポカールベスト32。ザンクトパウリとの試合。
先制点を許したSCフライブルクは後半ロスタイムになんと1-1に追いつき。延長戦残り1分で得点し、ギリギリの勝利を収めた。
得点はなかったが、この日の堂安律の献身的な働きはすごく印象に残った。
同居人のフライブルクファンも「Doanは最高だったよ!」と大褒めしていた。
延長まであった試合をフル出場で最後までチームのために走り続ける彼の姿はファン達はしっかり見ていた。
この辺りから、ファン達の心を掴み、「堂安は良い選手だね!」と話されることが多くなった気がする。

話を戻す。
ここ最近欧州サッカー界では、ちょいと耳が痛くなる話が聞こえてくることが多い。
後はお金の話が多い、、、
それもサッカーの発展に貢献してくれているものだが、お金で勝ち上がるのは個人的にはあまり熱狂はできない。勉強になるサッカーはしてくれてるからみるけど。笑

そんな中、SCフライブルクは残念ながら大きな財力を持つスポンサーはいない。フライブルクは小さな田舎街で期待もできない。
だから、考える。工夫する。
育成に力を入れ、選手、監督、コーチも自前で育てる。
そして、選手も監督も、コーチも、クラブに関わるすべての人らに最大限のリスペクトをしていることが伝わってくる。

日本人の僕がこのクラブをなぜ好きになっているのだろうか?
欧州から遠く離れた日本からの欧州サッカーファンは大体がビッククラブだ。
それは自分もバイエルンが好きなので理解できる。
ドイツならバイエルンやドルトムント、今世界一アツいと言われてるプレミアリーグ。
それらは夢と希望に満ち溢れている。
たしかにミュンヘンのアリアンツアレーナは夢の舞台だった。

しかし僕は比較的小さなクラブ、SCフライブルクが好きになる。
実はこれまで主要タイトルをとったことがない。昨シーズンのDFBポカールで初タイトルとなるところだったが惜しくも獲得出来なかった。

だが、ここにいる人たちはただ純粋にサッカーを愛していることが伝わる。
タイトルに興味がないわけじゃない。
でもそれよりも大切なものがあると感じさせられるのがSCフライブルクだった。

自分に重ね合わせてみる。
地元の対してサッカーが盛んではない小さな街。そこでコーチをしていて。
SNSでみる人や周りの人は野心を持ってサッカーをやる。
ある先輩指導者からの一言に腹を立てた覚えがある。高校卒業直後での話だ。
「県大会にも出られなかったなんて情けないな。おれなんて、、、」
と言われたことだ。
そんな結果ばかり見る人が多いので、地元に根付いて結果だけでなく、育成重視で、ただサッカーを楽しむだけの自分はこのままでいいのだろうか?と腹を立てながらも考えたものだ。

SCフライブルクはそれを肯定してくれたように思えた。
いつでも謙虚に。自分達の身の丈の合った運営をし、目標を立てて。でも全力で取り組んで。
そしてただ、街のみんなと純粋にサッカーを楽しむ、愛する。
自分達の哲学を信じて。


この日、試合前にあるファンが1人インタビューを受け、スタジアムで話していた。
名はクラウス。白髪のおじいさんだ。
彼は35年の間、SCフライブルクのファンをしているという。
涙目になりながらクラブに感謝を伝える。
そしてそれをスタジアム全体で拍手をする。
「ああ、このじいさんはなんてかっこいいんだ。」

クラウスさんも、ペーターゼンも。
クラブを愛し、クラブのために尽くす。

そしてクラブがそう思われる活動や行動をし続けている。
僕もクラウスさんのように、日本からでもこのクラブを愛し続けよう。そう思わされた。
今季はチャンピオンズリーグの可能性がある程成功しているが、勘違いしないように。
いつも謙虚に。
自分達のサッカーを、意思をもって、全力で勝利を目指す。
彼らを見続け、それを見習い続けたい。


これがSCフライブルクだ。
これがブンデスリーガだ。
これがドイツサッカー文化だ。

この体験のおかげで一層ドイツサッカーが好きになった。

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