キャンプ場オープン。 が、闘いはここから。
昨年12月から始まった、1区画だけのキャンプ場開設計画。
紆余曲折、トラブルいろいろな日々を終え、昨日無事にオープンしました。
詳細は下記リンクをぜひご覧ください。
思い返せば、ずっと温めていた、僕が思うキャンプ場をつくろうと思い立ち、それを知った知人が「下津きょうだいみかん山」の農園主・大柿さんを紹介してくれて、一気に加速した計画でした。
予算はかけられない、しかし、妥協はできない。
その結果、できる限り自分でつくる、という選択肢を手にしたのでした。
プロでないとできない電気の配線やトイレ建物の制作などは職人さんにお願いし、国際的なコンテナ遅延でバイオトイレの到着が一月以上遅れるなどもありましたが、この場所に生み出したかった施設は、つくれたと思う。
さて、広め方、伝え方だ。
そもそも僕は、ここで何をしたかったのか。
それを今、あらためて自分に問い直しています。
僕は当事者(農業従事者)ではありません。あくまで、農薬にできるだけ頼らない省農薬という方法でみかんを育てる「下津きょうだいみかん山」をより多くの人に感じてもらうための、いわば触媒のようなものです。
生業としてきている編集、ディレクターという仕事は、僕の場合、クライアントがいて、成り立っています。要望、意向、希望に寄り添うというか、憑依するくらいのレベルで考え続け、「何か」を生み出していきます。
今回はというと、農園で独り奮闘する農園主を応援したい気持ち、みかん栽培の現実、省農薬という、未来へ伝えていきたい事実、それらに寄り添い、ここへ人を運ぶのが僕の役割です。
環境は、自信を持って言えますが、景色も静けさも最高です。大阪市内から90分で来られるのに、かなりの秘境感もあります。
ただ、それは一番のウリではない。あくまでも上記の事実を、僕は広め、理解者を増やすお手伝いをする。
そのためのツールとして、今回キャンプ場を誕生させました。
回りくどいようだけれど、これが、僕の闘い方。
闘うという文字は、とても強く感じますね。けんか腰ではないし、ターゲットがいるわけでもないけれど、しかし、スタンスは「闘う」感じなのかな。
何と?
キャンプってなんだろう。
本来、人と自然を近づける行為で、訪れるフィールドだけでなく、その周辺環境を知る入口になる楽しいことだと思う。
しかし、どうだろう?
キャンプに出かけて、周辺地域に興味が持てましたか?目を向けましたか?
知らずに帰るなんてもったいない! そんなことやモノや環境が、日本に数限りなくあります。
僕は今回誕生させた「MANDARIN Field」を、周りに目を向ける感度が上がる場所にしたいと思った。
おいしいってなんだろう。
一般的にみかんは、出荷までに何度も農薬を散布する。新芽が出て収穫するまで9ヶ月ほど。その間に毎月2度、農薬を散布しなければならない地域がある。最後の農薬(防腐剤)を散布して出荷するまでの間隔は1週間。
スーパーや果物屋の店頭には、そうして艶やかなみかんが並ぶ。
一方農薬に頼らないみかんは、表面に黒い斑点が付いたりもする。
それを出荷先へ持っていくと、加工用と評価される。自然の力で味わいを蓄えた滋味深いみかんなのに。
これ、どっちが「おいしいね」と笑って口に運べるのだろう?
安心・安全の概念が大きく揺らいでいる現代にあって、将来へ向けて私たちが手にするべきは、どっちのみかんだろう。
それは、おそらくみかんだけの話ではなくて、普段口にしている食材でも、似たような話がある。
そこに目を向けるきっかけを得てもらいたくて、僕は「MANDARIN Field」を誕生させた。
感じ方は人それぞれだから、このキャンプ場を訪れた人に「これを感じてほしい」と強制は絶対にしない。
ただし、その気になればいろいろなコトに気付ける環境を、また、自然の中で過ごすために最低限の快適環境を、僕なりに揃えた。
ホント、主張が回りくどいっすねw。
さて。広める、伝えるにはいろいろな方法があって、それらのどれを選ぶべきか、まだまったく見えていません。
しかし、ひとつだけ心に誓ったことは、
「MANDARIN Field」を、未来へ向かって思考と歩みを進める人の聖地というか、拠り所というか、そんな場所にしていこう、ということ。
ここで何かを感じた人が、自分の言葉で、周りの人に多くを語ってほしい。
その連鎖が、今より少し素敵な未来をつくりだすことに、つながると信じています。
ほぼDIYのキャンプ場開設計画に関する文章を、これまで数回読んでいただき、ありがとうございました。
機会があれば、ぜひ「MANDARIN Field」を訪れてください。
シンプルすぎるほどシンプルですし、夜は本当に闇に包まれるフィールドですが、きっと、記憶に残る場所になります。